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「まぁ、あんたも仕方がないで済ませたくは無いだろうけど、そう割り切るのも大人の立ち振る舞いだよ」


「……はっ。瞳は相変わらず変わってないよねぇ」


「あんたは変わったな神塚。」


「…………」


私は妙な沈黙に耐えきれなくなった。



「あの……本当に申し訳ありませんでした。

私がもっと事前に調べていれば……」


「だからお前のせいじゃねぇって。いつまで言ってんだよ五十嵐。」



神塚さんは呆れたようにため息を吐きながらスマホを弄っている。

しかし私は、よく見ると小刻みに震えていてなかなか正確に文字を打てていないその手に気付いてしまっていた。



「僕はさぁ、昔は自分の力に相当酔ってて、ぶっちゃけ自分と自分の親しい奴だけを守れればそれでいいから、あとは楽にただ楽しく生きてりゃそれでいいって思ってたんだ」



突然語り出す神塚さんは、スマホを置いてどこか遠くを見ている。



「……でもさ、ある時気付いちゃって。

誰かを、何かを、守ろうとすればするほど、弱くなっていくんだ。」



しばらくして、沈黙を破るように、小篠さんは煙草に火を付け出した。

何かを思い出すように、吐いた煙をボーッと見つめている。



「そんで終わらない疑問に陥る。

自分の力って何のためにあるのかって。

1番守りたい奴を守れなかったら、力や才能に意味なんてないよなってね」



神塚さんの口調は酷く緩やかだ。

こちらがゾクリと鳥肌がたつような。


確かに神塚さんの雰囲気はあの頃とは変わったと思う。




「瞳は僕のこと変わったって言うけど、僕は変わらず自分勝手なままだよ。」



突然、自嘲気味ではなく、

はっきりと冷静にそう言い放った。




「あの頃手放した自分の青春を自分の生徒に重ねて……取り戻した気にさえなれないジレンマの中でさ……。

僕はただ、自分の欲望のためだけに教師やってんだろな…

ただただ自分の疑問解消のためだけに…いつまでも終わらない夢を見てるのかな。」




そして私は気がついた。


彼が、何を思い出しながら語っているのかを。



それからこれは、私を少しでも励ますための、

彼なりの慰めなのだと。


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