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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
71/110

VS《タイムスリップ》

『第4回イベント開・催』


 7月の始め、4回イベントの告知があった。

 ルールはクランのチーム戦で、人数差のアドバンテージを無くすために、5人だけ選出して、5対5で戦うらしい。

 とりあえず、《海馬組》も召集をかけて、


「……どうする?」

「主語をつけなさい」

「編成どうする?」


 どのくらい前衛がいたらいいとか、ラチックのバフでどれくらい変わるかとかが、いまいち分からないんだよなぁ。

 どっかで実験してみたいんだけど。

 その時、ある人からチャットが入って、


「イベントの模擬戦をしてみませんか?」


 ……ちょうどいいな。





 もう察してると思うが、チャットの送り主は《タイムスリップ》のジャロイーさんで、もちろん俺は二つ返事で了解した。

 《海馬組》と《タイムスリップ》で、決闘場の一室を一日貸し切りにし、いろんな編成を試していく。


「さて、最初は絶対に勝ちたい訳だが……出場したい人!」

「はい」×10


 みんな元気ですね。

 色々考えた末、単体性能が高いファニーとミワ、前衛のシェンラさんに、高火力アタッカーのアンペルとガンツの5人になった。


「……ダーリンが居なきゃ力が出ない」

「お前は某国民的ヒーローか?」

「お姉ちゃんで我慢しなさい」


 やっぱりこの人シスコン入ってる気がする。


「でも、イグノはいた方がいいんじゃないの?」

「そうだそうダ」

「いや、俺なんてただの器用貧乏な半端者だぞ?」


 どうしても状態異常がキツイとか、瞬間出力がいるとかでもなければ、俺の役割なんてほとんどない。

 潤滑油みたいなことしかできん。


「でも、イグノには精神バフ効果があるシ……」

「ねーから。さっさと行って来い」


 と、いうことで、初手はガンツ、ファニー、アンペル、ミワ、シェンラさんの5人を選出することになった。

 がんばれよー。



 広い決闘場にて、前衛にファニー、ミワ、シェンラさんで、後衛にガンツ、アンペルの陣形を組む。

 半透明な壁の向こうでは、《タイムスリップ》の人たちが前衛2、後衛3の陣形を組んでいた。

 前衛側にはルケさんがいるが、ジャロイーさんは見えない。

 あの人の能力は特殊だから、いないのは結構助かる。

 他の人たちも野球の時に見た気がしたが……顔を覚えるのが苦手な俺は、能力を覚えていない。

 まあ、アンペルは頭がいいから覚えてるだろうし、大丈夫だろ。

 そして、十分に時間が経った後、


『デュエル開始ィィィ!』


 始まった。

 まずは相手の前衛2人と、こっちのファニー、ミワが衝突する。


「〈ポイズンソード〉」

「〈一閃〉」


 ファニーが、相手の……誰だ? とにかく、ギザギザ頭の剣使いと毒の剣を重ねる。

 だが、ファニーの方がステータスが高いみたいで、押し勝てている。

 まだスキルが見えてないのが不安だが、なんとかなるかな?


 次にミワの方を見ると、


「〈流墜漸(りゅうついせん)〉」

「〈ニードリック〉」


 体中から(とげ)を出せる人が、ミワの相手をしていた。

 スキルのお陰で誤魔化せているが、彼女の力のステータスは低めなので、自在に棘を出せる相手に攻めあぐねている。


 それを見たガンツが、棘君の方に弓を射て……相手の投石に迎撃された。

 確か、野球でピッチャーをしていた人だ。

 何本も連続で矢を放つが、投石で全て撃ち落とされ、たまにガンツ本体にまで攻撃してきた。

 やっぱり攻撃補正がない分、遠距離の刺し合いになるとキツそうだ。

 シェンラさんがカバーに入るも、一人で二人を抑えられている、不利な盤面だ。


 あとはアンペルなのだが、ガンツのついでに投げられた石を避けたスキに、


「〈伸びる腕(エクスツアーム)〉」

「エ!?」


 彼女の肩を、伸びてきた腕が掴み……相手の陣地まで引っ張られていく。

 あいつ、前も【浦島太郎】に釣られたし……まあ、能力が強力だからマークされてんだろ。


「ッツ、〈700ボルト〉」

「〈パーツガード〉」


 掴んでる腕に電撃で反撃したアンペルだったが、鱗器の効果か、全然ダメージが通っていない。

 そして、ルケさん(盾、硬い)と腕が伸びる人で、アンペルを攻撃していく。

 クソ、誰かカバーに行けないのか?


 さっき余裕があったファニーの方を見てみたが……復活の途中だった。

 体の大きさ的に、既に2回は死んでいる。

 そして、相手のギザギザ頭は……デカくなっていた。


「あれ、何があったんだ?」

「私見てたっす。あのギザギザ頭の人、ファニーさんにやられた後、大きくなって復活してたっす」


 なるほど、ファニーとは逆に、死ぬたびに強くなる能力か。

 さすがに制限はあると思うが、死ぬたびに弱体化するファニーとは相性が悪い。


「……これ、どうするのぜ?」


 今回のルールでは、決闘中に一度、10秒だけ参加していないメンバーからアドバイスができる。

 何て言おう?


「……最善手を取る」


 口出しする相手を、相手陣地で囲まれているアンペルに定め、


『爆・散!』

「……イエッサー。〈サンダー・バースト〉」


 彼女は自爆魔法を使い、できるだけミケさんと腕が伸びる人を削って、退場してもらう。

 あそこまで絶望的な場面だと、これくらい思い切りよくした方がいい。

 さらに、電気で一瞬視界が封じられている間に、


「〈シューティングスター〉」


 腕が伸びる人に向けて、ガンツの矢が飛んだが、


「〈タートルビット〉」


 ミケさんが噛みついて、止めてしまった。

 さらに、ファニーもギザギザ頭にやられてしまい……


「これは……負けかな?」


 しかし、今回のメンバーにはガンツがいる。


「一人でも多く道連れにするぞ」


 さっすがガンツ君。

 まずは、ギザギザ頭をシェンラさんに足止めしてもらい、ガンツの矢を当てる。

 投石で何回か死んでしまうが、まだストックは少しある。


「〈フレンド〉」


 ミワも投石を避けながら棘の人を足止めしてもらい、さらに実体のあるデコイで、ギザギザ頭にリソースを回し、


「抜刀術〈葬流漸(そうりゅうせん)〉」

「〈マグネッターΩ(オメガ)〉」


 デコイミワが片手、シェンラさんがパンチを受け止めてもう片方の腕を止め、数本の矢が引き寄せられるようにギザギザ頭の脳天に刺さり……復活せず倒せた。


 その後、投石と棘でやられたミワの屍を越えて、もう一人くらい道連れできるか頑張っていたが、投石がキツ過ぎて無理だった。


 初戦は負けか。

 ちょっと今回は相性が悪かった。


 腕が伸びるやつ、棘を出せるやつ、投石のやつ、ミケのスキルは、野球回のやつを見て下さい。


【ミロクンミンギア】


 能力:進化


 既知で最古の魚とも言われるすごいやつ。

 段々進化して今の種類になったんだね。

 弱体化より使いやすい分、復活回数は3回と少ない。

 あと、これでも強すぎるから、防御も少し低くなっている。


   ※この情報は2022年9月の物です

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