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「羽実くんにも会えて嬉しいよぉ〜!
クマとも遊んでくれてありがとうね!」
「姉様の好きなものは私も好きなのです。」
あぁ、だから私にいつも優しくしてくれるのかぁ
と里桜は思ったが、別にそんなことはなんでもよくて、とにかくクマにお友達ができた気がして嬉しかった。
浜辺でクマと貝殻集めや砂遊びをしている羽実は、一見普通の可愛らしい男の子にしか見えなくて自然と笑みが零れる。
「お姉さんのことが大好きなんだね!
それに羽実くんもすごく愛されているし、
いいなぁ…私も弟が欲しかったなぁ…」
「私は姉様の所有物でありますので。姉様が愛でているのは家族ではなく、家族という雇用関係ですよ。」
そう真顔で言いながら、砂の山の上に石を置き始めた。
言っていることもやっている事も意味がわからずポカンとする。
「……?」
「おい、羽実、変なのいるぞ〜」
クマの声に視線を移すと、そこには大きめの蟹が歩いている。
里桜がギョッとしていると、羽実は全く怯まずに蟹を掴んでバケツに入れた。
バケツの中で、カニは身動きが取れずにジッとしてしまった。
「誰の所有物にもなれないものは、悲しいものですからね…」
そう言ってしばらくバケツの中を覗き込んだ後、またクマに向き直った。
「クマくん!姉様から半径2m以上は離れないでくださいね!」
「……おいらお前の姉貴の所有物じゃねぇんだが」
「私といる以上はあなたも姉様のものです!」
「ちげーよ。おいらは里桜のもんだ。あと、あそこにいる天馬翔もな。」
そう言って指さした向こうには、パラソルの下でマリンベッドに寝そべっているサングラスをかけた2人がこちらを見つめていた。
昴はいつもサングラスをしているけど、翔がそれをしているのを見たのは初めてだ。
似合いすぎていてかっこよすぎて素敵すぎて今日はずっと顔が赤いかもと里桜は思った。
里桜が大きく手を振ると、翔が笑って手を振り返してくれた。




