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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
93/110

第2&3回戦

 さて、二回戦。

 会場を移動し、装備やステータスの確認をしていると……相手かと思われる男が入って来た。

 ……どこか見覚えがあるような。

 人の顔を覚えるの苦手。


「どっかで会ったことあります?」

「【桃太郎】だよ!」

「ああ、10VS10挑んでボコボコにされたやつか」


 確か能力は、「相手のキルレートに応じて与えるダメージが変動する」とかだった気がする。

 俺のキルレートは結構ヤバい値になっているが……まあ、当たらなければなんとかなる。

 まあ、相手も必殺技が主体になっているだろうが。


「ほら、君は桃太郎だろう?過去の遺恨は消し去って、楽しくやろうじゃないか」

「知るか!〇す!」


 険悪なムードが立ち込める中、開始の宣言をする、ザ・フィッシュが現れた。


『じゃあ、始めるよー!』


 相手の様子を観察しつつ、こっちも構えをとる。


『よーい、ドン』


 今度は、初手から必殺技を使うのではなく、ある程度相手の様子を確認してから動くことにした。

 すると、桃太郎はアイテムボックスから「桃太郎」と掛かれ旗を掲げ、


「【犬・猿・雉 伝説の三匹(レジェンズスリー)】」


 必殺技を宣言した。

 奴の周りに、黒い穴の様な物が多数出現し、


「ワン」

「モンキー」

「キジー」


 犬魚、猿魚、雉魚がゴミの様になだれ込んできた。

 1種類につき10匹の、合計30匹かな?


「っつーか、キジはキジ―って鳴かねえだろ……猿もモンキーって鳴かなくね?」

「モンギャー!」

「キジャー!」


 頭に血が上った様に、20匹の猿魚、雉魚が迫って来たが、


「【終焉まで続く加速】」


 桃太郎の物語通り、引っ搔こうとしてくる猿魚と、つつこうとしてくる雉魚を加速で払いのけ、本体の桃太郎へと向かう。


「ワン!」

「なんでお前だけまともなんだよ……っと!」


 流石に忠犬と言うべきか、桃太郎の護衛の役割を担っている。

 そのうちの一匹を殴り飛ばしたが、一匹に足を噛みつかれ……こいつらにも【桃太郎】のキルレート補正が入ってるのか、割とダメージを食らってしまった。

 やはり、一体一体倒していくのはめんどいな。


「……本体潰すか」


 止まれないので、一旦通り過ぎて相手を俯瞰すると……10匹の犬が桃太郎を360度守っているが、たかが犬。

 穴がある。


 反転する時に、猿魚と雉魚が20体も迫って来たので、少し躱しきれずにダメージを食らってしまったが……そこまで問題ない。

 もう一度、猿雉を振り切って、ある程度熱で火力を上げてから、桃太郎の方に接近し……


「ワン!」

「犬っころが、甘いんだよ!」


 一番近くに配置されていた犬魚に噛みつかれる寸前に……上に避ける。

 このゲームは水中、三次元的な動きがコンセプトだ。

 360度全てを塞いでも、上がある。


「〈紅蓮拳〉」


 頭をぶち抜いて、倒した。

 っていうか、頭は人体一の急所なんだから、一番に守れよな。





 さて、今回は2話セットのお得サービスだ。

 ……まあ、更新頻度が死んでるんだけどね。


 第三回戦、相手はガンツの様なガタイの良い男だった。

 武器はとして、ビッグ爪楊枝みたいな槍を持っていて……100%偏見でいうと、鈍重な重戦車タイプかな?


『じゃあ、始めるよー』

「よろしく」

「……よろしく」


 何となく挨拶したら、挨拶を返してくれた。

 寡黙な人って感じだ。


『よーい、ドン!』

「加速ぅ!」


 相手は重戦車型だと信じて、初手加速で半分不意打ちみたいな攻撃を繰り出した。

 ワンパンでは倒せないとはいえ、混乱と合わせて結構いいジャブになると思っていたが、


「【スモージュラス・スモリウス】」

「ッツ!?」


 俺の拳は、相手を捉えることなくスカって……消えた。

 姿が見えなくなったのだ。


「意味が分からん……」


 必殺技の宣言はされていた。

 止まれなくなる必殺技を使わなくて良かった、思考に集中できる。


 まず、ただの透明化とかではないだろう。それだと俺の拳を躱しきれないし、〈瞬転〉とかスキルの宣言もなかった。

 地面に潜ったのかと、下を見下ろしてみたが、特にそういう跡はない。

 瞬間


ジワ


 視界が一気に赤に包まれた。

 ……俺の口から出た血だ。


「ッツ!」


 すぐにHPを確認すると、状態異常にはなっていないが、少しずつHPが減っている。


 ……一旦冷静になれ、まだHPに余裕はある。

 状態異常でもないのに、ダメージを食らっているということは……常時ダメージを食らっている?

 今も攻撃されて、食らっているというのか?

 そいうえば、相手の必殺技名は……


「すもーじゅらす・すもりうす……」


バッ


 いつものスーツの袖をまくると……血が流れていた。

 毛穴程度の小さな、小さな穴だが、他に外傷もなく、この穴が起点になってるに違いない。


「そういうことか!」


 相手は、俺の体内にいる。

 微生物レベルに小さくなる必殺技で、相手の体内に入り込んで攻撃しているのかだ。

 体内の相手に攻撃するには……


「【終焉まで続く加速】〈溜摩熱〉」


 必殺技で加速するが……ほとんど進まない。

 代わりに、凄いスピードで熱が上がっていく。


「まあ、これやらないと逆に失礼だよな。波紋疾走!」


 体内の何処にいるか分からないので、体の中心である心臓部を、自分の右手で殴る。

 血液が沸騰し、体全体が熱くなるが、それでも拳を止めない。

 既にダメージが入ってる自分を、さらに追いつめる諸刃の剣ではあるが、自分のダメージ感覚は、一番自分が分かってる……多分。


「ウオオオオオオォォォォ!」


「これ傍から見たらただのヤバい奴だよな」とか考えてたら、いつの間にか勝ってた。


 【桃太郎】はいらないでしょ。


 【カンディル】


 アマゾン川辺りに生息する、ヒルの様な奴。

 目は退化しているので、アンモニアで餌を感知する。

 ……つまり、思いっ切り人間にも襲い掛かり、その小さい体でアンモニアの……これ以上は自分で調べてくれ。

 だが、お勧めはしない。


 あえて波紋疾走にはルビを振らない。

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