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「…翔……」
「ん?」
「もっと…したい…」
幸せそうに擦り寄る里桜を、翔が笑って頬を撫で、唇を撫でた。
「ふっ…いけない子だね君は…」
「…だって聖なる夜なんだよ?恋人の日なんだよ?ダメ?」
「いいや。泣いても喚いても犯すつもりだった。そう最初に言ったろう?」
そんなことを言っていても、優しく笑って優しい手つきで撫でてくれる彼。
私は幸せしか感じない。
伝わっているかな…
「でも、いけない子の元へはサンタは来ないんだよ…」
「そんなのいい。翔さえいてくれればいい。
ずっとずっと…この先も…」
永遠に…
愛してる…
ふたつの唇は、また激しく重なった。
ポインセチアよりも赤く燃えるような夜だった。
そして、あるはずのない永遠を永遠と感じさせる、まさに聖なる夜だった。
愛は寛容であり、愛は情け深い。また、ねたむことをしない。
愛は高ぶらない、誇らない、無作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。
不義を喜ばないで、真理を喜ぶ。
そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。
あの夜、クマが読んだ聖書の一節。
それがまた翔の耳には聞こえた気がした。
この時はまだ、こんな幸せな日々が、
きっとこのまま続くと、そう根拠もなく信じ込んでいた。




