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不完全な三日月

天馬翔(てんまかける)

「ねぇ…天馬くんはさ、どうして…こんなに私に優しくしてくれるの?」


高専の少し離れた場所に位置する、公園のベンチ。

上を見上げると、綺麗な三日月と瞬く星が散らばっている。


ここに連れてきてくれたのは天馬翔。

そして、高専に連れてきてくれたのも彼だ。


私の小さな問いかけに、彼は上を見上げたまま口角を上げた。


「面白いことを言うな、里桜は。

ただ星が綺麗に見える場所に連れてきただけで優しいなんて」


「違うよ。…それだけじゃない。」


今、夜で良かったと心底思った。

でないと私の顔は今…ひょっとしたら赤いかもしれない。




ーーーーーーーーーーーーーーーーー




私は幼い頃から、人には見えないものが見えた。


突然悲鳴を上げたり、誰かに取り憑いているそれを見て顔を強ばらせたり、誰かを避けるような行動をしたり…

特定の場所を避けたり、皆が通れる道を通れなかったり、

そんなこんなでしょっちゅう学校へは遅刻。


もちろん友達なんてできたことは1度もない。

それどころか、陰口やちょっとした嫌がらせなんてのも日常茶飯事。


親や親戚は私のことを気味悪がって、幼い頃から愛情を感じられるような育て方はされてこなかった。

そして中学に上がる頃、もう耐えきれないとばかりに精神医療施設へ飛ばされた。



そこはもう呪いの巣窟だった。


地獄だった。


そこでの数年間で、ますますいろいろなものを感じ、見えるようになってしまっていた。



医者も患者も皆、私が施設1の異常患者で問題児だと決めつけ個室にほとんど閉じ込めていた。


生きてる意味はない。

死にたいと何度思ったことか。

なぜ私だけがこんななんだと…




ある日の夜、部屋に突然入ってきた怪物に私は恐ろしく恐怖した。

見たことのないほど大きく凄まじいオーラと気迫に身震いした。


このままじゃ殺されると、本能的に察知し、襲いかかってきたそいつにデスクに置いてあったペンを投げつけた。


すると、一瞬にしてそいつはペンに飲み込まれるようにして消えていった。


唖然とし、固まっていたところに…

彼は現れたのだ。

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