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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 海空決戦
99/110

飛べ、魚たち!

「お疲れ様でーす」

「こんにちはっす。イグノさん」


 なんかアップデートがあったらしいUAOにログインした。

 拠点には、昨日夜遅かったにも関わらず、まちまちとメンバーがいる。


「誰かアプデ内容を知ってる人いる?」

「前までは自分で調べてたのニ……」

「退化を感じるっす……」

「もっと熱くなれよ!」


 なんか外野がうるさいけど、甘々なミワが教えてくれた。

 夏休みキャンペーンとかで、魚は飛べる様になり、鳥は泳げるようになったらしい。

 期間限定で、SEAの住人はSKYの世界にも行け、SKYの住人はSEAの世界に行くことができる。


「つまり、運営がサブハードを買わせようとしてるんだよ」

「……?」

「おい、純粋な中学生もいるんだぞ!」

「まあまあ。ダーリン、空の果てまでデートしに行こうよ」

「……そうだな、行くか。空のダンジョン」


 ってことで、イグノ、アンペル、ミワ、Rex、マドカの5人で、空中にある古代のダンジョンに行くことになった。





 反転都市ルネ肆アから、上へ、上へと泳いでいき、水面に辿り着いた。

 多少の不安感を抱きつつも、さらに上を目指し……空中へと飛び出した。

 今まで感じていた冷たい水の感覚は消え失せ、暖かいそよ風が体を包み込む。


「空を飛ぶって、こんな感覚なんだな」

「水がないのが不安っすけどね」

「しっかりバーを着けているのに、ジェットコースターが怖いみたいな感じがする」

「……ジェットコースターの話はしないでくれ。トラウマが蘇る」


 ミワにジト目を送ったけど、笑顔で返されてしまった。

 ……ちょっと可愛いのやめろ。


「それで、古代のダンジョンってのはどこにあるんダ?」

「えっと、あっちにスカイの都市があって、あっちが町だから……あのジャングルだね」


 アンペルの質問にミワが答える。

 彼女の指さした先には、木が生い茂り、ツタが伸びきっているジャングルがあった。


「火の扱いには気を付けてくれよ」

「あ、あ、あ当たり前だろ!?」


 下手したらダンジョンを燃やし尽くしそうなRexに釘を刺し、ミワが先行してツタを斬り、道を切り開く。

 ……ダンジョンに入ってからは、雰囲気作りからか、少し暑くなった気がした。


「……よく燃えそうだな」

「振りじゃねーぞ? 絶対にすんなよ?」


 いまいち信用がないRexを背後から見張り、ジャングルの奥地へと進み続ける。

 すると、前に居たミワが俺を引っ張り、


「見てみてダーリン!鳥だよ!」

「GYAAAAAA」


 前方に、ティラノサウルスに羽を付けられた、恐竜鳥がいた。

 やっぱこういうコラ画像みたいなモンスター見てると、ここもUAOなんだなって思うわ。


「GYAAAAAA!」

「【RAILGAN】」


 口を開いて突進してくる恐竜鳥の胸元を、アンペルの銀弾が貫いた。

 少し怯むも、すぐに持ち直して噛みついてきたが、余裕でマドカが受け、二発目のレールガンで倒した。


「連射できるの便利そうだな」

「そうっすね」


 基本的に必殺技は1日1回なので、雑魚狩りには向いていない。

 その点、何発も連射できるアンペルのは使いやすそうだ。


「よし、雑魚狩りは任せた」

「任された【RAILGAN】」


 草をかき分けてきた恐竜鳥の群れに、次々と黄色の稲妻が刺さる。

 たまに攻撃してくる奴がいても、ミワがデコイで騙すかアンペルが籠手で受け、そこをまたレールガンが貫く。

 気が付いたら、相手は全滅していた。


「よし、よくやった!」

「……イグノさんも働いて下さい」

「ほら……サーヴァントに指示を出すマスターみたいな感じだったじゃん。見張ってたし」

「そうだよ。ダーリンが後ろから温かい目で見守ってくれるから、私たちは安心して戦えるんだよ?」

「……そうっすね」

「納得しないで?」



 そんなこんなで、ジャングルが途切れて広い空間が広がった、ボス部屋っぽいところに着いた。

 まあ、仏様でも必殺技を使ったら割と簡単に倒せたし、なんとかなんだろ。


「っし、必殺技でゴリ押すぞ」

「はーい」


 全員でボス部屋に入ると、部屋の中央が光り始めた。

 そして、そこから出てきたのは……背中に剣山を刺した、ステゴサウルス鳥が現れた。

 かなりのサイズで、俺の身長の五倍ほどある。


「SUTEEEEEEE!」

「燃え上がっていこう!【顕幻・イクチ】」

「いくっすよ!【顕幻・ヒュドラ】」


 相手に対抗するように、うちの顕幻コンビも姿を現した。

 ちなみに、マドカのヒュドラは炎に弱いので、相性もクソ悪い。


「HYUAAAAAAAAAAAA(〈水蛇の猛毒〉)」


 ヒュドラが毒霧を吐き、初手からダメージを稼いでいく。

 それをウザく思ったのか、ステゴサウルス鳥はヒュドラの首の一つに噛みついたが、さしたダメージにはならない。


「【RAILGAN】」


 ヒュドラの頭に乗ったアンペルのレールガンが、奴の頭に刺さったが……かなり硬いのか、貫けはしない。

 ……俺とミワだと火力が足りなさそう。


「攻撃は任せて、掻き乱しに回るか。【終焉まで続く加速】」

「そうだね。【偽りの魚群】」


 俺が加速でステゴサウルス鳥の近くを飛び回り、100人に増えたミワが、奴を混乱させた。

 たまに消えることはあるが、その全てが実体のない方だった。


「SUTEE!」


 マドカの毒とアンペルのレールガンで、既に四分の一ほど削れたステゴサウルス鳥は焦ったように次の技を繰り出した。

 背中の剣山を千切って手に取り、ヒュドラに鋭い切り傷がついた。

 すぐに治るが、マドカのHP自体は減っている。


「っし、やること見つけた」


 加速で目の前を飛び回り、ヘイトを取る。

 想定通り、こっちに向かって剣山を振り回してきたが、そこまで速くないので簡単に避けられる。


 そして……皮膚が厚いせいか、下半分がRexの油で濡れているのに気付いていない。


「IKUTYAAAA!」

「分かっタ。【RAILGAN】」


 アンペルのレールガンが油に当たり、着火させた。

 半身が炎に包まれ、一気に残り半分まで削れた。


「へッ、あと半分か」

「楽勝だナ」


 しかし、次の瞬間。

 ステゴサウルス鳥の体が震え出し……全身から白い骨が生えてきた。

 一気にゴツくなり、謎に毒の状態異常が消えた。


「外骨格ってやつカ」


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