実際楽しそうなボーリング
「……ギコーの必殺技名は?」
「【|全てを削るノコギリ《アブソリュート Saw》】、絶対切断の一撃必殺技だぜ」
「部屋の場所ハ?」
「えっと、手前から3番目の右側だぜ」
「一番好きなポケ〇ンは何っすか?」
「そんなん話したっけ? ヤンチャムなのぜ」
その知識、話し方、好きなポ〇モンは、圧倒的にギコーだった。
目の前の女性は、やはりギコーなのだろう。
さすがの会長も目を剝いている。
「……言っとくけど、トランスジェンダーとかじゃないからな。アバターを女にする男と同じ感じだぜ」
「そうか……てか名前を聞いてもいい?」
「ああ、沖田紬だ」
「俺は辰海……」
本日2度目の自己紹介をし合った。
ちなみに、Rexとマドカは今日だけで4回も自己紹介をしていたらしい。
「……覚えれそうにないから、ゲーム名で呼んでいいか?」
「昔から人の名前を覚えるの苦手だもんな」
「うるせえ、行こう!」
ガンツの突っ込みを勢いで押し切って、ゲーム名で呼び合う事にした。
「よし、これからどうする?」
「ゲーセンか、カラオケか、ボーリングか……どれがいい?」
「多数決デ」
多数決した結果、カラオケとボーリングが同数だったが、料金を持つアンペルがボーリングと言ったので、そうなった。
1番近くのボーリング屋を調べ、2レーン使ってボーリング大会が始まった。
「ビリの奴は飲み物おごりな」
「十人分って結構ですよー?」
「負けなければいいんだよ。負けなければ」
まあ、中学生のファニーとマドカがいるから、ビリだけはないだろう。
……そう思ってました。
「やったー、ストライクだ!」
「ほ、ほう?」
「やりますねえ、ファニーさん。負けてられないっす!」
マドカの8Kgが、全てのピンを倒した。
あれー、ゲームが上手いマドカは置いといて、ファニーは?
「昔、お前がボコボコにしたからだろ」
「あー、そんなことあったな」
その他、腕が良くわからなかったシェンラさん、ギコー、Rex辺りも、そこそこ上手い。
そして、俺の初投は……6‐2の合計8。
「大丈夫カ?」
「……あれだな。普通にやっても面白くないし、特殊ルールを付けよう」
「重炎球覇!」
Rexがクソダサい技名を叫び、赤いボールを投げた。
凄いスピードで、一番前のピンに向かっていき……連鎖が起こって、全てが倒れた。
「ッシャあ!」
「まあ、アリ」
「安定択って感じだね」
俺が3秒で考えた謎ルール、投げるたびに技名を叫ぶ。
過半数がOUT判定を出したら、その点数はノーカウントになる。
「グラビティアボール!」
「BOWLING CANNON」
「……ドカン!(超大声)」
周りから、めちゃくちゃ奇異な目で見えられているけど、めちゃくちゃ面白いからどうでもいいわ。
一番笑ったのは、ギコーが高音でパワーって言ったやつ。
「えっと……珠」
ラチックが、綺麗なフォームで全てのピンを倒したが、
「……アウト」
「さすがに珠だけはなぁ」
設定を開き、点数をノーカウントにする。
これで6連続だ。
「翔球漸」
今度は、ミワがサッとボールを投げ、やはりストライクになる。
「漸がなんも関係ないのがマイナス」
「語感はいいからセーフ」
「……そんなのでいいの?」
結局、ネーミングセンスとボールングセンスが両方良かったミワが一番だった。
ネーミングセンスのみだとガンツの「全て薙ぎ倒せ」がトップかなぁ。
「あー、やっぱ夏にはアツアツコーヒーだな」
ビリのラチックから奢ってもらったアイスコーヒーを片手に、みんなと少し離れた場所で熱を冷ます。
誰かに奢っもらうのが一番美味いわ。
ドッ
一人で飲んでいると、隣にスポーツドリンクを持ったギコーがやって来た。
「よぉ」
「おー。どうだ?楽しかったか?」
参加を渋っていた彼女に、感想を聞いてみる。
「ああ。来てよかったぜ」
「そりゃ良かった」
二人で同時に飲み物を一口飲んだ。
……今後、たまにギコーが女体のサブ垢でUAOにログインする様になることを、今はまだ誰も知らない。
もうSKYに抜かれてて草
短編『幼馴染は聖剣を引き抜き、俺はその鞘を引き抜いた。』を投稿したので、暇な人は作者マイページから飛んで、読んであげて下さい。