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都立魔術高等学校。
新入生として入学した私は、とにかく驚愕した。
ヤバそうな先輩しかいない…
そういう印象しか持たなかった。
1つ上の先輩は矢作夏樹さんと壱屋京介さん。
どこか対照的なこの2人でも、とても信頼し合っていて親友のように見えた。
あんなことがあるまでは……
そして2年上の神塚昴さんは、背が高くて銀髪メッシュで常にサングラスを掛けていて、テンションが異様な先輩。
有名魔術家の神塚家で生まれた天才と噂される神塚昴のはずなのに、そこにいたのはあまりにも想像とかけ離れている人。
不良としか言いようのない姿だし、なにより常にふざけている印象。
とにかくなにもかもにテキトーな感じ。
この頃の神塚さんの一人称は "俺"
馴れ馴れしくて、絡みも凄まじくて、どう対応していいのか分からずとにかく困惑していた。
しかし、圧倒的な力と才能の程は本物だった。
よくそんな彼から助けてくれたのは天馬翔さんだ。
彼もまた、S級魔術師として神塚さんに引けを取らないくらいに強い…いや、強かった。
彼は神塚さんととても仲が良いらしく、いつもつるんでいた。
しかし……
神塚さん以上にガラの悪い不良に見えた。
両耳の大きなピアスに、小さな稲妻型のピアスとクリスタルのピアス。
長い髪を束ねたり、たまに下ろしていたり、制服の着こなしも不良っぽい。
しかし天馬さんはその見た目とは裏腹に、とっても優しくて言葉遣いも丁寧だった。
いつも何かと気を遣ってくれて、後輩想いのようだった。
矢作さんをはじめとした後輩たちにもとても尊敬されている印象だった。
もちろん私もとても尊敬していたし、頼りにしていた。
そんな天馬さんが…まさか……
私はこの頃は当然そんなことは微塵も予想していなかったし、信じられなかった。
なんなら今でもあれは、現実じゃなかったんじゃないか?
天馬翔という人間はもともと存在していなかったんじゃないか?
と思う時がある。
そしてその頃、天馬さんとお付き合いしていた彼女は
弥生里桜さんという方だった。
彼女もまた2学年上の先輩で、天馬さん同様とても優しくて、2人はお似合いのカップルだと思った。
見た目は不良カップルにしか見えないけれど、中身はとんでもなく優しい2人。
本気で想い合っていると、こんな私でもわかった。
彼女は天馬さん以上にピアスをつけている。
両耳とも耳ではないかのように、もうすごい。
そしてルビーのピアスが一際輝いて目立っていた。
それが天馬さんからの贈り物なのだと知った日は、あぁなるほどととても羨ましく思ったことを覚えている。
私もいつかそんな思い出を誰かと作ってみたい、なんて思いながら。
里桜さんは鬼頭先生と同じように高度な傀儡を作り、扱うことができる上に、天馬さんと同じ魔物操術まで操れることを知って驚愕した。
もちろん彼女もとても強かった。
けれど、誰よりも純粋で誰よりも繊細で、そして、誰よりも脆く儚い先輩だった。
そんな彼女が生み出したS級傀儡である"クマ先輩"
当時の私は、彼の存在ほど驚いたことはない。
本当になにもかもがすごかった。
私に対してボロクソに悪態をつきながらもいろいろなことを教えてくれた上に、私だけではなく、誰に対しても"師"のような存在だった。
もちろんただの愛らしいクマのぬいぐるみという見た目なのだが、あまりに口が悪く、目上の教師や上層部、補助員の面々に対してもあまりにも粗暴で威圧的かつふてぶてしい態度。
それでもどんなときでも間違ったことは言わなかったし、しなかった。
彼の言動、行動、その全ては正義そのものだったように感じる。
もちろん、可愛らしい面も多かったため、私も含め、周りは癒されていたに違いない。
私は彼女のこともクマ先輩のことも、
決して忘れることはできない。




