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「はい、どうぞ。」
街の とある喫煙所、瞳は声をかけてきたその人物に目を見張った。
「……あんた…」
翔はいつもと何ら変わらない朗らかな笑みを浮かべたまま、瞳のタバコに火をつけた。
「…で?何してるわけ?天馬」
「言ったってどうせ理解できないよ。」
「まぁそうだろうね。あんたの考えてることなんて私にはいつだって分からなかった」
「私はただ、自分の選択は間違ってないと信じて進み続けたいだけさ。」
「…ははっ。意味わかんねーな相変わらずあんたはさ。」
「それでいいよ」
瞳はフーっと煙を吐いた。
努めて冷静に、さっきから会話をしている。
まるで何事も無かったかのような異様な空気に包まれながら。
さて、これはまずどうする?
「…ね、それで?こうやって一人一人に回ってんの?」
「ふふっ、違うよ瞳。
君から昴たちには言っといてくれ。
私はもう行くよ。」
「どこへだよ…おい待てったら。」
踵を返していた翔は振り返った。
瞳は苛立ったような顔をしてタバコを咥える。
「あんねぇ、里桜が今どうなっちゃてんか分かってんの?
あの子の気持ちは完全無視なわけ?」
翔はうっすらと笑った。
「すまないね。」
「私に謝ってどうすんだよ。」
瞳はタバコの火を乱暴に揉み消した。
その手は小刻みに震えている。
「久々に堪忍袋の緒が切れそうだよ天馬」
「やめとこう。ここで私たちが殺り合うのは得策じゃあないよ」
いつものような優しい笑みでニッコリ笑う翔の周りから、おどろおどろしい魔力が滲み出てきて、瞳の背筋に嫌な汗が流れた。
「…今、はっきりわかった。
やっぱあんたが1番何考えてんのかわかんない奴だったわ。」
瞳は昴に電話をかけ始めた。
「じゃあね、瞳。元気でね。」
去っていく後ろ姿を睨みつける。
クマ太郎…
これでも昴より天馬の方が分かりやすい奴だって言うの?
やっぱり私にはまるでわからねーよ。




