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里桜が翔に連れられて登場したときにはもういろいろと始まっていて、そして当然皆の視線が里桜に突き刺さり、騒がしかった空気が一瞬で静まり返った。
鬼頭が去年同様、使用を許可してくれたこの場所は広い一室で、今はほとんど使われていない談話室のような空き部屋だ。
そこに1~3年が集まっている。
といってもこの高校の生徒は元々とても少ないので、鬼頭などの教師含めて15人もいないが。
そしてテーブルにはホールケーキが15個というありえない光景と、理玖の用意してくれたデカすぎるターキーや、オードブルや菓子、それからクマが京介に取り寄せさせたスウェーデン産の酒や瞳の発注した酒などが大量にあった。
里桜の登場時の理玖の反応は凄かった。
「はぁぁぁああん!素晴らしすぎるよ里桜ちゃん!やはり私が目をつけた通りだ。」
などと言って抱きつき、何度も写メを撮らされた。
五条はやはり、
「やっぱ俺の六眼は腐ってねぇだろ!翔〜!」
と言ってけたけた笑い、クマは爆笑していた。
瞳や夢子もベタ褒めしていた。
京介は唖然とした表情で、いつもの如く夏樹の目を塞いだ。
「ん!またなんだよ壱屋!手ぇ退けろ!」
そう言って無理やり引き剥がしてから里桜を見て、またいつもの如く仔犬のような目をキラキラさせた。
「わぁ〜凄いなぁ〜!こんなサンタさんって絶対リアルにいますよね!」
「いるわけないじゃありませんか。というか、まさか君は未だサンタを信じているタイプの子供ですか?」
京介のその言葉は盛大に無視されていた。
「こんなことなら僕がトナカイじゃなくって、やっぱ天馬さんがこれ着た方が良かったんじゃないですかー?今からでも遅くはないです!僕譲りますよ!」
そう言って自分の着ているトナカイのコスチュームを引っ張った。
翔は焦ったように苦笑いしながら夏樹の両肩に手を置いた。
「矢作、君ほどトナカイが似合う人はいないよ。うん、凄く似合ってる。チョッパーよりも愛らしいトナカイだ。」
するとやはり翔ファンの夏樹は心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ほっほんとっすか?!こんなに天馬さんに褒められるなんて嬉しいなあ!!よかったぁ〜!!」
「うん、君はこれからも永遠とその格好で過ごすといいよ。さぁ、里桜と一緒にトナカイの役目を果たしておいで。」
「はいっ!!了解ですっ!!」
目を輝かせて里桜の元へと行ってしまった。
やはり矢作以外の適任はいないな。
と翔は本気で思っていた。
オスの視線で彼女を見ない、1寸の曇もない眼の矢作にしか、里桜の傍には近寄らせたくない。
プレゼントは、里桜が選んだ全員お揃いのミサンガで、小さな水晶が埋め込まれている。
それが割れて、ミサンガが切れるまで、各々の責務を全うして生きていこうという願いを込めた。
全員素直にそれを腕や脚に付けてくれたので里桜は嬉しかった。
「んー!やっぱターキーうっめえええ!酒に合う〜!!ねぇ?壱屋!」
「ですね。」
酒好きの瞳と京介はすごい勢いで酒を進めている。
里桜もターキーを食べて目を丸くした。
他のオードブルもとても美味しい。
今年は闇鍋をやる羽目にならなくてよかったと心底思った。
「理玖さん、本当にありがとうございますっ!感激です!」
「ふふ、里桜ちゃんの頼みならお易い御用だよ。翔くんに負けていられないからね。」
理玖がシャンパンを持っている姿がとても似合っていて、この人が何年後かに大人のレディになったときどれほどの破壊力だろうと思った。




