束の間の休息
「ん、お疲れー」
「ダーリーン♡」
「グエ!」
首絞めんな。
さて、二連続で試合があったので、これから少し長めの休憩がある。
とはいえ……俺は特にやることないな。
そこに、アンペルが、
「会場散策行かないカ?」
……提案に乗ることにした。
「なあ、面白いアニメ知らないカ?」
「とりあえずお前はレールガンを見とけ」
適当に雑談しながら、色々な人がいる会場を適当に歩いていく。
場内のデザインは、どっかの誰かがドロップした、浦島太郎のデザインに酷似している。
デザイン凝ってるなぁ。
「それで……さっきの戦いぶりはどうダ?」
「思ったよりは苦戦してるな」
一回戦二回戦辺りは楽勝だと思ってたのに、やられる奴まで出るとはなぁ。
それに、一回戦はラチックかファニーがいなかったら危なかったし、二回戦はギコーがいなかったらトーチカを突破てきなかった。
ある程度は選出の運が絡んでくるということだ。
そういえば、あと何回勝てば優勝できるんだろう?
確か、あっちの方に説明が
「久しぶりだな、お前ら」
くさむらから野生のロン毛パーマが現れた!
……なんか見覚えがある気もするが、記憶にない。
「知ってる?」
「お前の知り合いじゃねーノ?」
アンペルの知り合いでもないなら、
「分かった、ただの痛い奴だ」
「違いなイ」
「違う、俺だ!」
「信用するなよ、俺の家はオレオレ詐欺によって崩壊させられそうになったんだ」
信じられるか?当時30チョイだった親父が、弟に扮したオレオレ詐欺に1000万入金したんだぜ。
両親で外国で共働きしていて、結構金持ちな方とはいえ、あの時のお袋は鬼だった。
「貴様には一銭も渡さんぞ」
「俺だよ……第一回イベント2位の、ボネーラだよ……」
「ああ、引きこもり中学生カ」
「お前絶対覚えてただろ」
アンペルは頭がいいからなぁ。
「久しぶりー。バイバーイ」
「……覚えとけよ!次の試合でボコボコにしてやるからな!」
「次は他のメンバーに任せよ」
「あの、出場して下さい……」
一瞬で態度変わんじゃん。
まあ、出てやるか。
「ってことで、俺とアンペルが出れる、チームNでいいか?」
「いいよー」
チーム脳筋、イグノ、ファニー、アンペル、ミワ、ラチック、の突撃編成で。
ちなみにボネーラのクラン名は《幻想怪物》。
◇
今回の陣形は、脳筋らしく全員前衛。
対して相手は基本的な前衛二、中衛二、後衛一の陣形である。
そして、前衛の一人はボネーラ君。
『デュエル開始ィィィ』
「〈殺戮魚の声〉」
「〈誘惑の歌〉」
開始と同時に、こっちにはラチックのバフが掛かり、相手にも後衛の歌声バフが……
「ボエー」
ビリビリビリ
相手の歌声で、耳がぶっ壊れそうだ。
デバフの効果も付いているのか。
『耳栓装着』
アイテム欄から、対音スキル用の耳栓(高級)を取りだし、装着した。
これでデバフ(ステータス欄に記載なし)は消える。
ラチックの指令以外は聞こえなくなってしまうが、阿吽の呼吸でどうにかなるだろう。
他にも、今回のフィールドは毒沼みたいで、常時毒が付与されている。
前回のフィールドがここだったら、引きこもられても逃げてるだけで勝てたのに……
ま、短期決戦の予定だから、あんまり関係ない。
『出鼻は挫かれたけれど、気にせず突撃します』
アンペルがバイクの後部座席を叩き、ありがたく乗らせてもらった。
加速がなければ遅いからね。
そして、
『突撃!』
ラチックの音声で、一斉に突撃した。
一番機動力があるファニーが後衛に突撃し……それ以外は一人一殺、適当脳筋古今東西刺身定食。
ちなみに、やられた《タイムスリップ》の人たちは泣いてた。
もう察してると思うけど、途中で筆者が力尽きた。
【セイレーン】
能力:歌バフ
神から生まれた怪物。
歌によって誘惑された人を海にを引きずり込んだりする。
デバフの能力はなく、本人の才能。