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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 海空決戦
97/110

アンペル待望のオフ会

 SKY抜いた記念投稿(SEA170 SKY168)pt

 イベントが終わり、8月に入った。

 では、8月といえば何か? もちろん夏休みだ。

 もうイコールで繋いでもいいくらいである。

 7月の内に生徒会の仕事も終わらせたし、宿題は……まだまだ日数があるから大丈夫だろう。

 まあ、特にやることもなく、怠惰にUAOにログインするのだが。


 パソコンが12台に増えた自室を後にし、誰かいないかとリビングに行くと……ほぼ全員が揃っていた。

 席に座り、アンペルの演説を聞いている。


「何やってんだ?」

「イグノ……お前、夏休みになったらオフ会しようって言ったよナ!?」

「言った気がするし、言わなかった気もする」

「言ってた、絶対に言ってタ!」


 アンペルが子どもの様に地団駄を踏む。

 いや、マジで覚えてないし……読み返すのも面倒だし。

 アンペルにオフ会への憧れがあることは思い出した。


「半分くらい中の人を知ってるんだけど……まあいいかやろうぜ」

「私も生イグノさん見てみたいっす」

「ほぼこっちと変わらんぞ」


 それぞれの予定を確認し、オフ会の日程と場所を決める。

 ちょっとラチックは渋っていたけど、長い説得の末、「いい機会ね」と呟いて、参加を表明した。

 問題はあと一人。


「えーっと……俺はちょっと無理そうだぜ」


 ギコーが、凄く行きたくなさそうにしている。

 あの陽キャっぽいギコーが、こんなに行きたくないオーラを出すとは……。


「なんかあんのか?」

「……海外に行くんだよ」

「へー、どこに行くんですか?」


 シェンラさんが割り込み、ニコニコ笑顔でギコーに詰め寄る。

 そういえばリア友だったな。


「海外、行きませんよね?」

「ウッ……でも参加はしねーからな」

「そうですか……まあ、手が滑ってあなたの写真が出て来るかもしれませんけど」

「……テメェ」


 凄い権幕でシェンラさんの襟首を掴み上げた。

 流石に止めに入ろうとしたが、それをシェンラさんが止め、


「あなたは、ここの人たちが信用できないのですか?」

「それは……」


 目線を外して、気まずそうな表情になった。

 さらに、シェンラさんが言葉を重ねて、


「受け入れてくれますよ。信じなさい」

「……分かったよ。行くよ」


 《海馬組》のオフ会に全員参加することが決まった。

 ちなみに交通費は全てアンペル持ち。





 オフ会当日。

 見知った仲であるガンツ、ファニー、アンペル、ミワと電車に乗って、会場であるカフェへと向かう。

 誰が俺の隣に座るかとかいう、メチャクチャどうでもいい問題はあったが、特に迷うことなく目的地に着いた。


「ここだよな?」

「そうダ」


 店内に入り、見渡すと……一つのテーブル席に褐色肌の女と、中学生くらいの少女がいた。


「……Rexとマドカか?」

「おー、イグノか。こっちでは村雨(むらさめ)冷華(れいか)な」

「私は池上由真(ゆま)っす」

「俺は……」


 名前は冷たい村雨冷華と、現実でも「~す」口調の池上由真と自己紹介をし合った。

 Rexが褐色なのを除けば、大体予想通りの容姿だった。

 ……肌の色で印象は結構変わるのだが。


「あと来てないのは、シェンラさん、ギコー、ラチックか」

「なんかゲームでもするカ?」

「折角だし、根掘り葉掘り質問大会しましょう。……悠馬さんとミワ、じゃなくて、伊織さんは、現実でもあんな感じなんっすか?」

「そうだよ♡ 何時でも何処でも私とダーリンはラブラブなんだ♡」

「ああ、そうだな……(諦め)」


 ゲームの中では意図的にリアルの話は避けていたけど、見知った人と話すのは言い表せない楽しさがある。

 その後もグイグイ話し込み、初対面の人には絶対にする「統華の魅力講座」について東間が語る最中、


カランカラン


 誰かの入店を知らせる鐘が鳴った。

 もしかしたらうちの人かと思い、入口の方を見ると……そこにいたのは、会長こと越湖シャロだった。

 彼女もこっちを見つけたかと思うと、ずんずん歩み寄って来る。


「奇遇ですね、会長」

「どうかしら。偶然じゃなくて、必然かもよ?」


 そう言って……伊織を押しのけて俺の隣に座った。


「ダーリンの隣は私のなんだけど」

「対面の方が恋人っぽわよ」


 一言で伊織を黙らせ、さも当然かの様に飲み物を注文する。


「えっと、今日はとあるゲームの集まりで……」

「《海馬組》でしょう?」


 ……どうして会長がクラン名を知っている?

 情報過多で脳がオーバーヒートしそうだ。


「ラチックさん、自己紹介を頼むっす」

「え――ゑ?」

「まだ全員揃ってないから、二度手間になるけど……まあいいわ」


 彼女は席から立ち上がり、胸に手を当てて、


「ラチックこと、越湖シャロです。よろしく」

「よろしくナ」

「え、ディアは知ってたのか!?」

「逆に知らなかったのカ? 一目瞭然だろ」


 速報、ラチック=会長。

 戸惑いつつも、ファニー、Rex、マドカに俺たちの複雑な関係について語った。


「戦闘の時は察しが良いのに、このことには気付かなかったのか……」

「だって、初めて会った時にゲームはしないって言ってたし……」

「悠馬と仲良くなるために、UAOを始めたと」

「統華さん、少し黙りましょうか」

 

 さて、あとはシェンラさんとギコーだ。

 知り合いっぽいし、一緒に来るのかな?


カランカラン


 再度、入店を知らせる鐘が鳴り、シェンラこと沙織さんが入って来た。

 同年代の女性を連れて。


「悠馬さん、久しぶりです」

「ああ、一か月も経ってないけど、久しぶりです。……それより、その女性は?」


 今度は俺だけでなく、リアルギコーを知らない全員が疑問を持った。

 謎の女は腰に手を当て、もう振り切ったのか、いっそ自信満々に彼らしく。


(オレ)がギコーだぜ」

「ええええええええ!?」×7


 《海馬組》一番の(おとこ)は、女だった。

 これは初期プロットから決まってた。

 冬休み、暇すぎて死にそうな人は、伏線を探してみてね。


 短編「筋トレしたら、最強の魔法使いになりました」も投稿したので、暇だったら見てあげて下さい。


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