VS《MOLLUM》
昨日はすみませんでした。
最近の異常気象で体調が崩れた。
《MOLLUM》の意味は軟体動物。
さて、《幻想怪物》を打ち破って、控室にワープしたのだが……一つ、やることがある。
「……勝手に50万も使ってしまい、すみませんでしたー!」
〈加速土下座〉!
このイベントではスキルとかのストック、MPなどは戻るが……矢や爆弾などの消費物は戻らない。
つまり普通に50万普通に消費した。
まだまだ資金は残っているが、50万は50万。
50万ボルト!
「あの盤面だと仕方ないと思いますけど……絶対50万も要りませんでしたよね~」
やっぱりシェンラさんは気づいてたか。
25……いや、アンペルの〈電気纏い〉まで考えたら20でよかった。
「……いやー、そのー、えっと」
「こいつは数字とか適当だから。小銭とか全然使わないせいで、1円玉がアホみたいに溜まってるぞ」
よく分かってますね、ガンツ君。
「前も勝手に全資金を出していたし、資金管理は他の人がやった方がいいかもしれないわね」
「ついでにリーダーごと代わってもいいよ」
「それは却下」×9
「さいですか」
とにかく、資金管理はちゃんとしてそうなラチックに任せて、次の選出を考えよう。
「どーする?」
「とりあえずあなたは出禁ね」
「はい……」
まあ、さっきの試合で選出されてない人が多い、ガンツ、アンペル、シェンラさん、Rex、マドカのガチ前衛2人+後衛3人の構成でいっか。
相手のクラン名は《MOLLUM》。
◇
観戦室に移動して、戦場を見守る。
今回のフィールドは、砂で茶色く濁っている水場のようだ。
ちょっと視界が悪いけど、まあどうにかなるレベルだ。
そして、相手の構成は、普通に前衛2、中衛2、後衛1のスタンダードなもの。
前衛の一人は、なんか見覚えがある気がするが……やっぱり人の顔を覚えるのは苦手だわ。
『デュエル開始ィィィ』
「〈700ボルト〉」
開始と同時に、アンペルの先制電撃が走って……全く知らない方の前衛に当たったが、効きが悪い気がする。
他のメンバーが中心になって攻撃して欲しいな。
そして、見覚えがある男が、
「〈墨〉」
墨を吐いて……思い出した、タコだ!
墨を吐いて、そこそこ速い8本触手で攻撃してくるタコだ。
そのタコ君が、笛を咥えて、
「[黒墨笛 ウィルート]」
笛の先端から、大量の墨が出てきた。
元から砂で視界が悪かったのに、タコ野郎の墨のせいで、5メートル先も見えなくなる。
後衛三人に近づけれては不味いので、前衛のRex、マドカは下がって、全員で密集する。
でも、ここまでしたら、相手もこっちの位置分かんねえだろ。
「〈奏付螺 ポルトソナー〉」
薄い膜のようなものがフィールド中に広がり……避けれる訳がなく、触れたメンバーに白いインクが付着し、ガンツが一回死んだ。
とりあえず怒られるからスプラはやめろ。
瞬間、
「ッツ、散開!」
ガンツが声を荒げ……さっきまで密集していた場所を、巨大な触手が通り過ぎた。
耳がいい(DAOプレイヤーの特徴)ガンツのお陰で助かったが、相手にはこっちの位置が分かっているのか?
……いや、多分あのインクのせいか。
なるほど、墨で相手の視界を塞いで、自分たちはインクのマーキングで相手の位置が把握できるっと。
シンプルながら強くてウザい戦法だな。
「……分かってるよな?Rex」
「しっかり気づいてるみたいよ」
墨が段々と離れていく。
Rexの油で墨の混じった海水を押しのけているのだ。
これで、ある程度の視界は確保できる。
そこに……二回目のインク膜。
マーキングは定期的に行われて……ガンツは定期的に死ぬのか。
多分、マーキングの装置がどこかに置かれている。さっさと破壊しないと、ガンツが死ぬぞ。
「……全員、数学の点数を言エ。77」
「14だ」
「84です」
「……言いたくない点数アル」
「70っす」
ガンツ君点数低すぎな。
Rexもヤバそう。
ちなみに俺は98(自慢)。
「これ聞いてどうするアル?」
「波動の広がりから、装置の位置を逆算するんだヨ。ブラハがスキル使ったらどこにいるか大体分かるだロ。あれダ」
「そういう計算はイグノが得意だぞ」
うん、毎回ブラハとかカモだわとか思いつつ、毎回返り討ちにされてる。
……アドバイス権使うか。
『座標で表すと、アンペルの位置から(42,56,‐21)だ、破壊しろ』
「え、左側じゃないの?」
『右だ、俺を信じ……』
あ、制限時間切れた。
まあ、座標は伝えたし、大丈夫だろ。
「〈エレクトロ・ディスチェンジ〉」
アンペルから誘導電流が放たれ……横に42、縦に56、下に21メートル。
ドカン
爆発音がして……インク膜は来ない。
あれは左前から来ているように見えたが、インク付着のしかたは、右側からだった。
おそらく、相手に幻影を見させるスキル持ちがいるな。
「これで相手にもこっちの位置が分からないハズダ。行方を眩ますゾ」
「ああ」×4
近距離戦に強い奴がいない分、まだこっちの方が不利だ。
墨が無い場所まで撤退する。
「墨から出てきたところを攻撃すル。Rexは温存、ガンツは私に合わせロ」
「ウィー」
さて、墨から出てきたのは……タコ野郎!
墨を再展開されると戦いにくいため、最優先目標と言っても過言ではない相手だ。
「インデュース・カレント」
ガンツの矢とアンペルの電気が交わった、合体技。
黄色の矢がタコ野郎を貫いて……ミワのデコイみたいに、チカチカっとなって、消えた。
あいつの能力ではないし、鱗器は墨を増幅させる笛だった。
やっぱ幻影能力者がいるな。
そして、次に墨を抜けてきたのは、大量の白いインク。
「〈拡盾〉」
攻撃力自体はあまりないのか、シェンラさんが簡単に盾で防ぎ、
「〈粘毒〉」
インクの影から出てきた、電気があんまり効かなかった人に毒を食らわせられた。
不味いな。
このゲーム、結構隠しステータスがあって、珊瑚は生存できる環境が限られているせいか、毒に弱い。
「マドカ、シェンラと交代。多分毒以外にロクな攻撃手段なイ。広範囲を守れるシェンラはインク待機」
アンペルさんはしっかり司令官やれてますね。
毒の人(電気効きにくい人)は、交代を阻止しようとしたけど、ガンツの牽制でなんとか交代できた。
マドカの方は、スキルが毒持ちのヒュドラだからか、毒は効きにくい。
「〈巨蝕〉」
墨の中からデカい触手が薙ぎ払われて……ギリギリでシェンラさんが防いだ。
しかし、これで自由に動ける前衛はいない。
そこに……白色の線!
「〈リッター7K〉」
狙われたのはRex……ライフで受けれないガンツや、バイクで逃げれるアンペルではなく、ライフで受けるRexである。
普通に6割くらい食らった。
さらに、マーキングされたのか、8本の触手……いや、幻影も混じって16本まで増えた触手が迫ってきて、
「うわー、触手がー。凌〇されるー。同人誌みたいにー(棒)」
「ねえ、〇辱って何?」
「……ちょっと何言ってるか分かんない」
おいRex、純粋な中学生ファニーに変な言葉を吹き込むな!
ガンツが聞いてなくてよかった。
「よくもうちの可愛い可愛い可愛い(中略)妹に変な言葉吹き込んだなァ!」
……予測でキレんな。
一本の矢を取りだして、自分の心臓を貫き、生き返る。
「〈捧命矢〉10」
彼のライフが10個減って、矢が光り輝く。
あいつバカじゃねーの?
「やれ、Rex」
「〈ラウド・コンフラグレイション〉」
対戦序盤から撒きまくっていた油を一気に着火させて、タコの足を燃やしつつ、墨を薄める。
そして……見えた、隙の糸!
本体と幻影で二人いるが、ガンツ君は分かっているみたいだ。
ライフを10支払った、光り輝く矢がタコの一人を貫き……タコをドロップしたから、合ってたみたいだ。
「まだまだ、〈捧命矢〉19」
……おい、19ってあとストック一つしか残らないぞ。
さっきよりも強く光り輝いた矢が、マドカが相手をしていた毒の人を貫いた。
……少しは頭残ってたんだな。
毒の人は魔法全般の効きが悪く、今回のメンバーではガンツしか突破出来なかったんだ。
残りは、インクの人と、巨大触手と、幻影の人か。
こっちはまだ全員生存しているので、有利にも見えるが、
「〈インク爆弾〉」
正四面体の物体が投げ込まれ、Rexが蹴っ飛ばそうとしたが……幻影。
その影に、本物の爆弾があって、
ドカン
白いインクが弾けて、ストック1まで捧げていたガンツと、HPをかなり削られていたRexは死んだ。
アンペルはバイクで逃げれたけど、アタッカーはもう彼女しかいない。
「〈700ボルト〉」
インクの人に、電撃を放ち……幻影の人が代わりに受けた。
入り方からして幻影の人は耐久型、巨大触手の人は前衛のどちらかがいたらなんとかなるので……アンペルとインクの人、どっちが先に倒せるかの勝負。
「〈リッター7K〉」
インクの人の射線上にマドカが入り、籠手で防いだ。
できれば盾を持っているシェンラさんの方がよかったが、巨大触手に邪魔されて、交代する時間まではない。
「〈エレクトロ・ディスチェンジ〉」
今度はアンペルの誘導電流が、真っ直ぐに飛んでいき……幻影の人が防ごうとしたが、ギリギリで回り込んで背後から電流を当てる。
流石にワンパンはできなかったけど、確2(確定2発)はとれてる。
もう一発食らわせれば勝ちだ。
その時、相手は新しい武器を取り出して、
「〈ハイドラン〉」
ガトリングガン。
砲身が回り始めて……マドカでは大量の連射は受けきれない。
「〈エレクトロ・ディスチェンジ〉」
二回目の誘導電流が、幻影の人を迂回して、インクの人に直撃し……幻影。
ミワの十八番、ステルスデコイか。
そして、ガトリングの回転が止まり、
「発射!」
「乗って、マドカ!」
無数のインク弾が発射され、アンペルはバイクで回避運動をとる。
マドカが半分くらい受け止めるが、体にインクが付着していき、
「アンペルさん、前!前!」
「え……ア」
いつの間にか進行方向に巨大触手があり……アンペルがやられた。
まあ、要するに……負けです。
◇
「……ごめんなさい」
「いや、相性と構築が悪かった」
魔法が効きにくい人がいるのに魔法アタッカー二人だったり、思いっ切り視界を悪くされたりな。
結果論だが、前衛の一人を攻撃もできる俺かミワにするか、後衛の一人をギコーかラチックあたりにすれば、まだよかったかもしれない。
《タイムスリップ》には勝てたんだがなぁ。
【ウミウシ】
能力:毒喰い 電気、炎耐性 持続回復……
海に住む鮮やかなナメクジみたいなやつ。
実は、筆者の一番好きなポ〇モンは、トリ〇ドン(東の海)で……優遇されてますね。
あの声良くね?
電気、炎耐性はポケ〇ンのせい。
【イカ】
能力:インク魔法
マーキング
普通に考えたらほとんどタコと一緒になるから、スプ〇能力になった。
3楽しー。
【クラーケン】
能力:巨触手
伝説の巨大なタコ、もしくはイカ。
攻撃力と範囲が大きいため、触手は二本までしか出せない。
ギリギリまで1本までしか出せないように見せかけてた策士。
【蜃】
能力:蜃気楼
中国の伝説巨大ハマグリ。
蜃気楼が出せる。
ミワのデコイとは違って、自分以外のニセモノを作れる代わりに1度に1つしか使えない。