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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
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花にまみれた決着

 状況整理のお時間です。


イグノ 特に損害無し

ガンツ まだまだストック残ってる

ファニー あと7回

アンペル ほぼMP残ってない

シェンラ 特に損害無し ただ、無敵化は残ってない

ギコー 少し削れてる

ミワ 死

ラチック ちょっとMPが減ってる

Rex そろそろMPがやばい

マドカ 残り4割 腹のキズは再生した


【桃太郎】 特に損害無し

【浦島太郎】 特に損害無し

【乙姫】 死

【泉の女神】 少し削れてる

【カエルの王子】 やばいオーラを発してる

【人魚姫】 死

【鬼六】 そこそこ削れてる

【金色の魚】 死

【女郎ぐも】 相手の陣地が糸だらけ

【水龍】 特に損害なし


 人数的には7対9で、結構有利な状況。

 それに、ファニーとアンペルは相手の陣地の奥まで潜り込めていて……すごいオーラを出した【カエルの王子】が二人を殺った。

 ファニーは生き返るが、すぐにもう一回やられてしまう。

 さらに、【女郎ぐも】の糸で動きにくくなり……ピンチ。

 すぐに救援に行こうとしたが、【桃太郎】に邪魔されて、行けない。


「っつ、どけ!」

「ヤダね」


 クソ、とっておきたかったけど、加速で無理やり……


『待ちなさい。ファニーのことは諦めて』

「見捨てんのか!?」


「いいの。時間を稼いでる間に態勢を整えて」


 ……超ステータスの怪物に、一人で抗っているファニー自身の言葉もあって、彼女を助けるのは諦めた。

 

『……態勢を整えます。ギコーはそのまま【鬼六】の相手、マドカとガンツで【水龍】と【泉の女神】を抑えてちょうだい。Rexは【浦島太郎】と【女郎ぐも】を牽制、イグノはシェンラと交代』


「……俺は何するの?」

「私と一緒にあの怪物対処」


 責任重大じゃないか。

 後ろから来たシェンラさんと【桃太郎】の相手を交代してもらい、少しだけラチックと戦略を練っておく。

 シェンラさんはキルレートゼロだから、そうそう突破されることはないだろう。

 そして、とうとうファニーが突破され……さっきまで醜い顔をしていた男は、金髪イケメンになっていた。

 軽めの鎧を着て、鋭い剣を装備している。

 

「かかってきな」

「私たちが相手よ」


 そう言って挑発してみたら、こっちに向かってきてくれた。

 正直、あの超スピードで、他の人たちの方へ行かれると、ゲームオーバーだったので、マジで助かる。

 だが、それは2対1でも勝てる自信があるということに他ならない。

 奴が剣を振りかぶり、


ザッシュ


 俺の木刀が半ばまで切り込まれた。

 手にも衝撃が走り、少しだけHPが減る。


「〈ブラックランス〉」


 ラチックが俺の背後から剣を抑えて、二人掛かりで抑え込む。


ザッザッ


 右からきた剣を、さっき半ばまでいった箇所とは違う場所で受け、切り返して左にきた剣を、ラチックの槍が受けた。

 手が空いた俺が、左手の木刀で槍を支え、右手の[クマ魚の返り血]で殴り、少しだけダメージを与える。


 なるべく俺が剣を止め、ラチックが背後からそれを補助す形だ。

 しかし、段々使っている木刀がボロボロになってきたので、加速して腹を蹴りつけ、吹っ飛ばす。

 そして、練習通りアイテム欄を開いて、新しい木刀を取り出した。

 

 このループなら、先に相手を削りきれるかな?

 だが、吹っ飛ばされて距離をとられているまま、何かを取り出して……サッカーボールのようなサイズの、金たm。

 いや、あれは金色の(まり)だな。

 今まであんまり下ネタ使ってなかったのによぉ……。

 そんなこんなで、奴が足を引き……アレはやばい!


「ッツ、ラチック!」

「え、キャッ!」


 ラチックの手を取り、ギリギリで溜まった加速を使って、全力で回避運動をとる。

 ちょっと力加減をミスって、彼女は脱臼してしまったみたいだが、


「〈王族の遊び〉」


 すごいスピードで、金の毬が飛んで来た。

 何とか避けられたが、着弾した決闘場の床は、ダイナマイトでも爆発したみたいになっていた。

 

「……アレには当たりたくないわね」

「加速は大切にしておこう。あと、純愛頼む」

「〈殺戮魚の純愛〉」


 彼女の強力なバフを貰って、上段からの剣を受け止めた。

 まだ力のステータスは負けているが、なんとか左に流し、


「〈リングス・トライデント〉」


 ラチックの突きが、奴の腹に刺さった。

 ……あの威力なら貫通してもいいのだが、やっぱり防御まで高水準になっている。

 ジックリやっていけば、多分いけ……左上の、RexのHPバーが、完全に真っ黒になった。

 幾ら糸を焼き切れるといっても、【浦島太郎】と【女郎ぐも】の二人を相手して、MPもそこまで残っていなかったから、しょうがないか。


 とにかく、あいつらが加勢してくる前に、こいつを倒しきらなければ。


「アレをやる」

「……成功率は?」

「二割くらい」


 分の悪い賭けだが、これしかない。


「大丈夫、俺は勝負強い方だ」

「……カバーはするわ」

「よろしく」


 木刀を左手片方で持ち、右手にもう一本の木刀を出した。

 

 そして、まずは加速。

 さらに一瞬でスキル【リーフィーシードラゴン】に切り替えて、〈花剣舞〉を発動。

 要するに、加速+〈花剣舞〉で、実質2つのスキルで、ラチックに言われた通り、リズムが早い音楽をさらに倍くらいにして頭で流し、


「うおおおおおおおおおおおおおおおお」


 少し防がれたが、ほぼ適当に振られているだけの木刀が相手を襲う。

 ついでに、加速でものすごいスピードで俺の周囲を回っている花びらが、切り刻む。

 これが、俺の最高火力だ!


 加速の2秒が切れて、最後に少しだけ残った相手のHPを、


「〈古流槍術・閃光突き〉」


 ラチックが削りきった。


「シャア!」

「まだよ、あなたはシェンラの補助をして。私は糸を切れるギコーと交代するわ」


 手厳しいですね。まあ、最後の詰めだ。

 シェンラさんが抑えてくれている【桃太郎】に、木刀で殴りかかる。

 奴も、こっちに刀を振ってきたが、シェンラさんが受け止め、2対1パワーで、押し切る。


「じゃあな。ちゃんと振り込んどけよ!」


 そう言って、最早戦意喪失している【桃太郎】を倒した。

 交代するつもりだったラチックは、案外優勢だったギコーと協力してさっさと【鬼六】を倒し、糸を断ち切ってギコーが【浦島太郎】と【女郎ぐも】を倒し、最後に人数差で【水龍】と【泉の女神】を倒した。


 成功率が低い理由。

 脳内で 加速→【リーフィーシードラゴン】→〈花剣舞〉→全力攻撃 のプロセスを、できるだけ早くしなければならない。

 加速の時間は2秒しかないからこれに時間を稼ぐほど、攻撃の時間が減る。

 さらに、練習は一日一回しかできないとかで……難しいんや。



 もう2度と10対10なんてしねえ(死にかけ)。

 ……もう一回やって欲しいひと「いいね」

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