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喫茶店

非常に近しい相方と夕食に蕎麦を食べに行った帰りの話です。




その日は連日の残業で疲れていました。


それでお気に入りの蕎麦屋へ行って、気分をリフレッショしようと思ったのです。




蕎麦を食べた帰りは大抵コーヒーを飲みに喫茶店に行きます。


蕎麦の後のコーヒーは、意外なほど良く合うのです。




その日も車を運転しながら、いつもの様に




「コーヒー飲みに行く?」




と話を切り出した時のことでした。


突然胸騒ぎが起こったのです。


前日の日記の内容の時からですので、本当に久しぶりの胸騒ぎでした。


すると相方は、




「どちらでもいいよ。」




と応えました。


相方がそう応えるや否や、先日の日記の様な悪意はないのですが、突き刺さるような視線が3つ、僕に浴びせられたのです。


女性一人、男性二人の三人です。


もっともかろうじて性別が分かる程度まで、形は崩れています。




その視線の先を辿ってみると、これから行こうとしていた喫茶店からでした。


その座席も特定出来ました。


しかし、その周囲、いえ、その喫茶店には、その視線の主たちは居ません。


主が居ないにも関らず、視線だけ感じるのです。


僕は不思議に思い、その喫茶店に行ってみる事にしたのです。




程なくして喫茶店に到着しました。


胸騒ぎは依然として消えません。


僕は喫茶店でこれから起こるであろう事がまったく予想が出来ず、店内に二人で入っていきました。




店内に入ると、先程の視線の主たちを探しました。


しかしどこにも感じません。


店員に席まで案内されると、案内された席は、やはり先程の視線を感じた席でした。




不思議に思いながら席に着き、僕はマンデリン、相方はカフェモカを頼みました。


胸騒ぎは相変わらず続いています。




コーヒーが到着し、たわいない話をしていたところ、それは突然起こりました。




いきなり店内に負の気が入り込んで来たのです。


それは店の入り口からでした。


生憎僕たちの席から、入り口を見ることが出来ません。


僕の席からは、入り口から通じる通路が見えるだけで、ちょうどそこが角になっています。




徐々にその負の気が、その角の方に3つ近付いてきます。




僕は相方と話しをしながら、気はそこに見える角に集中しながら気を貯めていました。




負の気とはいってもそれほど強くもなく、邪さはあまり感じません。


その為に油断していたのです。




僕の席から見える角からちょうど店員が出てきました。


その後に男性が二人続いて出てきました。




どうやらこの二人に、その三人の霊が憑いている様でした。


一見したところ、何処かから拾ってきた自縛霊、もしくは浮遊霊が取り憑いている様にしか見えません。




その店員は僕たちの横を通り抜け、男性二人もそれに続いて僕の横を通り過ぎようとしたとき、突然その三人の霊が牙を剥いたのです。


牙を剥かれた瞬間に、僕もその三人に向けて気を放ちましたが、その三人の霊はそれよりもはるかに強い邪気で襲い掛かってきたのです。




一瞬でした。


体調が悪かったというのは、言い訳にしかなりません。


僕は三人の霊に取り憑かれてしまいました。


浮遊霊などと勝手に考えていましたが、もっと邪な霊でした。


三人からは果てしない憎しみしか感じられません。


しかもその三人の憎しみは入り混じって、非常に強くなっていました。




全身から脂汗が滲み出てきました。


頭も朦朧として、今にも気を失いそうでした。


三人は争って僕の気道に入り込もうとします。


正直なところ、それを押えるので精一杯・・・というのが本音でした。




「そろそろ帰る?」




と僕が言うと、




「まだコーヒーが来たばかりでしょ!?」




「それはそうなん・・・」




そういうと僕は一瞬眩暈がして頭がカクンと落ちました。


それを見た相方が




「疲れてるの?分かったわ、帰る?」




なんとか相方の肩を借り、店を出ることにしました。


会計が済み、外に出ましたが、とてもじゃないですが運転なんて出来ません。




それで相方に




「運転お願いしても良いかな?」




そういうと助手席に滑り込みました。






相方の家に着くと、塩を貰い相方の部屋の中に、以前氷室君がしてくれた様に四方に線を描き、その中に座ると早九字を切り続けました。




3回目で漸く浄化が済むと、僕はその場に倒れこみました。






ごっそりと生気を奪われていたからです。




座りなおすことが出来るようになったのは、それから3時間が過ぎようとした頃でした。












よくよく冷静に考えてみれば、胸騒ぎが起こるというのは、相応の相手であること・・・


それを忘れていました。


これが今回の僕の失策です。




なぜ相応の相手であるということが分かるのかは、おいおい日記に書きます。







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