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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
70/110

※軽いホラーあり

 ……オワタ。

 光の速度で頭を抱えた。

 何故こうなってしまったのかというと……学校の英単語小テストで、死にました。


 最近は《メルヘンヒーローズ》の尾行とか、宴会とかで、勉強できる時間がなかったんだって。

 いや、別にたった一回の単語テストなら、カバーできなくもないんだが、最近点数悪いんだよなぁ。

 UAOが面白いのがいけないと思うんだよ。だからこそUAOは面白いんだよ。


 とにかく、このままでは留年しかねない。


「ってことで、今夜、夜の学校に侵入します」

「「イエー」」


 Mission, 夜の学校に侵入して、テストを書き換えろ!

 メンバー、悠馬、東間、ディア


 会長と伊織も誘えるのだが、会長は真面目だから次のテストの勉強させられそうだし、伊織は……カオスになる気がするからやめとこ。

 まあ、多くなりすぎても隠密行動しにくくなるだけだし、これくらいで十分だろ。




「イグノ、アンペル、校舎前に着きました。オーバー」

『こちらガンツ、了解した。校門を乗り越えて、侵入したまえ。オーバー』

「こちらアンペル、了解」


 学校の校門なんて、身長の1.5倍くらいしかないから、乗り越えるのはそこまで難しくはない。

 先に俺が登って、身長が低いアンペルを引き上げた。

 ちなみに、ゲーム名で呼び合っているのは、コードネームの代わりである。

 さて、問題はここからだ。


「こちらイグノ、敷地内に侵入成功した。オーバー」

『こちらガンツ、了解した。裏口からで校舎内へ突入したまえ』

「イエッサー」

「おい、了解だろ」


 とにかく、バレないように、裏口から校舎に


「……おい、これどうやって鍵を開けるんダ?」

「知らねえの?俺の108の特技その18、ピッキング」


 そう言って、ポケットから取り出したのは……ギザギザに折られた、日本の針金だった。

 ちなみに、その特技は数字が大きくなるほどショボくなり、108個目は口笛とかになる。


カチャカチャカチャ


 10分後、閉まっていた鍵が開いた。


「ピッキングに成功、職員室へ向かう。オーバー」

『十分に警戒して進行せよ』


 幸い職員室は近いから、ササっと行って、とっとと寝よう。

 適当に進んで


「待テ」

「うお!」


 ディア……じゃなくて、アンペルに腕を引っ張られて、尻もちを着いてしまった。


「おい、何すんだ」

「これを着けてみろ」


 そう言って渡された眼鏡をかけると……よくスパイ映画で見るような、赤い線が無数に張られていた。


「なんだこれ」

「赤外線センサーだ、当たると通報がいくゾ」

「なんで公立高校にそんなのが張られてるんだぁ!?」

「……どっかから多額の支援があったんだロ」


 うん、お前のせいか。

 まあ、通らなきゃいけないよなぁ。

 幸い体は柔らかい方なので、ゆっくりと乗り越え、下をくぐり、ほふく前進などなどで、なんとか()(くぐ)っていく。


「おい、アンペルもさっさと来い」

「ちょっと待て、この辺に……」


 ったく、何やってんだか。

 とにかく、俺だけでも職員室に


「あっ」


 足を滑らせて、センサーに触れ……ギリギリで、全てのセンサーが無くなった。

 振り返ると、アンペルが廊下の壁の底辺にある、カモフラージュされたスイッチを押していた。


「警備員用の一時停止スイッチがあるんだヨ」

「ありがたいけど、先に言っておいてくれよ!」


 てか、警備員までいるのか。


「警備員を警戒していきたいな」

「……ここだけ1月くらいになったのかな?」


 一回足を止めて、よく音を聞いてみたのだが……シーンとしていて、なんの音も聞こえない。

 今は近くにはいないみたいだ。


「さっさと行ってしまおう」

「そうだナ」


 これ以上のトラップはなさそうだし、職員室のドアのピッキングをして、俺の英語担当教師の机から、『辰海悠馬』のテストを必死に改変していく。

 だが……今考えても分かんないわ。


「そこfoolだぞ」

「ああ、確かにそんな感じだった気がする」

「そこはcrazyだぜ」

「ありがとう」


 背後からアンペルが口出ししてくれて、なんとか英語全ての回答を書き換えることができた。

 というか、全部の回答って……考えるのをやめよう。


「よし、脱出するぞ」

「分かっタ」


 軽く走って廊下を駆け抜け、


「ッツ、止まれ(小声)」

「んー」


 口を塞いで……何かの足音が聞こえてきた。

 恐らく、警備員。


「こちらイグノ、警備員が迫ってきてる。オーバー」

『他の出口は使えるか?オーバー』

「いや、センサーのスイッチの場所が分からないから、多分逃げ切れない。打開策が欲しい。オーバー」

『……知ってるか?この学校にはカップルの幽霊が出るらしいぜ』


 ああ、あれね。

 うちの学校には、そこそこ有名な伝説というか、心霊話がある。

 かいつまんで説明すると、昔まだそういう意識が低い頃に、いじめられている女の子がいた。

 内容は想像にお任せするが、そこそこハードで、自殺も考えてた時期、転校生の一人の男子に救われたらしい。

 彼女を優しい言葉で癒しつつ、しっかりと証拠をとって、色んな所に通報したとか。

 何故そこまでしたのかは、昔の知り合いだとか、一目惚れとか、色々な説があるが、真相はわからない。

 俺も何故伊織に好かれてるか分からないし、そんなもんなんだろ。

 で、通報の仕方が良かったのか、まさかの警察まで動き出し、逮捕も目前という頃、自暴自棄になったいじめグループが刃物を持ってきて、庇った男子が殺され、女子も自分から後を追った。

 それから、牢獄のいじめグループが謎の急死をしたり、一部の生徒が変な声が聞こえたとか言い出して……しっかりと伝説になった。

 まあそんなこんなで、今でもたまに発見報告がされるような幽霊たちなのだが、


「……お前アニメの見過ぎだろ」

「もうそれしかないんだよ」


 マジでやんの?

 アンペルの方を見てみたが、


「……祖国にとってはあいさつダ」

「前調べた感じ、そんな文化なかったけど」

「貴族の風習ってやつだヨ」


 ……Kiss me Kiss me Baby





「ふぁああ」


 眠い目を擦って、夜の学校を巡回する。

 給料が多いから2か月ほどこの仕事をやってるんだけど、まだ一回も不審者に会っていない。

 せいぜい猫が入ってきたくらいだ。

 あーあ、同僚は幽霊の話なんてし始めるし、家のローンがなかったらこんな怖い仕事してないのに。

 ライトで廊下を照らすと……靴が見えた。

 不審者かと身構えて……一組のカップルがキスしていた。

 まさか、噂の幽霊!?

 そして、こっちに気づいたカップルの男が、自分が刺された刃物を取り出して、襲い掛か


「ギャアアァァ‼」


 全力で方向転換して、全力で逃げた。





「危ねー」


 ビビりな警備員で助かった。


「お前何で刃物なんて持ってきてるんダ?」

「サバイバル必需品だろ。こちらイグノ、警備員の撃退に完了した。オーバー」

『了解した。迅速に裏口から脱出して鍵を閉め、帰還せよ』

「「ラジャー」」




「ふー。今日はありがとな」


 俺の家には伊織、東間の家には統華がいるため、アンペルの家で3人でパーティーをした。

 明日は土曜日だし、寝なくても問題なし。


「またなんか映画みようヨ」

「何がいい?」

「英語の映画でも見たら?」


 ……もう英語なんてやだ。


「君たちは英語分かっていいよなぁ。テストの回答もすぐに教えてくれたし」

「え、私は何も言ってないゾ?」

「……は?」


「職員室の入口で、警備員を警戒してたからナ」

「俺も何も言ってない」


 そういえば、アンペル特有のなまりがなかった気がする。

 ……じゃあ、テストの回答を教えてくれたのは?


 テストは100点でした。

 この小説も大台(適当)の100ポイントになりました。

 いつもありがとうございます。


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