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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第四章 超インフレ編
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必殺技クエスト②

 さて、必殺技とやらを使うには、あと二つクエストをクリアする必要がある。

 どんなクエストをしても関係なく1しか溜まらないので、できるだけ楽なやつを選別したい。

 特に前みたいなゴミゴミ画面酔いクエストなんて二度とやらない。

 まあ、話を聞いてしまったら断れない(陰キャ)から、NPCの表情から難易度を察知していきたい。

 そんなこんなで町を挙動不審に歩いていると、


「ねえ、クエストは終わった?」


 肩に手を置かれて、振り返ってみると……いつもより少しだけ暗い顔をした、ラチックがいた。

 しかし……俺のよく知ってる(?)ラチックに似てる人があの表情をしている時は、面倒ごとを抱えている時だ。


「あ、あー、あれ。今クエスト中。お互い頑張ろうね。バイバーイ」


 何とか振り払おうとしたが、肩に置かれた右手が外れない。


「あのー、手が外れないんですけど」

「知ってるのよ。あなたが適当なことを言い出す時は、早口になるってこと」


 え、マジ?

 ……確かに、そんな気がする。


「はい、本当は暇です」

「ちょっと面倒なクエストを受けてね。手伝いなさい」

「I am Japan person who can say no(私はNOと言える日本人です)」

「手伝いなさい」

「……はい」



 ラチックに連れられて拠点に行くと、同じくラチックに捕まったのであろう、アンペル、ミワ、ギコー、マドカがいる。


「で、面倒なクエストってなんなんだ?」

「……演劇をしろしなさいってやつよ」


 演劇で子どもたちを笑わせるというクエストらしい。3日後に。


「演劇って何だヨ」

「絶対効率悪いぜ」


 みんあ否定的な意見を出して、帰ろうとしたが、


「だって……子どもたちが目をキラキラさせていたのよ」


 あー、子どもに弱いタイプですか。


「なら仕方ないか。付き合うよ」

「ダーリンがするなら私もする」

「頑張りましょう!」





 ルネ肆アの小さな舞台にて。

 幼稚園生くらいの子どもたちが、先生みたいな人に連れられ、用意された席に座っていく。


「今日はお兄ちゃんとお姉ちゃんが面白ーい(強調)劇をやってくれるから、楽しみにしててね!」

「はーい」×多数



 数分後、開始時間になって、舞台の幕が上がると……語り部ラチックがステージの中央でマイクを持っていた。

 この配役は、彼女の演技力が絶望的になかったから。


『ある所に、ミワという女の子が住んでいました』


 【リーフィーシードラゴン】で作った木の家が舞台に出てきて、中からミワが出てきた。

 高校の制服のような物を着て、スキップしながら歩いていき……誰かに抱きついた。

 うん、ミワが抱きつく相手なんて一人しかいないよね。俺☆。


『ミワちゃんには、イグノという幼馴染がいて、二人で楽しく過ごしていました』


「おはようダーリン♡(素)」

「おはようマイハニー(ちょっとぎこちない)」


 二人で仲良く学校に行くような演技をして、楽しく過ごしている印象を植え付ける。

 ……上手く笑えてるかな?

 そして、俺たちが舞台から居なくなった時、一瞬舞台が暗転して……再び明かりが灯った時、そこに残っていたのはミワだけだった。


「ダーリン?どこいったの?」

『ある日、突然イグノ君はどこかに消えてしまったのです』


 ……ミワの涙は演技だと信じている。水中でも分かるくらいの涙だけど、信じている。

 あと、なんかラチックの声に怒気が孕まれてる気がするんだが、気のせいか?


『ミワちゃんは落ち込んでいましたが、すぐに立ち上がって捜索を開始しました』

「すみません、このカッコいい人知りませんか?すごいオーラを出しているので、記憶に残ってると思うんですけど……」

「そうだよね、カッコいいよね!でも、知らないなぁ」


 彼女は、歩いている人たちにイグノの写真が映った写真を見せて、聞き込み調査をしていく。

 ちなみに、聞き込み調査の相手になっているのは[仮変弧(かへんこ) フォクサスク]で変装したミワのデコイだ。

 何人かに聞き込みした所で、


「知ってます!凄くイケメンだから覚えてました」

「どこで見たんですか!?」


 ……もうやめて、俺のライフはもうゼロよ。

 そんなイケメンでもねえだろ。子どもに変なこと教えんな。


「エレキプリ〇ュアのアンペルが攫って行ってました」

「誰?」


 プリ〇ュア悪役にすんなよ。

 誰だよこの台本書いたの。……俺とラチックの共同制作だったわ。

 とにかく、イグノ君はエレキプリ〇ュアのアンペルさんに攫われてしまったらしい。


「私のダーリンを取り返す!」


 そう言って、それっぽく装飾した木製の大きな建物に逆刃刀を片手に乗り込んでいく。

 暗い建物の中で、周囲を見渡すと、


「ヘイヘイヘーイ!」

「プリキュアの拠点に何の用だい?」


 ……下っ端ギコーとマドカが現れた。プリ〇ュアコスプレで。

 いや、マドカはいいんだ。中学生だからちょっと卒業が遅いかなってくらいでしかない。

 ギコーは……まあボーイッシュプリキュアだし、最近は男プリ〇ュアもいるっていうし。


「うちのダーリン……イグノを返してもらうよ」


 逆刃刀を少しだけ抜刀し、


「フッ!」

「グア!」

「うあー!」


 一瞬でギコーとマドカの背後をとり、彼らを倒した。

 いつものステルスデコイでそう見せていただけである。

 というか、一人でモブ役できたり、瞬間移動できたりで、ミワの演劇性能高いなぁ。

 変に台本変える癖がなかったら完璧なのに。


「フッフッフ、ギコーとマドカがやられたか。だがあいつらは四天王の中でも最弱」

「ボケ渋滞させんな。3人しかいないし、最弱は一人しかいないんだよ」


 高台からミワを見下ろすアンペルと、ロープに繋がれているイグノが出てきた。


「食らえ、十万ボルト!」


 電撃がミワに襲い掛かるが、逆刃刀で巻き取って、逆に攻撃力を上げる。


「逆電の呼吸、壱の型 葬雷漸」


キン!


 ちなみに、アニメのパロディを使っている所は大体俺が書いたか、アンペルが口出しした部分。


「あ、ありがとうミ……マイハニー」

「困った時は助け合いだよ」


 そう言って、ミワは目を閉じ……台本にそんなんあったっけ?

 ミワは、子どもたちから見えない所から俺にメッセージを打ち込み、


『キスは尊いものだよ』


 はあ、こんな人の前でキスとかそんな恥ずかしいこ


「キャー(黄色声)」


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