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そして、無事に全員でこの日を迎えることができた。
目の前に広がるのは透き通った青い海と青い空。
天候にも恵まれて最高だと思った。
風も強くなくて気持ちがいい。
あちこちでシュノーケリングをしている人や
海水浴をしている人、遠くにヨットや小舟が見える。
たくさんのパラソルが並んでいる。
やはり夏休みシーズンということもあって人が多い気がするが、それでも今日は結構少ない方らしい。
というのは、目の前にいる理玖に聞いた話。
ここ伊豆のヒリゾ浜は、海が綺麗で知られる有名スポット。
前に彼女に聞いて、1度は訪れたいと思っていたのだ。
特殊なこの海場には、船でしか来られない。
なんと理玖は船を持っていて、ここへ案内してくれた。
「ほんっと綺麗すぎるー!透明の海なんて初めて見たかもー!!」
「うんっ!やっばいね!!!てか里桜やっぱその水着ちょー似合ってるよ!」
早々に水着に着替えた里桜と瞳は、もうずっと興奮状態。
水着は、瞳のアドバイスで選んだもの。
最近流行りの形のビキニらしい。
しかし、瞳の方が色気が出ていて似合っているなと思ってしまった。
その数倍上を行くのはもちろん理玖なのだが…
と思ってチラリとそちらを見ると、目が合った。
実にナイスバディだ。
元々色気のある顔立ちとその体型がビキニ姿ともなれば、周りの目までをも惹き付けているのはさっきから気がついている。
「どうだいー?かなりいい場所でしょう?」
「はい!ほんと圧巻です!ありがとうございます理玖さん!」
「礼には及ばないよ。里桜ちゃんの頼みならば私はなーんでも聞くさ。」
フッと弧を描く分厚いその唇を見つめて笑みを零す。
理玖は出会った頃から、随分と里桜を気に入っている。
理由は里桜自身も分からないのだが、今までもよく遊びに誘われていて、なかなか都合が合わずにいたのだ。
今回、みんなを連れてくる形にはなってしまったが、ようやく理玖さんと遊べることを嬉しく思っていた。
しかし理玖は少し眉をひそめて言った。
「本当は、里桜ちゃんと2人きりが
…良かったんだけどねぇ?」
その艶めかしい表情と声色にドキリとなる。
「な、なぜですか?」
「んんー…だって里桜ちゃんはなんだか…私の五感を滾らせるんだもの…私の所有物いや…料理したくなってしまう…というかね。」
ペロリと舌なめずりをする理玖にゾクッとする。
しかし相変わらず発言が意味深で笑ってしまった。
昴はさっきから船酔いの余韻が治らないらしい。
サングラスをとってうーうー唸っている。
「つーかさーなんでお前もいるわけぇ?
ガキはプー野郎だけでじゅーぶんなんだけどぉ?」
昴は額にタオルを当てながら羽実を睨んだ。
「私は姉様と行動を共にしているだけで、決してあなたのような謎の障害物に会いに来たわけではありませんよ。私は姉様の所有物ですので。」
「あぁ?!」
「私達も行きましょうかクマくん」
「おう!」
羽実はいきり立つ昴を無視してクマの手を引き、理玖たちの方へと行ってしまった。
「はっ、ガキが言うセリフかよ、相変わらずうぜー」
翔はさっきから笑いが堪えきれずにいる。
「はっはっは…まぁただの子供だとは思わない方がいいね。それよりこの暑さだと皆倒れてしまわないか心配だなぁ」
そう言って、はしゃいでいる里桜の方へ目を細める。
初めて見る水着姿の彼女……
言葉にならない感情が押し寄せて押し黙る。




