12
疲れを知らない昴に連れられて入ったのはオシャレな喫茶店だった。
昴は店員を呼び止め、ケーキやらパフェやらを注文しだした。
「ねぇ、もう夕方だよ?そんなに甘い物食べたら、」
「別に寮の飯なんて食っても食わなくてもいいんだから、お前らもここで夕飯済ませりゃいーだろ。」
里桜も翔もまだお腹は空いていないのでホットティーを飲みながら昴の様子を目の前で見つめる。
「ここってパフェが有名なんだよねぇ〜♪
マジここ店ごと買い取りたいわ〜」
意外にも昴は食べ方はとても綺麗だ。
しかもとても美味しそうにスイーツを頬張るものだから、見ていて気分が悪くは無い。
ボトトトトトトト
「えぇ?!そんなに入れるの?!」
ホットコーヒーに角砂糖を5.6個ぶち込みグルグルとスプーンで掻き回す昴に、さすがに驚愕してしまった。
「え、これ普通だよ?」
「…何度見ても慣れないな。見ているだけでこっちまで口の中が甘くなりそうだ…」
翔が眉間に皺を寄せながらそう呟いたとき、
カランカランというドアの鈴音とともにクマをかかえた瞳が入ってきた。
「おっ!お疲れぇ〜!瞳も来たのお〜」
「あのねえ、クマ太郎がパンピーの中で飛び回るわけにいかないでしょーが。」
「おっ!なんだそれ!おいらもおいらも」
結局クマもパフェを頼み、里桜と翔と瞳は普通の食事を頼んだ。
そして、食べながら任務の報告をし合う。
「ほぉおーう?やはり翔もやられたんか。そして里桜もまた…。学習能力がねーな。」
「だね……はぁ…」
その言葉にはもう項垂れるしかない。
自分のあまりの弱さをハンバーグと共に奥歯で噛み締めた。
「にしても首絞め事件はウケるな!おいらがそこにいたらぜってー写メってた!あはははは!」
パフェで汚れた口をそのままにクマは心底可笑しそうに笑っている。
「いやマジ笑い事じゃねーから!俺意識もってかれる寸前だったんだぞ!」
「・・・すまなかった」
翔が気まずそうに長い髪をかきあげた。
「あっ、そーだ翔!私の髪ゴムいる?」
「持っているのか?助かるよ…」
そう言いつつも、翔は昴とのゴムについてのやり取りを思い出して軽く吐き気を催していた。
里桜から受け取った、淡い紺にシルバーのラメが光る髪ゴムで彼女が好きだと言ったハーフアップに髪を結う。
「似合う!それあげるね!」
「いいのかい?ありがとう」
満面の笑みの彼女の顔を見たら、一気に吐き気が吹っ飛んでしまった。
昴はまた店員を呼び止めている。
「…えっとね、このバゲット付きビーフシチューと、あとアイスコーヒー。それと食後のデザートにこのミルクレープ…」
「えっ?!」
つい驚嘆の声が漏れてしまった。
さんざんデザートを食べた挙句、食事を挟んでまたデザートだなんて…
翔も瞳も呆れ顔をしている。
クマはパフェを貪りながらクリームソーダを飲んでいる。




