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「ふん、やはりな…」
「え?」
帰りの車内で、クマが里桜のスマホを弄っているのだが、不敵な笑みを浮かべはじめた。
ホイと渡されたその画面を覗き込む。
「えぇ?!ななにこれぇ?」
「見ての通り、あのバカ2人だ。」
「そんなの見ればわかるよっ!」
なんとそこには、
昴と翔の顔写真に、下の方にはカウントダウンタイムのようなものが表示されている。
「っ!!懸賞金をかけられてる?!」
「おう。ウケるな」
「ウケないよ!!早く翔に連絡しなきゃ!!」
呑気なクマを一喝してから急いで電話をかけようと、震える手でスマホを操作する。
翔とのやりとりのページ…
今日は何度もやり取りをしている。
"暴れてたのは何人かとっ捕まえたので今から根城の方を探ってくるよ!"
"えっ早いっ流石!"
ー添付写メー
その写メには、捕縛した犯人たちの前でピースしている昴と翔が写っている。
"ビルに潜入中なんだ"
"そうなんだ。気をつけてね。
不審者で通報されないよーに!"
"そっちは大丈夫?"
"こっちは現場向かい中だよ!
森さんの車で森に向かい中!"
"笑…気をつけてね!怪我するなよ!"
"よゆーで終わらせる!"
ここからメッセージは途絶えている。
電話の呼出音が鳴る。
先程のこともあり、ドキドキしすぎて心臓が爆発しそうだ。
横目でクマを見ると、森となにやらお喋りをしているようだが、その内容すら全く耳には入ってこない。
«…里桜?»
「あっ!翔っ!」
«任務は終わった?怪我はない?大丈夫?»
真っ先に自分のことを心配してくれる、その愛しい声に、思わず目がうるうるとしてきてしまった。
「だ、大丈夫!ねぇ翔たち今何してる?どこいる?」
«今ちょうどまた何人か撃退したとこなんだ。昴も向こうでなんかやってる»
耳を澄ませると、向こうの方でなにやら騒がしい声が聞こえる。
そして翔が電話を少し遠ざけて、そちら側に呼びかけてるようだった。
「あっあのね翔聞いて!2人に懸賞金がかけられてるよ?」
«えぇ?懸賞金?»
「うん!5000万の懸賞金。明後日の正午までの期限付きで…」
«…なるほど。だからエレファンでもないようなのがさっきから湧いているのか…はぁ…»
「すぐそのサイトを送るから!!」
«ありがとう。さすが里桜だな。助かるよ»
「ううん、クマが見つけてくれたの!私はなにも…」
«でもこうしてすぐ知らせてくれたのは里桜だ。…っあ!とりあえず昴と合流しなくちゃだから一旦切るね!ありがとう里桜。»
切羽詰まった感じで電話は切れた。
それでも里桜は嬉しかった。
役立たずの自分に、大好きな人が感謝の言葉をくれた。
早く会いたい…翔に…
里桜は急いでそのサイトを添付した。
「ロン毛とグラサンは無事だったかー?」
クマはいつの間にか森さんからもらったガムで風船を膨らめている。
「うん…なんか結構余裕で大丈夫そう…」
「ふうん。今だけかもしれんが。」
「っえ?」
クマは只者ではない上に、今回のように予感的中率も半端じゃない。
そんなことを言われるとたちまち不安になってしまう。
「油断禁物だっつーことだ。」
パチンッと風船ガムが割れ、ベタリとクマの口にへばりついた。




