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6


目を開けたまま床に転がっている棗の死骸。


それは入ってすぐの玄関にあった。



"お兄ちゃん!!"


そう言って笑顔で出迎えたであろう棗の姿が、

すぐに想像できた。




そのまま進んでいくと、階段下で転がっているのは母親の遺体。


うつ伏せで片手を上にあげ、目と口は閉じている。


何も見ず、何も発することなく背後からやられたのだろうと理解した。




さらにリビングへと進んでいくと、

そこには父親が壁によりかかって目と口を半開きにして死んでいた。



何か言葉を発していたのだろうか、

後退りしたのだろうか。




遺体は三体とも、血痕などは全く見られない。



苦しむことなく一瞬でこの世から消えたような、


そんな印象だ。








そしてその奥のキッチンには、

1つの人影があった。





「よお、翔。」



その背に声をかけると、

薄暗い中、ゆっくりと振り返ったのがわかった。












「……クマ助かい?」



その声はいつもの優しく柔らかいものだ。




「ふ…今何時だい?」



「16:50だ。」



「だからもうこんなに薄暗いのか…

電気をつけてもいいかな?君みたいに暗闇で目が見えるわけじゃないんだ」



そう言って翔は電気をつけた。


一気に明るくなった空間には、去年の夏ここへ来た時のままの生活感のある風景が瞳に映し出された。



翔はシンクに寄りかかりうっすら笑っていて、

髪は乱雑に下ろされている。



クマは真顔のままだ。




「なぁ、翔。おいらとの約束、破るつもりか。」



真顔のまま、ちょこんとテーブルに腰かけたクマは、本当に初めからそこにいたような、なんの違和感もないただのテディベアのように見える。

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