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6



「嫌だ。」



私は負けないくらいにハッキリと、

真剣な顔でそう言った。



つもりだった。






翔は驚いたように目を見開いている。


時が止まったように数秒そのまま私を見つめ、

そして言った。






「初めて見たよ。君は……

そんな顔をして泣くんだな…」





眉を下げて、

悩ましい笑みに変わった。




みるみる自分の視界が歪んできて、

目の前の大好きな人の顔が見えなくなる。





「かっ…けるっ…っ……

…行かないで……」



「里桜…」



「行かないでお願いっ……おね…が…

っ…ひっく……ぐ…うっ……っ…」



「……行かせてくれ、里桜…」



「なら私も連れて行ってよ!!!

私はどこまでも翔について行くって言ってきたでしょ!!

何度も何度も!!!そう…言ってきた…!!」




たとえ行く先が地獄だろうと

どこだろうと。


そう何度も何度も宣言してきた。





泣きじゃくりすぎて、

自分でも何を喋っているのか分からなかった。



必死すぎて。

ただただ離れたくなくて。





「置いてかないで……」




頬を伝っていく生暖かい液体が溢れて溢れて止まらない。

一体、目の中のどこにこんなに水分を隠していたのだろうと不思議になるくらいに。




「私を…置いていかないで……」




彼がゆっくりと近づいてきた。




「置いて…かない…で……

私も…連れて行っ……」



ギュッと彼の腕に包まれた。



いつもの固くて逞しくて優しくて暖かくて

いつも私を安心させてくれていた腕で。




私も彼の背中に腕を回す。



ギュッと目を瞑って嗚咽を漏らしながら

彼の背中を掴んだ。



離れたくなくて。

離してほしくなくて。


ずっと私だけの翔でいてほしくて。


ずっと私だけを抱きしめて

ずっと私だけを感じて

ずっと私だけを見ていてほしくて。





強く強く




これでもかと言うほど強く


その愛しい体に埋もれた。





「君は……私が怖くはないのか」




耳元で囁くその言葉は、少しだけ潤んでいて…

悲しくなった。





「怖いわけっ…ないっ……

だって…翔は翔でしょ……」




私の、大好きな、

たった1人の……

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