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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
89/110

とある二人の邂逅

「し、死ぬかと思った」


 バタン


 昼のラッシュ時をなんとか乗り切ることができ……書記さん息してないけど、乗り越えたと信じてる。


「お疲れ様」


 特に汗はかいていないが、会長がタオルをくれた。

 ……いつも凛としている彼女も、心無しか疲れて見える。


「ああ、会長もお疲れでござる」

「……口調治ってないわよ」

「誠か!?」


 い、いやだ。こんな雑なキャラ付け要らない。


「これでどうでやんすですます?」

「……いよいよ重症ね。少し休んで来なさい」


 ビリビリ&バチバチィ


 俺の頭の中で、雷が落ちた。


「か、かか会長が、休憩を勧める?ブラックを超越したダークネス生徒会会長が?」

「に、偽物カ!?」


 ドン


 俺とディアの両方に、立派なたんこぶができました。


「っつー(泣)。まあ、その件は置いておいて、休憩なんてする暇あるでござるか?」


 ラッシュは終わったとはいえ、まだそれを避けようと時間を外した人が、まばらにやってきていて、接客担当が一人しかいないのでは、不測の事態に対応しきれない。


「やはり拙者も残った方がいいのでは?」

「遂に一人称が拙者になったゾ……」

「大丈夫、応援を呼んでおいたから」


 会長の言葉に答えるように店の裏口が開いて、入って来たのは、


「ダーリーン♡」

「うんそんなことだろうと思ったよ」

「やっほー」


 もちろんミワこと伊織さんでした。

 隣県から駆け付けたのか、沙織さんもいる。


「この二人に接客ができんのか?ってかどっから連絡先手に入れた?」

「……東間君が教えてくれたのよ。接客術は……見栄えは良いから、誤魔化せるでしょ」


 会長も疲れているのか、適当なことをいいはじめたぞ。

 いつもは俺の役目なのに……。


「そなたも休まれた方がよろしいのでは?」

「あなたの後で私も休むわ。あとこれも連れて行きなさい」

「人を者扱いすんナ」


 と、いうことで、ディアと店を回ることになりました。





「どこ行く?」

「そうだな……うちのクラス行くカ?」

「自信がある、と」

「イエス(コクリ)」


 ディアのクラスである1年3組の教室に向かう。

 事前申請によると、多種多様な店が沢山設置してあるとか、そんな感じだった気がする。


 ガラガラガラ


 ……そんな感じだった気がするんだがなぁ。

 大音量が耳をつんざき、教室内を震わせる。

 いや、そこは教室ではなく、ライブハウスだった。


 入口右側にはパチンコ台の群れが、ジャラジャラと音を鳴らし、左側は卓球台みたやつが。

 他にも、何故か檻に入れられていないライオン君(人懐っこい、安全?)や、様々な着ぐるみがいて、最奥にはなんかアイドルが踊ってる。

 要するに混沌(カオス)だ。


「……なにこれ?」

「具体的に言ってくレ」

「何で教室が体育館みたいな広さになってんだ?」

「2050年の最新技術ダ。うちとあそこのトップアイドルの出資だな」

「え、あれトップアイドル?……名前知らんけど」


 最近TVはアニメしか見ない。


「トップアイドルくらいは知っとケ。結構良い奴だゾ。……それよりお前、目線下げロ!」

「ッツ、なんだよ?]


 ディアがジャンプして俺を叩き、無理やり目線を下げようとしたが……身長差で無理だった。

 ……かわいそ。


「何で目線下げるんだよ」

「とにかく速く下げるんだヨ!」


 その時、ゾンビみたいに唸りながら教室(?)を徘徊していた人と目が合い……そいつは、一つの紙束を取り出した。

 ほう……良いだろう。


「目と目が合ったら!」

「ポ〇モンバトル!」


 徘徊の人に連れられて、さっきの卓球ボードみたいな所で、シャッフルを開始した。


「何で自分のデッキ持っ来てんダ!?」

「そりゃいつでもポケカができるように。大丈夫、俺のピカピカシャイニングバスターデッキは無敵だ」

「ほう、なかなか良いセンスをしているではないか。まあ俺のリザニック焼却炉デッキには勝てないだろうがな」

「……もう勝手にしロ」




「ピカマルのシャイニングピカットリバーピカニカルピカットスターでリザードンεβⅡ(イプシロンデルタツー)に10万ダメージ。サイド取りきって勝ち」

「フ……中々やるな」

「お前もな。サイドを15枚取られたのは久しぶりだぜ」

「では、もう一戦」

「もう良いだロ、行くゾ。他にも目が合ったら遊〇王仕掛けてくる奴と、デュエマ仕掛けてくる奴がいるから気を付けろヨ」

「流石に持ってきてねえや。どこ行く?」

「ライブ見に行こウ」


 アンペルと仲が良い……かと思われる、トップアイドルのライブに行こうとしたが、ファンに阻まれて無理だった。

 あいつら視界30度しかないんじゃねえの?


「ってか、これだと本来の目的(休憩)できないんじゃねえの」

「……確か二。じゃあ、休める場所行くカ」


 体育館の端っこの、黒い箱に入って行った。

 その中に広がっているのは……古い日本家屋を思わせるような、畳の和室だった。

 壁はカラオケの防音仕様になっているのか、さっきまでのうるさい歓声も声援もパチンコの台パンも聞こえてこない。


「静か、だな」

「ここなら休めるだロ」


 流石ディア、心遣いが出来るいい子。

 畳みの中心に、ポツンと置かれているこたつに入って、ほのぼのとしていると、一人の女子生徒が入って来た。

 店員さんかな?


「あ、ディア!生徒会の方は良いの!?」

「ああ、ひと段落した所だ」

「ちょっと手伝ってもらっていい!?空間拡張ヤバそう何だけど!」

「マジか、先に言えヨ!ちょっと私行ってくル」

「おい、今不安な単語が聞こえたんだが!?空間拡張切れたら圧死すんじゃねえの!?」

「……なんとかなル」


 ……まあ、ディアを信じるか。

 決してこたつから出られないとかじゃないからな?

 こたつと朝の布団には人を逃がさない魔力があるって有名だから。


「落ち着くなぁ」

「ですねぇ」

「うわ!」


 気付いたら他にこたつに入ってる人がいた。

 なんか落ち着く雰囲気の人だし、ここの店員さんかな?

 彼女は、畳みの一部をひっくり返して、将棋盤を取り出した。


「どうです?一局」

「あんま強くないけどね」


パチパチ


 歩兵、香車、桂馬……静かな和室に、駒を並べる音だけが残る。

 たまに駒を取る手が店員の女子生徒の手に触れるが、流石にそのレベルでドギマギするほどのビギナーではない。

 ……そんなことを意識するレベルってことですね。


「先攻どうぞ」

「では」


 あんまり頭働かないから、ZGT定石でアバウトに攻めていく。

 ちなみにZGT定石とは、|全軍突撃《ZENGUNTOTUGEKI》戦法、俺の独自戦略だ。つまり弱い。

 相手は……よく分かんない動かし方はしているが、なんとなく攻めにくいのは分かる。

 ……よし、雑談で集中力を削ぐ作戦で行くか。


「あなたって、この1‐3の人ですよね?うちのディアさんって、ちゃんと順応できてます?」

「うちのクラスは濃い人多いですから、良い感じに混じってますよ。……って、副会長!?」

「気付いてなかったのか……」


 いや、高校の生徒会副会長程度が、顔を覚えられてるのはすごいことなのか?


「まあ、とにかく俺はあいつの保護者……もはや親みたいなもんなんだ」

「え、そうなんですか!?」

「すまん真に受けないでくれ。ちょっと仲のいい先輩程度だ」


 この子純粋過ぎない?

 うちの女子メンバーにも見習って貰いたいものである。


「そこ二歩になりますよ」

「あ、気付かなかった」


 チッ、誤魔化せなかった。

 大人しく後ろの歩兵を強引に動かして、無理やり攻める。

 ……まずい、話題が尽きた(早い)。


「えーっと……イベント楽しめてる?特に先月」

「面白かったですよ。芸能人を祝っているみたいで」


 ……それは楽しいのか?

 ってか、この盤面詰みかけてね?


「じゃ、じゃあ、俺の評判とかどんな感じ?」

「良好ですよ。うちではジャ〇ーズレベルです」

「本当か!?」


 顔をグイっと近づけて視線誘導し、こそっと二手動かす。

 この手を見破られたことはない。なにせこんな手を使うのは初めてだからな。


「はい、結構付き合いたいって人もいます」

「……は?」

「ファンクラブの存在しらないんですか?」

「……は?」

「5月の剣舞が人気ですね」

「……ああ?」

「ちなみに私はファンクラブナンバー95、空峰真白です。これに勝てたらサイン下さい」

「……待って95人もいんの?」

「安心して下さい、会長のファンクラブは200人以上います」


 衝撃の事実発覚。


「あれ、二手動かしてますよ」


 不正もバレた。


 ちなみに杉岡高校の生徒数は、約1200人です。


 すみません、新作ポケモンするので、更新頻度下がるかもしれません。

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