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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
94/110

第4回戦

 次、4回戦。

 少しだけ時間が空くので、《海馬組》のメンバーと連絡を取ると……ガンツ、シェンラさん、ギコーの3人がやられてた。

 ちなみに最下位はギコー。俺みたいな素早くなる系の奴と当たって、ノコギリを当てられなかったらしい。


 これで最下位は免れた訳だが……まあ、行けるところまで行こう。

 負ける意味もないしな。


 と、いうことで、俺はまた決闘場に立つ。

 お相手さんは……また陰キャっぽい、全身黒の黒ずくめ男だった。


『そろそろ始めるよー』


 いつものザ・フィッシュが出現した。

 話しかけんなオーラを感じるが、一応挨拶してみる。


「よろしくお願いします」

「……よろしく」


 声のトーン的に、女性だった。黒い影のせいで、顔は見えない。

 角度を変えて、顔が見えるかなっと検証してみたが、シルエットしか分からないまま、ザ・フィッシュがヒレを振り上げる。


『よーい、ドン!』

「【終焉まで続く加速】」

「【WHITE(ホワイト)DEATH(デス)】」


 どうやら、相手もそこそこ決闘に慣れているらしい。

 陰キャっぽいから、面倒な必殺技を発動させられる前に、さっさと終わらせようとしたが、相手も開始と同時に必殺技を使った。


 彼女は、白い光に包まれて……白い死神となった。

 顔や袖の辺りは漆黒に包まれているが、それ以外のローブ、少しだけ見える腕、そして大鎌は真逆の純白。


 ひとまず突っ込んで、チャージ無しのただのパンチを繰り出した所、


ガチャン! ギリギリ


 純白の大鎌で防がれた。金属と金属が擦れ合う音がする。

 右腕だけ置いて、他の部位を先に動かすことで即死判定を回避していたが、これ以上は右腕が千切れるので、左側を通り抜ける。

 そして、振り向くと……相手の姿が見えない。


「またかよ」


 3回戦と同じ手口を疑って、HPを確認したが、特に減っていない。

 死神みたいな相手だから、透明化でもしているのかと、拳を前に出して、決闘場全域を周ってみる。

 しかし、拳が何かに当たった感触はせず、俺のHPが減っている様子もない。


「うーん? 透明化じゃあなsッツ!」


 ボーっと泳ぎ続け、思考の方に集中していると……俺の進行方向に、いきなり白い死神が現れた。

 白いローブが光を反射して輝き、その分漆黒の顔がより際立って不気味に見える。

 俺から垂直に、遮断機の様に鎌を振り上げた。

 ボーっとしていた分、反応は遅れたが、勢いを落としつつ熱をチャージし、


「〈煌めく死〉」

「〈紅蓮拳〉」


 振り降ろされた白く輝く鎌を、少しだけチャージした拳で迎え撃つ。


ザシュ!

「ッグ!」


 必死で対抗するもこっちの拳が押し負けて、中指に赤い筋ができた。

 これ以上打ち合っていると、こっちの腕が真っ二つになりそうなので、駆け抜けようとしたが、


DEATH(デス)!」

「チッ」


 鎌が左足に入り、恐らくアキレス腱がブッチした。

 一気にHPが減っていくが、俺の加速なら足は関係なく泳げるので、動き的な問題はない。

 では、何が問題かというと、


「またかよ」


 死神は影も形も鎌もなかった。

 まだこの姿を消すギミックが解けていないのが、一番の問題だ。

 クソッ、現れる所を見ておけば良かった。


「……もう一回出てきた所を見るしかないか」


 あたりを見回しながら、某アンパンのヒーローみたいに、両手を前に出して床と平行になる様に泳ぐ。

 スピードを落としてチャージしたら押し勝てるかもしれないが、それだと知らない内に首が飛んでいそうなので、高速で移動し続けなければならない。


「っと、来た」


 また俺と垂直に、白い死神の純白の鎌が振り上げられる。


「気張れよ熊魚ぁ!」

「〈煌めく死〉」


 [緩熱摩 リベア]をフル活用して、ギロチンの様に降ろされた鎌の寸前で急停止し、


「〈紅蓮拳〉」

バアン!


 ほぼ最高火力のリベアで、思いっ切り鎌を殴りつけた。

 鱗器だったからか、へし折ることは出来なかったが、道を切り開くことはできた。

 二度とこんな手は使えないだろうが、もう使わないからいいや。


「みぃつけたぁ!」


 決闘場にチマチマと入り込んでいる太陽光の中に、光が強い部分がある。

 影に潜り込む能力はたまに聞くが、こいつは光に潜り込む能力だ。

 まあ、真っ白な死神っていう時点で気付いとくべきだった。

 表情も姿も見えないが、必死に逃げていそうな相手に追いついて、光の強い所を殴りつけようとすると……光から鎌がでてきて受け止めた。


「DEATH」

「もう通じねえぞ」


 止まらずに通り抜けて、後から振り返ってみると、もう死神は光に潜っていなかった。

 真正面から決着を着けようって訳か……嫌いじゃない。

 できるだけ摩擦熱をチャージし、真向から突っ込む。


「いっくぜぇぇぇ!」

「ですデスDEATHです~!」


 鎌が横薙ぎに振られる前に、急停止。

 最大まで溜められた熱を右手に止め、


「〈瞬転〉」


 あと少しの距離を短距離ワープで詰め、


「〈紅蓮拳・フルバースト〉ォ!」

「……DEATH」


 顔に全力の紅蓮顕を入れ、勝った。

 【ホホジロザメ】


 ジョーズでおなじみ、ホホジロザメ。

 異名、白い死神。

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