12
崩れ落ちた里桜を、昴が抱き抱えた。
「あのっ、昴さん…」
振り返ると、顔面蒼白にした日和が立っていた。
「どうした…日和。」
「っ…あのこれ…落としました…」
昴は瞳だけ動かして日和の手のひらを見下ろした。
稲妻型のピアス… さっき里桜の手から落ちたのか…
「俺、今 両手塞がりだからさ、少しの間預かっててくれるか」
「……はい。」
「悪いな。無くすなよ。」
そう言って踵を返した。
里桜の部屋へ行き、ベッドに寝かせる。
まだ嗚咽が止まらず、苦しそうに荒く呼吸をしている。
「…… 里桜」
言葉に詰まる。
何を言ってあげればいいのか、わからない。
こんなに何かを喋るのに困ったことは初めてだった。
ひとまず里桜の枕元にティッシュの箱を置いた。
「里桜、俺もさ、どうしていいか…わかんね。」
たった1人の親友のはずなのに
あいつのことがわからねぇんだ。
何考えてんのかどうしたいのか何してんのか
親友のことを、全部わかってたつもりでいただけで、
本当はなんにも知らなかったんだ。
泣きじゃくっている里桜を、ただ茫然と見下ろしていたら、クマが入ってきた。
クマは無表情のまま里桜の机に何かを置いた。
それは里桜がいつもしているものと同じ、ロケットペンダントだった。
「…棗のだ。」
クマはそう一言言った。
翔に、棗とお揃いで買ってもらったものだと話していたことを思い出す。
クマはベッドの上の里桜を一瞥すると、またペンダントに視線を移した。
「翔に会った」
昴は目を見開いた。
「は?!な…?!いたのか!?話したのかよあいつと!!」
「あぁ…でも…おいらにはなにもできなかった。
何もかもが遅かった。」
こんなに弱々しく掠れた声は、普段のクマからは想像もつかないもので、昴はそれ以上何も聞けなくなった。




