なろう主人公 ラチック
回転の奴が、俺が放った鋭い花びらを纏いながら、超スピードで突っ込んできた。
ここからの打開手段は……あれしか思いつかねーわ。
……後で土下座しよ。
「〈禁木〉50万」
一つのスキルを宣言して……近くの木から、金色の木が生えてきた。
ステータス欄から、金が50万ほど減っているが、見なかったことにする。
そして、回転の奴が金の木に衝突し……金の木はひび一つなく、むしろ苗床となった木の方がミシミシ言い始めた。
「硬!」
「これが50万パワーだ!」
禁木は、消費した金によって性能が変化する。
だが、今回50万使ったことからも分かる通り、かなり燃費が悪い。
そういう意味で、このスキルは禁忌であり、金木なのだ。
ま、まあ第三回イベントだっだり、《メルヘンヒーローズ》との抗争だったりで沢山金はあるから。
……やっぱり後で土下座だな。
「〈木錬成〉木刀」
せっかく50万も使った金の木を再利用して、金色の木刀を作り出した。
「〈スクリューフット〉」
足をスクリューの様に回転させた奴が、頭から突っ込んできたが、
「ゴールデンウッド」
金の木刀で頭を叩いて……残り7割はあった相手のHPは、急速に減ってゼロに
なった。
さ、流石50万パワー。
「はぁ!?〈ウェイル・スパイン〉」
遠距離からボネーラが背骨のような物を振るってきたけど、50万の木刀で迎え撃ち……骨がへし折れる。
これ、25万でもよかったかもしれん。
「うぇ、〈ウェイル・リブ〉」
16本の肋骨が張り巡らされたが、
「〈電気纏い〉」
アンペルが木刀に電気を付与し、さらに攻撃力が上がった木刀が、16本全ての肋骨を砕いて、
「エレキゴールド」
後方からのアンペルの援護に合わせて木刀を振るい、合体技がボネーラに刺さり、
「〈バースト〉」
金の木刀が爆発して、ボネーラの体力を削りきった。
◇
「〈食物連鎖の王〉」
ラチックが一つのスキルを宣言して……悔しいことに綺麗な紫色だった彼女の髪はどす黒く染まり、黒と白のオーラを纏っている。
……生きてるって知られたら私まで殺されそうだから、本体が死んで動かないデコイのフリをしとこ。
このテクニックは某ペックスでも使えるよ!
甲冑と影の人は狼狽えつつも、
「〈聖剣〉」
「〈アサシンナイフ〉」
スキルを使いながら剣とナイフが振るわれ……ラチックの槍が消えたかと思うと、相手の武器は宙を舞っていた。
動体視力は結構いいハズなのに、ギリギリ掠れたところまでしか見えなかった。
そのまま、流れるような動作で槍を引いて、
「〈ホワイトランス〉」
雪の様に真っ白になった槍が突き出され……カバーに入った甲冑の人の腹に大きな穴が空いた。
さらに、その衝撃によって槍の延長線上にあった岩が粉々に粉砕される。
えぇ……(困惑)。
少し戦ったから分かるけど、あの人結構硬いよ?
「か、〈影縛り〉」
ナイフの人の影が、ラチックの影に巻きついて……一瞬動きにくそうに見えたけど、
「フッ!」
彼女の影が、巻きついている影を引きちぎって、もう一度槍が白く光出し、
「〈ホワイトランス〉」
「っつ、〈影渡り〉」
伸ばされた影の先端、つまりラチックの背後にワープして……
まあ、ちょっとくらい手助けしてあげるか。
奴の後ろに回り込んで、羽交い締めにし、
「さっさとやって」
「……〈ホワイトランス〉」
純白の槍が私とナイフの人に穴を空け、HPがゼロになった。
だって実体化デコイだと強度が足りないし。
〈禁木〉
金木と禁忌をかけた高等なギャグ。
これを思いついた時の作者の笑顔よ。
〈食物連鎖の王〉
クソ強自己バフ技。
他のバフスキルは使えなくなったり、MPの消費が大きかったりで、いろいろあるけど強い。
シャチは水性食物連鎖の頂点だから。
……2試合連続で描写ゼロのファニーさんよ。