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「なに……今の…ホントにお前?」
「おう。他に誰がいる」
昴は耳を抑えて顔面蒼白にした。
「……ローラじゃん…」
「「え?!」」
「まさかクマって声のコピー能力まであるの?!」
里桜は驚嘆した。
これはすごすぎる発見だ。
クマは何も言わずにドヤ顔で酒を飲み出した。
「マジで本人の声だった…!すげー鳥肌たったわ…うわ……お前すげーよクマポン!もっとやってくれ!」
「は、嫌だね。」
暫くそんな言い合いをした後、次は瞳が王様になった。
「んーじゃぁね〜、1番と3番が真顔で見つめ合う。で、負けた方デコピンね!」
「…あ…私1番だ…」
「私が3番だから私との勝負だね里桜」
里桜と翔の番号だった。
「えぇ〜…自信ないんだけどぉ…」
そう言いつつも、グッと顔を近づけられ、目と鼻の先で見つめられる。
翔は本当に無としか言いようのない真顔だ。
こんなに近くでそんな顔でずっと見つめられたのは初めてで、かなり緊張してしまうが、負けたくないので里桜もひたすら無表情を貫く。
「・・・」
「・・・」
「なぁ、これ終わんなくね?」
もう1分ほど経過していて昴とクマは飽きたようで、残っているケーキをつつきだしている。
瞳は酒を飲んでいて、自分が命令しておきながらも上の空だ。
「翔」
「なに」
お互い真顔のまま声を発する。
「そろそろ折れるかい」
「だめ。負けない。」
無表情なため、声も棒読みで無機質になっている。
もう3分ほど経っている。
里桜は正直、心臓が爆発しそうだった。
真顔でさえも色っぽくて、彼と目を合わせて直視し続けているのが苦しくなってくる。
少しだけ息が荒くなっていた。
少しだけ目を細めた翔が色っぽすぎて、もう限界だった。
きっと顔が赤くなっているかもしれない。
「かっ、ける…」
「ん?」
「・・・ぶふっ!!!」
「……早いな…」
ついに照れ臭くて噴き出してしまったのに、早いなどと真顔で言われてしまった。
顔に手を当てて肩を震わせていると、その手を剥がされ顎を指で掬われた。
また真顔でジィっと見つめられ、ニヤケ顔が止まらなくなってしまう。
まさしくツボに入ってしまった。
「ふっ…ふっ…ぅ…くく…」
「人の顔がそんなに面白いか?」
「ふっ…ちがっ…くっ…ふふっ!」
「まだまだ見つめていたかったのになぁ…
まぁいっか…後でね…それからデコピンよりもすごいのを……」
そう耳元に口を寄せて囁かれ、笑いは止まってしまった。
「はいはい、終わったのー?なら早く言って!」
昴の一声でまたゲームが再開された。
次の王様はついに昴になったので一気に緊張感が走った。
何を言い出すかわからないからだ。
「…君はまさか碧眼で王様引いたんじゃないだろうな?」
たまらず翔がそう漏らす。
「はぁん?なわけねーだろ!今グラサンしてんじゃん!」
「・・・」
「じゃーねー、んーと…」
あからさまにニヤニヤしだす昴に、里桜はごくりと生唾を飲み込んだ。
「…じゃーぁ、3番が……全員にチューされる!!
はい!3番だれ〜?!」
「ん?…おいら。…だ。」
全員が目を丸くしてクマの方を向く。
「んだよ!お前かよっ?!」
「おいらだっててめぇらに接吻なんかされたくねぇよ!!」
しかし里桜は安堵していた。
なにしろ去年は王様特権で昴が翔にキスをしたのだ。
「はいクマおいで!」
「っおい待て!!」
里桜がクマを無理やり捕まえる。
昴はすかさずスマホのカメラをかざした。
やはりこの期は逃せないらしい。
瞳も翔も昴も含め全員にキスをされる可愛いクマのぬいぐるみが切り取られた。




