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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
96/110

決勝

『お前、決勝行ったの?』

「まあな」


 緊張をほぐすために、ガンツと日常会話をする。

 何だかんだで一番長い付き合いだからな。


「なんかアンペルにトーナメント表見んなって言われてるんだけど、なんかあんのか?」

『ああ、見んなよ絶対見るんじゃねえぞ!』

「振りか?」

『違う』


 本当に何があるんだ?

 今すぐ見たい気持ちもあるけど、面白いことになるらしいし……一応見ないでおくか。


「そういやお前何にやられたの?」

『なんかミワと当たって……なぁ』

「そっか……」


 100人に分身するミワには勝てないだろなぁ。


「ん、そろそろ行く」

『そっか。ラ……頑張れよ』


 通信を切り、決勝戦の会場へと向かった。





「あー、うん。ゴミが」

「よろしくね」


 決勝戦の相手は……ラチックだった。

 確かに面白いことになったね。俺以外にとって。


「なあ、俺の必殺技知ってたりする?」

「……知らないわよ」


 絶対アンペル辺りから聞いてんじゃん。

 俺はラチックの必殺技なんて知らないんだけど。


「ねえ、必殺技の内容教えてくれない?ほら、フェアに戦いたいじゃん」

「大丈夫よ。どっちにしても……勝敗は変わらないから」

「なら教えろよ!」


 なんかそれっぽい言葉と気迫で押し切ってるけど、普通に情報アドバンテージあるからな。


『そろそろ始めるよ』


 ザ・フィッシュの声が開始が近いことを伝えた。

 開始からハンデを背負ってるのはアレだが、割り切って構えを取る。

 ラチックも、恐らく鱗器であろう、新しい槍を構えた。


『よーい、ドン!』

「加速!」

「【Orcinus(冥界から) orca(の使者)】」


 今回は普通の加速で一旦下がり、ラチックの様子を確認する。

 必殺技を発動させた彼女は、黒い(もや)に包まれていた。

 ……もう既にヤバい雰囲気を感じるのですが。

 息を飲みながら、段々と薄くなっていく黒い靄が、完全に無くなるのを待っていると、


「〈冥葬〉」

「ッツ!【終焉まで続く加速】」


 黒い矢じりの様な物が、靄の中から飛ばされた。

 もう加速はできないので、必殺技を発動させて避ける。


「それが噂の永続加速ね」

「噂のって、やっぱ知ってんじゃねえか!」


 ラチックの失言に突っ込みを入れていると、ようやく靄が無くなり、ラチックの姿が見えてきた。

 始まる前は何故かメイド服を着ていた彼女の衣服は、真っ黒な……前衛的な水着の様なものになっていた。


「……ドンマイ」

「……これだから靄が無くなる前に決着をつけたかったのよ〈冥葬〉」


 流石ラチック、しっかりと動きを先読みして飛び道具を飛ばしてくる。

 まあ、俺の方が断然速いから、幾らでも後だしで避けられる。

 逃げ状態になっている俺を捉える手段がないなら、ゆっくりと熱をチャージしてから……


「〈冥転〉」


シュン


 飛び道具が飛んでこなくなり、諦めたのかと気を緩めた瞬間。

 超近距離に、ラチック本体がいた。


「ッツ、〈アクセラナックル〉」

「〈死槍〉」


 突き出された槍を左手で迎え撃ったが……見事に撃ち負け、左手がグチャグチャになった。

 左にしといてよかった。

 無駄にリアルなそれを(こら)え、とりあえず止まらない様に通り抜ける。


 ひとまず距離を取って、損害の確認をする。

 左腕はもう使えないと見ていいだろう。

 何せ、関節より先がほとんど……


「……なるほど?」


 ギリギリ残っていた左腕の関節を曲げようとしたが、全く動かない。

 HP確認がてらメニュー欄を開くと、HPは半分と少しで、状態異常として左腕壊死と記載されていた。


「……槍が当たった部位が、壊死するのか」

「その通りよ〈死槍〉」

「ッツ!」


 また特殊な走法を用いたラチックが、一瞬で俺の前に現れ、槍を突き出す。

 しかし……さすがに安直じゃないか?

 研ぎ澄まされた槍の一撃は、彼女の性格が出ているのか良くも悪くも実直で……読みやすい。


「うおおおおお!」


 タイミングを見極め、槍の刃物ではない部分を掴み取った。

 そのまま引っ張り、驚愕している薄着ラチックに蹴りを入れる。

 もう数発入れたかったが、これ以上は停止判定を食らって即死しそうなので、見逃した。


 さーて……多分同じ手は使えないだろうな……。

 そんなに手札が多い訳でもないし……次で決める。


 大回りで反転し、さっき衝突した地点に留まっているラチックへと突進する。

 彼女も、槍を振りかぶって、迎撃の用意をした。


「〈アンダーワールド〉」

「〈溜摩熱〉」


 上段から振り降ろされる槍だったが、[緩熱摩 リベア]の効果でフェイントをかけた。

 流石に止まりきれず、ボディに大きな傷が入ったが……右腕は動く。

 槍を振って隙ができてるラチックに密着し、


「〈紅蓮拳〉!」


 熱を解放した右手で、吹っ飛ばした。

 そのまま、吹っ飛んでいる最中の彼女に追いつき、


「じゃあな、師匠」

「……教えた剣術は全く使ってないけどね」


 最後の一撃を入れた。


 シャチの学名、Orcinus orca「冥界の魔物」から。


 第四章はここまでです。

 SKYの方に追いつくため、ブックマーク高評価よろしくお願いします。

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