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6

「おいおい、んなジロジロ見惚れてんなよ。」


「……昴、君だってさっきから人のこと言えないだろう。私が気が付いてないとでも?」


「へーへー。船酔い中の人にいじわるしないでもらえる〜?」


はぁとため息ひとつついて昴はパラソルの下に横になる。


「気がついていることがもう1つあるからな、昴。」


「んーなにー」


無機質な声を出して目にタオルを置いたまま寝ている昴を覗き込み、翔はそのタオルをバッと取った。


「うっ!眩しっ!ん、なんだよいきなりっ!」


片目を開けると、険しい顔をした翔が睨み下ろしてきている。


「人のものに他人の臭いがつくのは我慢できないんだよ、私はね。」


「…はぁ?なにそれ、羽実坊やの所有物理論のパクリ?」


陽の光に照らされてますます煌々と光る碧眼と、光を背にして影を作る漆黒の瞳が同時に細まりだす。


向こうの方で、きゃあきゃあとはしゃぐ彼女達の声が聞こえてきた。



「そう、人の所有物に手を出さないでくれ。」


「…出してないんだけど?」


「臭いがついてて分かるんだよ。君のその強烈な香水みたいな臭いがね。」



眉を顰める。

船酔いのせいで頭がぐらついていたのに、さらに揺さぶりをかけられているような感覚がしてきて目眩すらしてくる。



「……俺、香水なんて付けてねぇよ?」


「でもわかる。魔力の臭いと言った方が正しいかな?

私は鼻がいいんだ。知っているだろう?」



もう何百回も幾度となく魔物を飲み干し、味わい、感じているから、操術を扱う者として、人より五感が研ぎ澄まされてしまっていると言いたいらしい。



口角が上がっているのに、全く笑っているように見えないその表情が不気味だ。

昴は短く息を吐いて目を瞑った。

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