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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
75/110

VS《バグ・インセクト》

『第4回イベント、開催。イエーイ』


 相変わらずホログラムのザ・フィッシュが、イベント開催の宣言をした、

 今回の会場は特設フィールドで、草むらや洞窟内など、簡単なギミックがあるらしい。

 あとは5対5の《タイムスリップ》と練習したルールと同じだ。

 そして、初戦の相手クランは《バグ・インセクト》……日本語訳で《虫・虫》だった。


「ゴリラの学名かヨ……」

「あっちもうちのクラン名に混乱してそうだけどな」


 まあ、名前だけで圧力を加えられると考えれば、無しではない……かな?


「さて……初戦どうする?」

「チームAで」


 と、いうことで、初戦の構成は、人数以上のパワーが出るイグノ ラチックペアに、後衛に突撃するファニー、安定した前衛のマドカに後衛のRexになった。

 ちなみに、チーム名は安定(ANTEI)のAである。


「絶対に勝つぞー!」

「おー」×5



 出場する五人が、特殊フィールドに転送されて……今回のフィールドは海の森だった。

 第一回イベントの海藻ではなく、ちゃんと木のやつ。

 ちょっと視界が悪いが、刀や槍を振る分には問題ないスペースはある。

 というか、ファニーの機動力や、Rexの燃焼の話を考えると、ちょっと有利なのかもしれない。


 とりえず、前衛にイグノとマドカ、中衛にファニーとラチック、後衛にRexの陣形を組んだ。

 相手の構成も、前衛2、中衛2、後衛1で……中衛の一人に見覚えがある気がするけど、誰だっけ?

 まあいいや。


『デュエル開始ィィィ』


 機械音声がして、俺たちを隔てていた半透明な壁が消えた。


「〈殺戮魚の声〉」


 ラチックにいつものをしてもらい、出方を伺っていると……相手は全体的に下がっていく。

 罠でもあるのか?


「どうする?」

「突撃ぃぃぃ!」


 相手が下がるのに合わせて、距離を段々詰めていき、


「〈イルティレン・オーダー〉」

「ッツ」


 いきなり頭に衝撃が走り、一瞬頭が真っ白になった。

 すかさず相手の特攻役が突っ込んできて、短めの刀を振るう。


ガキン


 マドカが籠手でなんとか防ぎ、俺の〈ノックバック〉で一旦距離をとった。

 

「何があったんだ?」

「刺激臭、ね」


 確かに、鼻の奥にツーンとした痛みが残っている。

 口呼吸のみにしたら、刺激臭の攻撃はほとんど聞かなくなるだろうが、効果はそれだけではないらしく、全ステータスダウンのデバフが付いていた。


「ラチックがいてよかった」

「もっと言いなさい」

「愛してる」


 さて、彼女の[消怖気 リフェクション」の効果で、デバフは軽減されているが……後衛あいつしかいないし、いいか。


「ロケット発射ァ!」

「〈ラウド・コンフラグレイション〉」

「〈立体機動〉」


 いつも通り、目くらましと同時にファニーを突撃させた。

 これで相手の後衛を倒すか、2人を引き付ける位はできるだろう。

 彼女が多くの人を引き付けている間に、電撃作戦を


「ヴッ」


 Rexの声が聞こえて、振り返ると……さっき中衛だった奴が、Rexに襲い掛かっていた。

 距離を詰めている間に、木の中に紛れて後衛の方に回り込んだらしい。


『イグノ、カバー』

「言われなくても!」


 ラチックの指令を聞いてから加速し、Rexの方へ全力で向かう。

 加速の時間が残っていなかったから、とくにダメージは与えられなかったが、Rexは残りHP4割で生き残れた。


「大丈夫か?」

「なんとか」


 相手(女)の特効役は……なんかクナイとか持っているから、くノ一と呼ぼう。

 結構速いから、そういう感じのスキルかな?

 そして、くノ一は一つの巻物を取り出し、


「[越次収(エツジシュウ) リトスロール]」


 そう言って、中央に書かれている『收』という字に手を突っ込み……短めの忍者刀を取り出した。

 アイテムを取り出すのは少しタイムラグがあるし、俺みたいに木刀だけしか取りださないとかならいいが、好きなアイテムを好きな時に取りだせる鱗器ってことか。

 くノ一が右手に忍者刀、左手にクナイで攻撃してくる。

 まず左上から迫って来た忍者刀を、ギリギリで[クマ魚の返り血]に合わせて防いだが……俺の左手には何もないから、止められない。

 腹に刺さるよりはマシだから、左手で無理やり止めようとしたが、高い素早さで避けられ、腹にクナイが突き刺さる。


 忍者刀の方が刺された時にヤバいから、出来るだけメリケンサックで防いで、クナイは容認する。

 最近は忘れがちだが、俺は耐久型……いや、最近はもうバランス型か?なので、そこまで痛くはなく、


「〈アクセルブロー〉」


 CTが上がった加速を使って、殴り飛ばした。

 しかし、忍者刀で防がれたせいで、そこまでのダメージにはならない。

 まあ、残りHP的には俺があと8割で、くノ一はあと7割。このままいけばダメージレースで勝てる。


「こっちはなんとかなりそうだ。Rexは前衛の援護を優先してくれ」

「わかったアル。というか、ラチックに言われてもうやってるネ〈油爆発オイル・エクスプロージョン〉」





「〈スドレイン〉」


 相手の手が伸び、私の腕に食らいついた。

 それに、HPがドレインされているわね。


「〈ブラックランス〉」


 伸びていた相手の腕を、槍で断ち切った。

 でも、腕自体はもう一度生えてきている。

 他のキズは治っていないから、マドカみたいに全身の再生ができる訳ではないのかしら?

 ……頭の中に彼の声で、「右手だけ治るとか上条〇麻かよ」と再生された。


「交代頼む」

「ああ」


 マドカが相手をしていた鎌使いと、腕が伸びる人が交代した。


「〈死神の鎌(デスサイズ)〉」


 相手の鎌が巨大化し、横なぎに振るわれた。

 槍の先端で止めたけれど、


「クッ!」

「オラァ!」


 少し吹っ飛ばされてしまった。

 マドカの方に行かれても困るので、すぐに持ち直して反撃した。

 鎌なんて使いにくい武器を使うってことは……おそらくスキルは鎌補正ってところね。

 力は圧倒的に負けているし、少し集中しようかしら。


「〈首狩り〉」

「〈リングス・トライデント〉」


 首に迫って来た鎌を、3つに分かれたトライデントの一点で止めた。


「ハァ!?」

「〈古流槍術・閃光突き〉」


 鎌を振り払い、左脇腹を槍が貫いた。

 その時、マドカが相手をしていた腕が伸びる人の腕が、鎌の人に繋がれて、


「〈体液供給〉」

「センキュ―」


 腕が伸びる人のHPが減って、鎌の人のHPが回復していく。

 しかし……腕の人のHPは完全回復していた。


「どういうこと?」

「すみません、思いっきりドレインされたっす」


 ……マドカの9倍にされたHPで、一気に回復したらしい。


「〈セカンドサイズ〉」


 二つ目の鎌が出現し、両手に鎌が握られた。

 ……少し、本気を出そうかしら?

 一斉に振られた鎌を、槍の先端と反対側の先端で、その両方を止める。

 二つの鎌を、一本の槍のみでいなし、


「ウソだろ!?」

「〈薙刀(なぎなた)〉」


 左肩から右わき腹まで切り降ろし、そこそこ削れたけれど、腕の人の能力で回復してしまう。

 そして、腕の人のHPは、マドカによって沢山のHPがある。


「すみません」

『……やりなさい、Rex』

「え、いいの?」

『やりなさい』

「……〈|油爆発《オイル・エクスプロ―ジョン》〉」


ドカン


 マドカごと巻き込んで、Rexの爆発を食らわせた。

 彼女は火属性が弱点だから、結構多く削れた。


「え……え?」

『もう一回』

「〈油弾〉」


 マドカを貫いて燃える油が腕の人に当たり……マドカのHPはゼロになって、死んだ。

 ついでに腕の人も倒せたのは僥倖。


「お前ら仲間じゃねーの!?」

「必要な犠牲よ〈古流槍術・閃光突き〉」


 動揺している鎌の人に、槍が刺さる。





「〈隠遁・透過〉」

「消えんな陰キャ野郎!」


 この忍者、Rex狙いに切り替えてきやがった。

 汚いなさすが忍者きたない。


「分かるかRex?」

「えっと……右上!」


 彼女の油操作で、大体の位置は分かるが、連続でやられると加速がなくて、対応しきれない。

 Rexの右腕に手裏剣が刺さった。


「あーもう怒った。〈木檻〉」


 この前【鬼六】が使っていた戦法で、くノ一を捕えた。

 ちなみに、周りが木で埋まってるから出来たことで、普通の状態だったらちっちゃな檻しか作れない。

 こういう部分でも、地の利がある。

 さらに、


「〈花剣舞〉」


 加速はないが、辺りを回る斬花が、相手のHPを削っていく。

 あんまり期待してなかったけど、想像の倍くらいペラペラで……あと1分くらいあれば削りきれるかな?

 やっぱりスピード型には全体攻撃だね。


「〈投擲〉」


 なんか手裏剣やらクナイやら、いろいろ投げつけてきたが、そのほとんどを木刀で叩き落す。

 くノ一は、その片手間に檻に穴を開けられないか試していたみたいだが、あいつの攻撃力ではそう簡単には破れない。


「燃やしでもしない限り無理だぞ、諦めろ」

「へー、燃やせばいけるってこと?」


 巻物から何かを取りだして……起爆札。


「ッツ〈繭〉」

「もう遅い!」


 そう言って、起爆札が爆発し、


ドッカーン


 周りの油も燃えて、HPがなくなった。

 いや、誘導はしたけどさぁ。





「〈殽徐狩り(まじょがり)〉」

「〈リングス・トライデント〉」


 トライデントと鎌がぶつかり合う。

 力のステータスでは圧倒的に負けているけど、この程度なら技術でどうにでもなるわ。


「……化け物が」

「否定はしないわ。フッ!」


 さっきから目を着けていた箇所に槍を入れて、相手の鎌を折った。


「もう意味わかんねえ……」

「ちょっと脆い部分を見つけ出して、そこに攻撃を集中させただけよ。〈古流槍術・閃光突き〉」


 槍が鎌の人の頭を貫いて、倒した。


 まあ、今回の一番の功労者は、相手の後衛ともう一人を引き付けて、何故か勝っているファニーなんだけどね。


 ……いや、分割しようかとも思ったけど、イベントが長すぎになっちゃう。

 多分、イベント中こんな感じです。

 一話一話が長くなる分、更新が遅れるかもしれません。


 【ゲンゴロウ】


 能力:劇臭

    全ステータスダウン


 やばくなったらカメムシみたいに、臭い液体を発する虫。

 田んぼとかにいる。


 【アメンボ】


 能力:忍者


 相手のくノ一。

 もうなんか色々忍者っぽいことができる。補正もかかる。

 アメンボって忍者っぽいよね。


 【水カマキリ】


 能力;鎌補正


 水中に住んでるカマキリ。

 カマキリだから鎌補正は常識。

 今回一番早く思いついた。


 【水蜘蛛】


 能力:忍者


 ファニーがいつの間にか倒してた。

 ……いや、糸とかだと前の【女郎蜘蛛】と同じになるから。

 同じ能力でもいいとは思うけど、流石にスパンが短すぎ。

 蜘蛛って忍者っぽいよね。……ね?


 【ヤゴ】


 腕が伸びる人。再登場勢だから、どうしても知りたい人は一回イベントを見てね。

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