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「おい、見ろよ。あそこにいんの翔と里桜じゃね」
クマの一声に、昴は少しだけ頭を浮かせる。
「はぁ?どこー?」
「あれだ。あの頭。」
そう言われて視線を走らせる。
向こうに見えるのは、首から上だけ出ている2人だった。
しかもずーっとキスをしているものだから呆れ顔になる。
「っは、なにしてんだか、あいつら」
「溺れ死にそうだな」
クマは心底面白そうに笑っている。
昴は、なんとも幸せそうな2人に目を細めたあと、また上体を戻して寝そべった。
サングラス越しなのに、果てしない空の青さが澄み切っているのがわかる。
このままずっと、このオッドアイなんか使わずに空を見つめていられたら……
「ひっ…あぁ!待ってやばいよ!?」
冷たい水の感触が顎まで来たことがわかり、瞬時に唇を離してそう言う。
「ははは、やばいね」
笑ってる場合じゃないんだけどと言いたくなるくらいに深くまで来ていることに気が付き唖然となる。
しかし翔は満更でも無い様子で腕を緩めてきた。
「!?…ちょっとちょっとちょっと!!
なにしてるの待って!」
「なに、そんなに怖がることないよ。
浮かべるって。……じゃー離すよ」
「いや!待ってお願い!ここわいってぇ」
翔に腕を離されて、必死にしがみつくだけの形となったのだが、意外にも自分の体が浮いていることに気がついた。
「ふぁ……っ…」
「ほら、手離して。このままじゃ私が泳げない」
余裕そうな笑みを浮かべている翔から一瞬だけ手を離し、またしがみつく。
これを何度か繰り返していくうちに、
「…あ……意外と平気かも?」
里桜は片手だけ翔の腕を掴んで浮くことが出来た。
しかも意外と楽しくて気持ちがいいと感じる。
「だろ?じゃーこのままあの呑気な2人のところまで行こう」
そう言って指さす向こう側には昴とクマの乗る大きな浮き輪。
いつの間にか、割と近くまで来ていたんだなぁと気づく。
2人は気が付いていないだろう。
そう思ったら自然と口角が上がり、翔の顔を見ると、彼も口角を上げていた。




