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「つーか、くりすますってなんだ?」
ズコッ!
昴がわざとらしく腰を折った。
翔はたまらず噴き出した。
「マジズコッだわそれ!ズコッだよ!」
「あぁん?食いもんか?」
「ふふん、まぁそう、あながち間違っちゃいないから
それでいいよクマ野郎は!」
ただ説明がめんどくさい、というかできない昴に変わって、翔はクマに耳打ちする。
「イエスキリストの誕生日だよ。
ほら、クマ助が好きな聖書の…まぁそのお誕生日会みたいなもんだよ」
「おお!あれか!あいつの!…ほほう…。
で、それをなぜクリスチャンでもないお前らが祝う必要があるんだ?」
「・・・」
「・・・」
「なぁにもうクリスマスの話してるわけぇ?まさかあんた去年みたいなことするんじゃないでしょーね?!」
突然の瞳の声に、一気に我に返った昴はまた声を上げる。
「いや、やるだろ!やるに決まってんだろ!今年はもっとケーキの数を増やして、で、」
「あんた結局ケーキ食べたいだけなんじゃん」
「え!あれ以上増やすの?!」
瞳と里桜の声が重なった。
実は去年のクリスマスには里桜もいた。
まだほとんど皆に馴染めていなかったのだが、あの光景は本当に忘れられない。
まず、様々な種類のホールケーキが少なくとも10個はあった。
さらに、闇鍋をした。
そしてサンタのコスプレをした昴がトナカイのコスプレを翔に無理やり着せていた。
その格好で校内にいる全員にプレゼントを配りに行って…
一番驚愕だったのは、王様ゲームで昴が翔にキスをしていたことだ。
今思い出すと、あれはなかなかヤバい、どころかヤバすぎるクリスマスパーティーだった。
けれど里桜にとっては初めての楽しいクリスマスだったことも事実だ。
「あーわかったわかった。じゃーケーキは15個くらいにすんよ。で、サンタ役は里桜で決まりっ!」
「えぇ?なんで私なの?!」
「翔が見たいんだってよ!ね!翔くんっ♪」
「私はそんなこと言ってな」
「いいや、言ってた。顔が。俺は目がいいんでね。
知ってるだろう?」
ジィっとギラギラした碧眼で見つめてくる昴を、翔は睨む。
「……君のその青目をほじくり返してやろうか?」
「ふははははは!今の冗談のセンスはなかなかよかったよ?翔!そーいや今年は俺らにも後輩がいるわけだし、トナカイはあいつらにやらせちゃうぅー?んで理玖さんあたりにまた極上のチキンとか用意してもらっ」
「なぁグラサン野郎、それちげーだろ。」
突然クマがスマホを弄りながら低い声を出した。
なんとクマはもう今ではmyスマホを持っているのだ。
さっそくクリスマスについて調べているようだ。
「あん?なんか文句でもあんのかクマプー」
「チキンじゃねーだろ。七面鳥だろ、ターキーだろ。
そうここに書いてある。
不教徒の奴らにエセ誕生日会やられてイエスキリストも迷惑な話だな」
「・・・」
皆が押し黙っている中、
翔だけが、確かにそうだったな、と言った。
「ターキー食いたい!ドリームで食ったやつだよね?!ビールにめっちゃ合うやつだった!」
「私もあれもう一度食べたい!」
瞳と里桜が同時に声を上げた。
「じゃー里桜が理玖さんに頼んでこいっ!里桜の頼みだったらあの人なんでも聞くだろ」
「・・・わ、わかった。」
去年は本当に全てを皆に任せっきりだったので、今年こそは少しでも自分も協力しなくてはと思い、笑顔で承諾した。
それにこれならば去年のように、闇鍋をやらなくても済みそうだ。
去年は丸ごと入っていたあっついプチトマトで口を火傷したんだった…




