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2階に上がる階段の途中から、早くも翔が自分の中の魔物を引き出した。


彼の能力は、体内に宿した数千もの魔物を使役するというものだ。

降伏させた魔物を自分の身に宿して自在に使役する。

翔の場合、B級以下の魔物であれば無条件に取り込むことが可能らしい。



「んー、メインはどこかな」


今魔物を出したことにより、迫ってくる細かい魔物たちは塵のように消されていき、自分たちはなんなく歩を進めている。


ハッと気配を感じた里桜は瞬時にピアスを上に投げた。

それが強力な竜巻を興し、上から迫っていた数体の魔物が雄叫びを上げて消えた。


「…さすが里桜。じゃあ上は頼むよ」


そう言って翔に手を離され、真剣に頷いた。


しばらくしてから、首をかしげずにはいられなくなってくる。


「なんか…おかしいよね?さっきから細かいのはたくさん来るのにどれもC級以下。森さんの言う準B級以上はどこ?気配もない」


「ああそうだね。もしかしたら準A級かそれ以上かもしれない。気配を消すのが異様にうまいし、我々を様子見しているような知性を持ち合わせている節もある…」


その言葉に、息を飲む。


「まさか特級…?ってことはないよね?」


「それはないとも言いきれないね」


「っ…」


突然翔はグイと里桜の腕を引き、また数体魔物を出した。


「いいかい里桜。今から一気に上に登る。細かいの相手にしてたらキリがないから屋上まで駆け上がる。その間の邪魔な奴らは排除してってくれ。私は自分の魔物を先に行かせながらそいつを探り当てる」


「わかった…」


互いに大きく頷いた瞬間からすごいスピードで上を駆け上がり、廊下を通り抜ける。

その間に邪魔な魔物を2人で切るようにして遮って行った。


しかし途中からは準B級くらいの魔物が多くなってきて、階級的には自分たちの方が上なのだが、いつの間にか近接戦になっていた。


翔はもちろんかなり強い魔術師だが、どちらかというと近接戦はレイの方が向いている。


かなり前に2人の任務だった時も、そうやって手分けをしていた。

今回はなぜだか、離れるなと言われたが、その意味は分かってきていた。


さっきから来るたくさんの呪霊たちを操っているのは恐らくその頂点に立つA級もしくは準A級の呪霊。

特級ということはさすがにない…と思いたいが。


とにかく離れてしまって翔のいない間に里桜の前にそれが来たら、間違いなく殺られてしまうだろう。



「惑星天衝呪法!業火!」



右耳に並べられているのは、

水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星のピアスたちだ。


魔力を流し込めばそれぞれの特性の攻撃を放つことができる。


今里桜は火星を放ったことにより、目の前に迫ってきた数体の魔物を一気に燃やすことができた。

近接戦では炎の威力が上がるので有利だ。


翔の呪霊は屋上まで辿り着いたらしく、情報を感知するため戦いながらも顔色が変わりつつあった。

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