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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
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土地争奪合戦

「あー、久しぶりだなぁ」


 日本屋敷の、自室にログインした。

 割と使えることが判明した、一面のパソコンモニターが俺を迎える。

 予定では、文化祭なんて適当にそれっぽくして、UAOをし続けるつもりだったのだが、いつの間にか一週間丸々ログインしていなかった。


 とりあえず、居間の様子を覗いてみようと、部屋のドアを開けると、ピンク色の髪が目に入った。

 最近音沙汰がなかった、マドカである。


「よ、久しぶり」

「イグノさん! やっと来たっす!」


 ちょっと声を掛けただけなのに、彼女は俺の両手を握って、ブンブン振り回した。

 どこか喜んでる風だ。


「どうかしたのか?」

「この拠点、移動して下さい」



 彼女が言うには、活動の中心はルネ()アになっているので、参テルにあるこの拠点が使いにくいらしい。

 そこで、ルネ肆アの方に拠点を移したいのだが、それをできるのは《海馬組》リーダーである俺だけだった。


「拠点の移動ってどうすんの?」

「専用の土地が幾つか用意されてるので、そこから選んで……あとはワチャワチャしてたらできるっす」

「じゃあ、それを探しに行くか」


 マドカと二人で、ルネ肆アへワープしようとした瞬間、誰かに背中を押された。


「ダーリーン♡久しぶり!」


 もちろんミワさんです。


「別にお前は久しぶりでもないだろ。リアルで会ってるし」

「細かいことはいいの。私も行くから」


 なんか付いて来ようとしてるけど……こいつ止めるの難しいし、いっか。


「良い場所探すぞー」

「え……二人きりって思ってたのに」

「ん?なんか言ったか?」

「なんもないっすよー」





 イグノ、ミワ、マドカの3人で、ルネ肆アの拠点用土地を周っていく。


「なんか希望とかある?」

「商店街が近い所がいいっす」


 確かに、うちは拠点でボードゲームをすることも多いので、商店街は近い方がいいだろう。

 商店街の真っ只中はアレなので、少し外れた所を周っていくと……良い感じの所があった。

 デカい日本家屋が入れる面積が確保されていて、商店街の活気も、壁を隔てれば入ってこないだろう。


「ここどうよ!?」

「いいっすねぇ」

「ここが私とダーリンの愛の居城に……」


 他のメンバーの同意は得られてないけど、すぐに変えられるらしいし、文句が出たら後で変えたらいいだろ。

 まあ、マドカから聞いてる感じでは、みんな結構今の立地に文句言ってたらしいけど。


 だが、


「「じゃあ、ここにしよう」」


 土地の片側から、俺と同じことを言った人がいた。

 見ると、こっちと同じく三人の人が、俺たちと同じ場所に設定しようとしていた。


「……すみません、こっちの方が早かったので、引き下がって下さい」


 とりあえず、先制で圧を掛ける。

 クソ、こんなことなら先にグラサンしとくんだった。


「いや、こっちの方が早かった。テメェ羅が引き下がれ」

「……私のダーリンに歯向かうの?」

「譲らなかったらどうなるか分かってんのか?」



 はい、色々話し合った結果、決闘(デュエル)で決着をつけることになりました。

 一応決闘場に移動しておく。


「お前ら、必殺技は解放してるよな」

「うん、楽しみにしててね」

「恐れ慄くといいっすよ」


 ……みんなお互いを驚かせたいという理由で、能力共有してないけど……まあなんとかなんだろ。


「ってか、今回前衛しかいないじゃん」

「……じゃあ、やることは一つっすね」


 決闘場を隔てる結界のギリギリまで、3人とも詰め寄る。

 相手は、この陣形を不気味に思っているのか、少し下がり気味で……地面に足を付けるのは珍しいな。


「オイオイ、あんだけ啖呵切っといて、チキってんのか?」

「うっせえ!テメェ真っ先に殺してやっからな、覚悟しとけよ!」

「あまり強い言葉を使うなよ……弱く見えるぞ」

「……ここ治安ヤバいっすね」


 いや、相手に合わせてるだけだから。

 普段は初めて会った人には敬語で行くから。


『そろそろ、開始します。3、2、1 デュエル開始ィィィ」


 始まった瞬間、相手のリーダー格の男が、剣を地面に突き立て、


「【学校軍事基地 COWRD-MEDAKA】」


 必殺技を発動させた。

 地面が地震の様に揺れ動き、何かの建物が這い出してきて……時計が頂点に付いていて、等間隔に窓が並んでいる、昔ながらの学校だった。


「……あれ、どうする?」


 俺だけだったら、攻撃力が足りない。

 いつか集中力が切れて死にそう。


「何言ってるんすか? デカブツにはデカブツで対抗するって、太古の昔から決まってるんですよ【顕幻・ヒュドラ】」


 マドカが紫色の光に包まれ……その光はドンドン大きくなり、やがて出てきたのは巨大なヘビ。ただし、頭を九つ持った。


「HYUAAAAAA!」

「……ワオ」

「ダーリン、あんなの見ちゃダメ!私だけを見て」


 ミワが後ろから両目を塞いできたせいで良く見えないが……とても強そうだ。

 まあ、巨大なサイズと質量は強さに直結するからな。


「じゃあマドカ、あれの相手は頼んだぞ」

「HYUUU!」


 ヒュドラは、鈍重な動きながらも真向から突撃し、相手の学校は窓を幾つか開け、


ウィーン


 そこから、大砲が顔を出した。

 ただの学校ではないと思ってたが、やっぱそんな感じか。


「〈MEDAKA大砲‐DX〉発射用意」


 無機質な機械音声が響き、ヒュドラに大砲……弾が大砲のメダカ弾が着弾した。

 しかし、元の彼女の耐久力もあってか、ほとんど怯みもせずに、学校に噛り付く。


「おい、テメェ等も戦え!」

「しっかたねぇなあ。【千秋葉刀(せんじゅようとう)】」

「【鯖詠(さばよ)詐欺(さぎ)換算(かんさん)】」


 魚の形の柄をした刀が、ヒュドラの首を一本落とし、もう一人の必殺技が、メダカ弾の数を倍増させ……要するにマドカに結構痛いダメージが入った。


「っと、なんかボーっとしてた。俺たちも行くぞ」

「うん、私が刀持ちを殺るから、ダーリンは倍増君をよろしくね」

「おう【終焉まで続く加速】」


 必殺技を発動させて、弾の数を増やした奴に突撃する。

 止まったらいけないので攻撃しにくいが、一撃離脱を繰り返して、着実にダメージを与えていく。

 学校の中に逃げようとするが、先回りして逃がさない。


「野郎!」

「ダーリンの邪魔はさせないよ」


 魚刀の奴がこっちに向かって来たが、ミワが受け止め……彼女のナイフが切れた。

 折れたのではなく、切れた。

 ギコーのと同じように、絶切断の能力でもついてんのか?


「ヒャ―、本体使わないでよかった」


 切られる予感がしていたのか、温存していた[逆刃刀 シンテゐ]を取り出し、再び相対する。


「その刀も切ってやるぜ」

「かもね。けど、私の刀は一本じゃないし……私は一人じゃない。

【偽りの魚群】」


 ミワの数が増えた。いつもの5体とか、そんなんじゃない。

 目算で……百以上。


「ダーリン、これで二人で百一人プレイできるよ」

「できないよ。やんないよ。やりたくないよ」

「ざけてんじゃねえ!」


 魚刀は、一番近くのミワに切りかかり……すり抜けた。

 絶切断でも切った音くらいはする。

 隣にいたミワが攻撃するが、それもすり抜ける。


「こいつら実体ねえな!?」


 次のミワに切りかかり、金属が重なり合う音がして、今度はシンテゐが切れた。

 

「テメェが本体か!」


 そのミワに切りかかり、シンテゐで受け止めようとしたが、シンテゐごと首を切られてしまった。

 が、デコイはいなくならない。


「どうだオラ!……あ?」


 相手の左手は、なくなっていた。


「どういうこった!?」

「実体があるデコイも混じってるってこと。確率は5分の1。安心して、本体は最後に残った実体デコイになるから、倒す順番は関係ないよ」

「……クソがぁ!」


 無造作に魚刀を振り回すが、陽動役デコイが上手く攻撃を躱し、あたったとしても、それには実体がなく、死角から切りつけられる。


「おい、この辺一帯吹っ飛ばせ」

「〈MEDAKA大砲‐DX〉発射用意」


 魚刀の呼びかけを受けて、ヒュドラに噛みつかれてる学校が、砲門をミワ達の方に向けた。


「防ぐぞ、マドカ」

「HYUAAAAA!」


 ヒュドラ語は分からないが、賛同してくれている気がした。

 ちなみに、今のヒュドラの首は、10本になっている。

 切り落とされた首が、2本に増えて再生したからだ。


「HYUU〈水蛇の猛毒〉」


 その10本もの頭が、一斉に毒を吐き、砲撃の為に窓を開けていた学校は、毒まみれになった。

 中にいる学校君の本体と、数を増やす奴は、猛毒に侵されている頃だろう。


「……って、このままだと砲撃止まんねえぞ!」

「HYU」


 ……忘れてたんですか。


「〈MEDAKA大砲‐DX〉発射」


 ッチ、発射されたか。

 だが、弾速はそこまで速くない。

 ミワの群れに直撃しそうな数発を、超スピードで回収し、進行方向を変えて、学校の方にメダカ弾を誘導して、


「返すわ」


ドガガガン!


 複数の爆発音が鳴った。

 煙がなくなると、学校の角の一部が消し飛んでいる。


「よしマドカ、あどこに毒入れろ」

「HYUAAAAAAAAAAAAAA!(〈水蛇の猛毒〉)」


 十個の頭が、空いた学校の穴に向かって、猛毒を注入していく。

 至近距離からの大砲が発砲されるが、ものともせず、死ぬまで毒を吐くのをやめない。



「クソ、どけ!」

「まあ、そろそろ決着つけますか」


バババババ!


 一斉に、魚刀に近いミワはシンテゐを、中距離以上のミワは久しぶりの小型拳銃を構えた。


「〈流墜漸〉」

「〈葬流漸〉」

「〈流墜昇漸〉」

「〈玖洙流漸〉」

「〈天翔流漸〉」

「〈スターシックスショット〉」


 多くの技が重なり合い、合体技まで発生して、凄いダメージを叩き出し、魚刀を撃破した。


 学校も、本体が死んだからか崩壊し、商店街近くの土地をゲットした。


 【メダカ】


 メダカの学校はー♪ 川の中ー♪


 【サンマ】


 サンマって、感じで書いたら秋刀魚になるんだ。

 生態調べるまでもなく能力が決まって、楽だった。


 【サバ】


 サバを読むという慣用句が能力の元。

 年齢を誤魔化す時に使います。

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