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10

「とりあえず、2人で固まっていても意味がない。手分けして里桜を探そう。私は時計回り。昴は反時計回りに。」


「あいあい。」



翔は方位磁石を見ながらその方向へとひたすら歩いた。

昴はまだ強力なのがあと一体はいると言っていたし、つまりは全部で三体いたということになる。

二体は結局昴が片付けてしまったということだ。


「はぁ……全く…私は何をやってたんだろうな…」


ついそう呟いてしまった。

自分の情けなさに心底うんざりした。


もう一体は絶対に自分の手で祓わなければ…

あのときの胸糞悪さは本気で最悪だったが、もう騙されるつもりは無い…



「・・・んん?」



「……あれぇ?翔じゃん。なんでぇ?」


なぜだかまた昴と出会ってしまった。

おかしい…


「君はきちんと方位通りに移動していたのか?」


「してたよ!翔に言われた通りに!」


「だったらなぜ…… 里桜には会って…ないよな?」


一緒にいないということは、会ってないということだろう。

あれからあまり時間が経ってないのにこんな所で昴と出会うことが奇妙すぎて考え込む。


「見てねーし気配もねぇ。どうなってんだよドラミ!」


苛立ったように里桜に電話をかけ始めた。



「………あ!ドラっ、里桜?!

今どこいんの?!」


«えっ、どことか言われても…こんな森の中じゃわかんないよ。どっちかって言うとー…北方向…かなぁ…»


「とりあえずさぁ、そこ動かないで?ひとまず3人合流したいからさ。」


«んー、わかったぁ。ちなみに今のとこはなんにもいないから安心して»


「おーけおーけ」


«……あっ……»



プツッー…

プープープープー…




「・・・え?何今の"あ"って。」


「あ?」


「あって言って、で、切れた。」


2人の表情が同時に変わっていった。




2人同時に方位磁石を確認すると、その針は昴の先程のものと同じように、針が勢いよくグルグルと回り、そして浮かび上がった針の先の赤色が、ある方向をずっと指していた。


「多分こっちだ!」


2人は猛スピードでその方向へと走った。






「っ!!なっ?!里桜?!」


昴が叫んだ。


崖ぶちに立って前を向いている里桜が見える。



翔がすぐさま駆け寄って彼女の腕を引こうとした瞬間、それは間に合わず、里桜は下の海へと落下していってしまった。


それと共に、翔も追うようにして落ちていった。



「っ!!おい!!……えー…」


昴はひとまず2人を信じ、呪霊の相手になることに決めた。



「かかってこいよ。この島丸ごと爆破してもいいか?

もうあの2人はいないことだしな?」


そう言って昴は両手を組み始めた。




「……夕凪……百戦火……!」




ーーーーーーーーーー




翔は落下していく里桜の腕を、落ちながらも空中で掴んで呪力で引き寄せた。


ギュッと抱きしめつつ、もう片手で呪霊を引き出す。


水面ギリギリでそれに乗ることができた。



「……はぁ…… 里桜…」


彼女の胸に耳をつける。

心肺は異常無し。息はあるから気絶しているだけのようだ。

急いで怪我をしている箇所がないかを調べるが、どこも問題なさそう。


安堵のため息が漏れ、彼女の乱れた髪を整えた後、キスをしてからギュッと抱きしめた。

彼女のいつもの香りをめいっぱい吸い込む。


「…よかった… 里桜…」


そのとき、



ドッカーン!!!!!!!

バキバキバキ!!!!!!



凄まじい音が耳を劈いた。

里桜から体を離して振り返ると、島の大半から大煙が巻き起こっていて、誰の仕業かは一目瞭然だった。

上から見下ろすと、島の一部がなくなっているかのようだった。



「随分と派手にやってくれたな…昴…」


結局、全ての本体を昴がやっつけてしまった、ということだ。


複雑な心境になりながらも、とにかく里桜を傷一つなく救えたことに心底安堵しながら昴の方向へと向かった。

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