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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
87/110

日本経済もこんな風にインフレしたらいいのに

「おい、ぜってー二度はやんねえからな!瞬き一つすんじゃねえぞ!」

「えー、私は何回やってもいいんだけど」

「まあまあ。とりあえず私は5回でいいですよ」

「は、はや、く」


 チュ チュ


 俺は、両隣のミワとシェンラさんとキスをした。

 数時間前、何故か《海馬組》の他のメンバーはもうクエストを3つクリアし、必殺技を使えるようになっていた。

 みんなに置いて行かれたことに焦った俺は、手頃なクエストを探し始め、


「ダーリン、良いクエスト見つけてきたよ」


 ミワが見つけてきたクエストが、「寿命が迫って、最後にハーレムが見たい」

と言い出した老人に、二人以上の異性とのキスを見せろというもの。

 直で浮気を見せつける様なもんだし、「ゲームだから良いでしょ」とか言ったら殺されるため、そこそこ難しいクエストになっている。

 まあ、うちにはヤンデレが二人もいるんだが。


「おい、見たよな、二度としねえからな!」

「えー、もう一回しないの?」

「私、素晴らしいことに気付きました。ミワちゃんとキスした直後のイグノとキスすれば、両方とキスできたみたいでお得です」

「……ごめん、1マイクロメートルも理解できない」


 いつまで経っても反応がないので不信に思い、依頼主の爺さんの方を見ると……昇天していた。

 なんつー安らかな顔をしてんだよ。


「グスッ。祖父の願いを叶えて頂き、ありがとうございました」


 遺族の方は喜んでくれてるが、こんな欲にまみれた最後でいいのか?

 まあ、クエストはクリアできたみたいで、必殺技も使えるようになったし、良しとしよう。





「ってことで、あのクソ大仏にリベンジするぞー!」

「オー」×4


 前に挑んだのと同じメンバー、イグノ、ガンツ、ファニー、シェンラさん、ギコーの5人で、寺のダンジョンに再チャレンジする。

 途中出てくる仏魚を適当に処理しつつ、みんなの必殺技内容を共有し、大体の作戦を立てておく。


 そして、忌まわしい賽銭箱にガンツ君の爆弾を突っ込んで……


ドカン! ゴゴゴゴゴゴ


 前回と同じように、賽銭箱の下から巨大大仏が出現した。


「ッシャ、じゃあ行ってきまーす」


 事前打ち合わせ通り、最初のターゲットを取るため、シェンラさんから借りた盾を振り回す。


「掛かってこいや!」


 ちょっと不安だったが、巨大大仏はこっちを向きながら、初手ビームの用意をしてくれた。

 当たったら即死レベルのチート攻撃なのだが、当たらなければ関係ない。


 よし行くか。


「必殺【終焉まで続く加速アクセラレーション・エンドレス】」


 迫ってくるビームを避けて……そのまま加速で大仏に突っ込んでいく。

 いつもなら2秒で解除される加速状態だが、いつまで経っても加速は続き、動きは鈍重な大仏の周りを泳いで翻弄する。


 マグロの必殺技は、【終焉まで続く加速】といい、一日に一度まで好きなだけ加速できる。

 やろうと思えば24時間365日ずっと加速状態でいることもできるのだ。

 だが、流石にそこまでぶっ壊れている訳でもなく、しっかりとデメリットも抱えている。

 本家マグロ君が止まると死んでしまう理由は、体の構造的に前に進んで口に水を入れなければ呼吸できないからだ。

 その特性を必殺技も受け継いでいて、進まなければ……即死☆


「オラァ!」


 止まって即死することに注意しつつ、一撃離脱を繰り返してダメージを積み重ねていく。

 ……これだけだと簡単に聞こえるが、感覚としては、凄く急な坂をブレーキがついてない自転車で降りていく感じで、一瞬たりとも気が抜けない。


「……もうお前一人でいいんじゃねえの?」

「良くねえよ。集中力持たねえし、多分もっとヤバい攻撃も来るんだから。ってかお前らも働け」

「じゃ、俺も行くぜ【全てを削るノコギリ(アブソリュートSaw)】」


 今度はギコーの必殺技。彼のチェーンソーが巨大化し……大仏より大きくなる。

 いや、聞いていたよりやべえな。

 大仏も危機感を感じたのか、ギコーの方を向いてビームをチャージし始めたが、


「任せて下さい。【夢の繁茂する珊瑚ドリーム・オブ・コーラル】」


 シェンラさんの必殺技が宣言され……地面から色鮮やかな珊瑚が生えてきた。

 非常に幻想的な光景で、まだ待機しているファニーが感嘆の声を上げる。


ビビビビ!


 額のほくろから、レーザービームが放たれ……珊瑚が少し折れたが、それでも即死級の攻撃を簡単に受け止めた。

 やっぱ必殺技ってどれもイカレてんな。

 そして、


「いっくぜぇぇぇ!」


 さっきから用意されていたギコーの巨大チェーンソーが、さっきのカチカチ珊瑚を切り倒しつつ、大仏に迫る。


 ゴゴゴゴ

「お前そんな動き方すんの!?」


 流石にヤバいと思ったのか、対面して以来全く動かず、不動を維持し続けていた大仏が浮き上がって後退した。

 だが、完全には逃げ切れず、右腕に巨大チェーンソーが直撃して……切り落とした。

 HPは一気に削れて6割くらいまで減った。


 ギコーのやつは、ザ・必殺技って感じの超強力な一撃を叩き込むというものだ。

 さっきの硬い珊瑚を切れたことからも分かるように、絶対切断の効果があるらしく、まともに当たったら普通に即死である。


「魔禍般若心経」


 焦ったように仲間を呼ぶ技を使い、剣、メイス、4本腕の小仏が現れた。


「よーし、お前ら仕事だぞー」

「やっとか。【参億匹の仲間】」

「今度は負けない、【不老不死海月ノ異名】」


 取り巻き処理役の、ガンツとファニーが必殺技を発動させ、なんか大人の可愛いギャルが現れた。


「え……誰?」

「ファニーだよ」


 必殺技を使ったら、歳をとる……いや、全盛期の状態になるのかな?

 新しいファニーのフォルムに、ガンツが何回も死んだ……いや、何百回も死んでいる。

 さっきから死んで生き返ってを繰り返して……ちょっと笑える。


「お前何やってんの?」

「こういう能力なんだよ」


 確かに、ライフが3億になる代わりに凄く死に易くなるとは聞いてたけど、にしても死に過ぎだろ。

 何もなくても1秒に100くらいのペースで削れていく。

 ちなみに、死にやすい状態はいつでも解除でき、ライフは割合に合わせた数になる(3億→30 15億→15)。


「任せたぞ」

「おい前見ろ!」

「え……危え!」


 よそ見をしていたら、もう少しで大仏に突っ込んで、強制停止からの即死になるところだった。

 さっきから地味にずっと加速して攻撃してました。

 ……だって書くことないんだもん。

 止まらないことに注意しつつ、殴りまくって一撃離脱を何回も繰り返してるとしか言えん。

 ずっと相手の注意を引き付けてる一番の苦労人なんだけどなぁ。


「とにかく、取り巻きは任せたぞ」

「おう、〈捧命矢〉100万」


 ガンツから放たれた光り輝く矢が、メイス持ちを貫いた。

 命一つ一つの価値は下がっているため、流石にそのままのストックよりは弱いが、それでも100万あれば威力はやばい。


「どんどん行くぜ、200万」


 適当に捧げられていく命を前に、小大仏たちはドンドン削れらていく。

 このままだとジリ貧になると思ったのか、行く手を阻む珊瑚を破壊して、ガンツたちに迫る。


「キャー、環境破壊はんたーい」

「言ってる場合かよ!」

「任せて」


 ぬいぐるみを伸ばしたファニーが突撃し、


「〈紅撃(こうげき)〉」


 紅色に光ったファニーの腕が、一番削れていたメイズ持ちに当たって、一体倒した。


「本願」


 すぐ隣にいた剣持ちからの攻撃で、右足を切り落とされた彼女だったが、


「おっとっと」


 切られた足を掴んで、切断面にくっつけると……治った。

 本来のベニクラゲにそこまでの能力はないけど、「不老不死」の異名からそうなったらしい。

 体の一部が消し飛ばされたとしても、数分あれば回復するし、なんなら首ちょんぱされても10秒以内に誰かがくっつけてくれればセーフらしい。

 逆に倒す方法は、脳を破壊するか、一撃で即死レベルの攻撃を叩き込むのみ。

 ドラゴ〇ボールのセルみたいなもんだ。



「〈捧命矢〉500万」


 ガンツからの追撃。

 結構ストックを使ってしまったが、まだ2億5千万は残ってる。

 四本腕の奴が掴もうとしたが、ファニーがその腕を叩きいて矢を防げないようにし……ガンツの矢が頭を貫いた。


「南無」


 残った小仏が、メイスを振って来たが、適当に左腕を犠牲にして、


「バイバーイ。紅染めの矢」


 正面からのガンツの矢、背後からのファニーの打撃による合体技で、最後の小仏を倒した。


「やっぱり兄妹は気が合うな」

「死ね」


 一瞬で5千万くらいの命が吹っ飛びました。


「馬鹿なことやってねえでこっちを手伝ってくれ」

「ああ……(傷心中)でも、どうせすぐ終わんだろ」

「おう、任せるんだぜ【全てを削るノコギリ】」


 ギコーが、本日二回目の必殺技を振りかぶる。

 一撃必殺系の必殺技は、クールタイム短めらしい。


「もう少し近づきますか。〈GROW〉」


 半分くらいまで詰められた珊瑚が、もう一度成長を始めて、大仏までの道ができた。


「千手観音」


 今更第二形態になろうとしても、もう遅い。

 むしろ、変形中の隙が生まれ……今度は逃げられない。


「うおおおぉぉぉ!」


 珊瑚を切り裂きながら、勝利への道を全力で泳ぎ抜け、大仏を真っ二つに叩き割った。


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