ガチ陰キャ型はにわ
「第二形態だろ」
「BOOOOOOOO」
土偶魚の中から出てきたのは……はにわ魚。
甲冑を着けている型で、(゜○゜)こんな顔をしてるのが愛嬌があると捕えるか、ムカつくと捕えるかは人によるだろう。
ちなみに俺はムカつく側。
「〇ね!」
「ヘイト高いね」
飴を咥えて、全力の加速ラッシュをお見舞いしたが……全然効いていない。
こいつ、一転して硬くなりやがった。
「BOOOOOO」
はにわ魚が叫んで……俺たち全員のHPが段々減っていっている。
ステータスを見てみると、古代の呪いに罹っていた。
「高い耐久力と毒で削りきる、陰キャ型か」
「いや、それだけじゃないらしいっすよ」
「BOOOOOOOOOO」
辺りの地面が盛り上がってきて……大量のスケルトン魚が起き上がって来た。
「ガチ陰キャ型じゃねーか!」
「同族嫌悪でもしているの?」
「いや、生徒会やるような奴は陰キャじゃないから。あと司令官の仕事してくれ」
「そうね『マドカはボスの攻撃に備えて。Rexは全体攻撃、ミワはボスにダイレクトアタック、イグノは加速の時だけボスに攻撃。私は雑魚処理していくわ』
「火力足りるか?」
「微妙ね」
仕方ないな。ギコーでも連れてくれば楽だったんだが。
まあ、ラチック以上の策も思いつかないし、一先ず指令に忠実に従う。
一体一体の強さはそこまででもないので、Rexに群がって来るスケルトンを吹っ飛ばして、加速が戻った時だけボスに攻撃した。
「〈流墜漸〉」
得意のデコイをどっかに投げたミワが、全力のスキル攻撃を行い、申し訳程度に振られる埴輪魚の剣を、マドカが受け止める。
「〈ラウド・コンフラグレイション〉」
Rexがスケルトン達に全体的にダメージを与え、
「〈リングス・トライデント〉」
ラチックがそれに止めを刺してく。
もう後は呪いでHPが削りきられる前に、陰キャはにわを削りきれるかの勝負。
そして……これ以上書くことがない(作者の本音兼悲鳴)。
「……なあ、これ足りると思うか?」
「私の計算によると……足りないわね」
今、こっちのHPが大体あと2割(割合ダメージだからマドカの損害も多い)で、陰キャはにわのHPがあと4割。
普通に足りない値である。
「すみません、私が火力を出せないから」
「いや、マドカが剣を引き付けてくれたから、ミワが攻撃に集中できたんだ。十分役に立ってるよ。今度ギコーでも連れてこよう」
「おいお前ら、諦めんなよ!もっと熱くなれよ!」
と言われましても。
もうこれはインポッシブルとしか。
『最後の攻撃をします。今からスケルトン魚をガン無視してボスを総攻撃します。マドカは一応スケルトンとその他防御方面、イグノは回復魔法を回して』
……それしかないか。
『やるわよ。3,2,1GO』
一応最後の加速+〈花剣舞〉で……焦り過ぎて加速の前に【リーフィーシードラゴン】に切り替えてしまい、無理だった。
これだから2割は。
「〈自然の癒し〉」
大人しくミワとラチックを重点的に回復して、少しでも攻撃時間を増し、
「〈玖洙流漸〉」
「〈古流槍術・閃光突き〉」
攻撃部隊がダメージを与える。
俺の回復魔法で、二人はほぼ全回復したが、スケルトン魚たちを抑えているマドカがやられると、一気に攻撃しにくくなる。
ここが正念場だ。
「〈杉森〉」
最後のMPをふり絞って、はにわ魚の体に根を張らせ、
「〈焼却〉」
Rexが燃やしつくした。やっぱ相性良いな。
一気に1割も削れて、残り2割。
しかし、
「あとは頼むっす」
「諦めんなよ」
Rexとマドカが逝った。
抑えていたスケルトン魚たちが、なだれ込んでくる。
あと少しならなんとかできるが、俺もあとちょっとでHPが尽きる。
「急げ!」
もはやスキル無しになって、めちゃくちゃ噛まれてるけど、どうにか抑えれてる。
だが、今までほぼ意識していなかったはにわ魚の剣が、脳天に直撃し、死んだ。
これで壁は完全に無くなって、攻撃役にスケルトンが襲い掛かる。
「あなたはスケルトンの対処をしてなさい」
「あんたがしなよ」
おいおい、ケンカすんなよ。
ちなみに、ダンジョンで死んで、まだフレンドが生き残っていたら、特別室で観戦できる。
「……もうボスに全力攻撃よ」
「賛成〈フレンド〉」
ミワが一体のデコイを出し……あいつ、デコイじゃない。
自立して、攻撃し始めた。
んなこともできるんだなー。某一般成人おじさんにも見習ってもらいたいものである。
そして、
「「抜刀術〈葬流漸〉」」
ミワがデコイと刀を重ね……一気に削れて
「BOOOOOOOO」
はにわ魚が倒れた。
……なんか特殊な仕様が働いてる気がする。後でちょっと調べてみよう。
とにかく、なんとかクリアしたみたいだ。
今までで一番のピンチだったんじゃねーの?