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「……え……か…ける?」


そこに居たのは、血まみれの翔。

そしてその翔を見下ろしながら足で転がしている見知らぬ男。


男はこちらに気が付き、あからさまに不機嫌な顔をした。



「お?なんだまだいたのかよ、今度は女か?」


「翔に触れるな!!!!!」


里桜は全身から憎悪を滾らせ、自分でも驚くほどの声量を発した。



「ひー、女ってやっぱピーピーうるせぇな。まぁ殺しちゃいねぇから安心しろよ。こいつの術は使えるから勿体ないねぇ」



その瞬間、ビュンと勢いよく里桜の中から数体の呪霊が男に飛びかかって行った。



「は、なんだお前も操術を扱ってんのか。めんどくせぇな。報告にはなかったぞ?」


男は持っていた刀を振り回しながら俊敏に動き回った。

速すぎて目を見張った。


呪霊もたちまち切り刻まれてしまい、歯が立たない。

そもそも昴も翔もやられている時点で自分に勝ち目はない…


物量戦

力量戦

接近戦


その他もろもろ全てが怠るのなら


もう…これしかない…!




「……妖蝶魘夢……!!」



その瞬間、里桜の翳した手の中から大量の妖蝶がヒラヒラと飛び出し、たちまち男の周りを飛び囲み始めた。


この妖蝶は、対象に対して夢を見せる。

つまり幻覚の中に堕としこみ、動きを封じ、我を失わせることができる。




男は今、夢を見ていた。


自分が孕ませた女性から生まれた男児。

その赤ん坊を抱えている自分。


誰よりも強く育て上げたい。

この世を変えるくらいに強く。

俺が生まれた魔術界では有名な系統……その血筋を引き継いでいても、周りから劣っていると蔑まれてきた無能の俺とは違って……

こいつには才能がある。


才輝……お前の名だ。


俺の意をきっと継ぐ子……


潰すんだ。きっといつの日かこの子が……

このクソ魔術界を。





「取った!!!」


男が茫然と立ち尽くしている中、里桜は男の背後からピアスで作った短刀を突刺すべく、空中から攻め入った。



しかし…



ガゴッ!!!!



「っー!!!」



「ははっ、今更こんなもん見せられたところでなぁ…おっと今何時だ?」



里桜は男の振りかざした腕で殴り飛ばされてしまった。



「まっ…待てっ!」


「…あ?だめだめ。こっちは急いでんの。いつまでもこんな茶番に付き合ってられっかよ」


里桜はうつ伏せのままかろうじて腕を伸ばし、攻撃を放った。


「チッ。未練がましい女は嫌いなんだよ」


舌打ちと共にそれを払われ、険しい顔をした男がつかつかと翔の前に行った。


「こいつくらい消しとけばお前も黙るかな」


「やめろ!!!」


里桜は瞬時に翔に覆いかぶさり、男を睨み上げた。


「ふん、涙ぐましいね。女が男に情を宿すってのは。これだからめんどくせぇんだよ。まぁ殺したところでお前らん中の呪霊の対処も面倒だ。」


男はうんざりしたように踵を返し歩き始めた。


「ま、才を持って生まれたことに感謝した方がいいぜ?だが、無い俺に負けてるようじゃ、結局才能才能ほざいてる上層部の連中も、もうすぐ馬鹿を見るかな」



「にっ逃がさない……待てっ…!!」


男の背中を睨みつけながら腕を伸ばし攻撃を放とうとした瞬間、パシッと腕を掴まれた。


「だ…めだ。返り討ちに遭うだけだ…」


「翔!!」


「大丈夫…ガハッ…」


翔の吐いた血が顔にかかった。

里桜は急いでハンカチを取り出し、翔の口元と鼻血を拭う。



「あ〜そうだったそうだった!」


突然男の声が聞こえ、顔を上げると、男が歩きながら何かを喋っている声が聞こえた。


「才輝がもう終わらせてりゃいーけど。神塚昴を殺れたんなら余裕だろ」



男の笑い声が遠ざかっていった。

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