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「おいらと組むのは確か2度目だな、壱屋京介」
任務に向かう道中、今は補助術師の森の車内にいる。
「はい…というか、なぜ突然私と?
2年の皆さんの任務についていなくて良いのですか?」
「てめぇや矢作夏樹を死なせねぇために決まってんだろうが。
あいつらはおいらがいなくてもなんとかなる」
「・・・」
どうせなんにもしないんでしょう、という思いで京介は短く息を吐く。
クマは森からもらった風船ガムをふてぶてしい態度で膨らめて腕を組んでいる。
クマの人形が隣にあるだけで、なぜこんなにも緊張してしまうのだろうかと思わずにはいられない京介であった。
そうして着いた先は、廃棄物処理場だった。
なんともいえない異臭と、禍々しい空気が漂っていて、2人同時に顔を顰める。
「くっせー。とっとと終わりにすんぞ。
にしても…思ってたより広いな」
「ですね…」
歩きながら、クマが突然、全く違う話を切り出してきた。
「そーいや壱屋、お前ってクリスチャンか?」
「っ、はい?」
「スウェーデン人だろ?キリスト教徒かって聞いてんだよ」
「いや、正確にはクウォーターですし、私は無宗教ですよ。まぁ、スウェーデン人の6割以上はキリスト教徒らしいですが…」
「…6割?」
なぜ今こんなところでそんな話を?
何か意味でもあるのか?
そう思いながら京介は無機質な表情で進んでいく。
クマはあまり意味の無い話はしないから、これにもなにか意味はあるはず…か?
京介はいつの間にか思考がそちらへ向かっていた。
「おい、そーいや6割と言えばだが、前回の任務でおいらが言ったことをしっかり守ってやがるよな?」
「……はい。6の分割地点に命中させるようにしてます。」
「ならいい。てめぇはいつまでもバカみてぇに考えあぐねていたからな」
かなり偉そうなクマなのだが、しかしその通りだった。
対象の長さを内分した時、どこの割合の部分に強制的に弱点を付与するのか。
6か5か、はたまた8かなど試してはやめ試してはやめを繰り返していた。
前回、クマのおかげで何度も試せる機会を与えられ、そして6の割合に焦点を当てると1番効果的だとクマにアドバイスをもらったのだ。
やはりこのS級傀儡は只者ではないと言わざるを得ない。
「おいきた!行け!いっちー野郎!」
「っ!!」
京介の分割術によって、なんとかそれは一撃で祓うことができた。
この術は、身体の部位ごとに効果を発揮でき、腕・足・胴体といったパーツごとに対象をとることができる。
自身より格上であってもダメージを与えられ、格下であれば一撃で倒せる有能な術である。
しかし、
「いっちー野郎、これは確実に6の場所に当てる緻密な身体能力と武器操作が求められるわけだ。お前のその武器は少し改造した方がいい。
そうだな…鉈みてぇな形状のもっと大振りな刃物にしろ」
「…わかりました」
京介はその後のクマの指摘も全て頭の中にインプットするよう懸命に努めた。




