始まる三角関係
翌日の新幹線のホーム。
やはり時間的にもすごい人混みだ。
ホームの中にもお土産屋さんがたくさんあり、いろいろと購入し終えて里桜は他の3人を待っていた。
昴は新幹線の中で食べる菓子を漁っているようだ。
「ねぇ、そんなに食べられるの?」
カゴの中を見ながら横から声をかけると、昴はポカンと口を開けてから言った。
「里桜だって食うだろ?あいつら2人も」
ふと視線を走らせると、翔と瞳はなにやら相談しながら丁寧に土産を選んでいるようだ。
「いやどうかな…少なくとも私は寝てると思うけど」
帰りの道中といったら、たいてい皆寝てしまうのが定番だろうと思った。
しかし昴はニヤリと白い歯を覗かせた。
「あ、そっか、なるほどー。昨夜は翔に寝かせてもらえなかったかぁ…」
「ちょ!違うって!何言ってんの!」
一気に顔が熱くなり、バシンと肩をはたく。
心底おもしろそうに昴が笑うものだから馬鹿にされている気分になり、その場を離れた。
店から出て入口付近でスマホをいじっていると、頭上から声をかけられたのに気が付きハッと顔を上げる。
「君も高校生ー?どこから来たのー?」
目の前にいる私服姿の男3人も、自分と同じくらいの年齢に見える。
観光で来た高校生だろうか。
「えっと…東京から…ですけど?」
「へぇ〜そうなんだ!にしても珍しい制服だなぁ」
「奇遇だな!俺らも都内の△△高校なんだけどLINE交換しよーよ!」
「ええっ?!」
突然スマホを取り出して楽しそうに笑顔を向ける3人の積極的な態度に唖然とする。
「制服で来てるってことは、他のクラスメートを待ってるんでしょ?その子も見てみたいな!」
「や…無理です。いきなり見ず知らずの人と連絡先交換とか…」
思い切ってそう言ってみるが、3人は顔色一つ変えない。
「同じ都内なら他人じゃないだろー?」
「いいじゃん、今度遊ぼうよ」
「おい」
突然違う声色が背後からしてビクンと肩を揺らす。
グイッと乱暴に肩を引かれて自分より前に出てきたのは昴だった。
「お前ら何者?こいつと絡むには俺の許可が必要なんだけど?」
長身の銀髪メッシュにサングラスという、明らかにガラの悪い男が出てきたものだから目の前の3人は顔を強ばらせている。
「人の女に手出すなんていい度胸だよな。
マジでお前らさ……ぶっ飛ばすぞ」
ビクッ!!!
"ぶっ飛ばすぞ"
その言葉があまりにも奥から絞り出したような恐ろしい声色で里桜まで腰が抜けるほどビビってしまった。
そのどす黒い声とサングラスからチラと見えた鋭く開ききった眼光に、3人は声も発さず瞬時に離れていってしまった。
それを見届けてからクルッと振り向いた昴はもう完全に元の雰囲気に戻っていて、
「はは、ナンパに合うとか意外とモテるじゃん!」
とかいいながらふざけている。
先ほどの彼とは別人なのではないかと思ってしまったくらいだ。
「あ、ありがと。昴…。」
礼を述べると、昴は呆れたように里桜の手を握った。
「もう離れるなよ。里桜は小さいから荷物に押し込まれて連れ去られるかもだし、天然だから迷子になりかねない。危なっかしいったらこの上ないわ…」
さっきからよくわからないことを言われている気がするが、手を握られギュッと身を寄せられているこの状況に混乱してしまい身動きが取れない。




