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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
60/110

DQN

 戦闘開始。

 こちらの陣形は、前衛にイグノとルケ(古代ガメの盾使い)に、中衛ジャロイー、後衛にガンツってところだ。

 まずは相手のスキルを見極めて、ジャロイーのスキル封印を通したい。

 それに対して、相手のDQNは前衛三人、後衛一人の、押せ押せ陣形だ。


「切り込み隊長イグノ、行きまーす。ヒュー!」


 まだテンションが治っていないイグノが、鱗器の飴を咥えて加速し、前衛の一人に殴りかかった。

 しかし……その前衛のスピードも中々のもので、さすがに加速中のイグノには敵わないが、凄い手の動きだ。

 だが、今日のあいつは、


「うお、なんだこいつ!?」

「中国100億年の歴史を食らえ!」


 寝不足で、酔拳使いになっている。

 予測のつかない、不規則な動きで、相手の防御をかいくぐってダメージを与えている。

 正直、単純な戦闘力だけなら、いつもよりも強い。

 まあ、酔拳状態のときは、あいつの強みである戦略的思考ができないから、しっかりと手綱を握っておかなければならない。


 加速が終わっても、ヘロヘロとした動きで、倍くらい速いパンチを避けていた。

 ……やっぱり、あのパンチは異常だから、何かのスキルが絡んでるかな?


 素手のやつの攻撃をほとんど全て避けきり、二回目の加速をしたところで、


「〈蟹の友情(クラブカバー)〉」


 相手の刀持ちがカバーに入って、最後の前衛である、ハサミ持ちがが吹っ飛ばした。


「イグノさん!」


 こっちのミケ(盾持ち)が、盾でイグノを止めた。


「ん、センキュッ!」

「は、はい」


 大体相手の能力が分かって来た。


素手 パンチ補正

刀 フレンドのカバーがしやすくなる

ハサミ はさみ補正


 とかかな?

 この中で一番封じたいのは、全員を落としにくくなる、刀のやつ。


 とりあえず、素手君を酔拳イグノで抑えて、刀君とハサミ君をミケさんに抑えてもらう。

 このままでは、前衛の差で押し切られてしまいそうだ。

 そろそろ俺も介入するか。


 後ろから、鱗器にしてある弓で、


「〈シューティングスター〉」


 相手の前衛を射て、相手の動きを制限していく。

 ところどころで当たって、少しずつダメージを重ねていった。


「オラオラオラァ、こんなもんか三下ァ!?」

「おい、挑発すんな!」


 案の定キレたDQNたちの動きが活発になり、最後の後衛DQNが何かを取り出して……スピーカー。


「[促音向(ソクオンコウ) ロスアピーカ]!」


ドン!


 スピーカーを叩いて、爆音が響いた。

 これが最後のやつのスピーカーか。

 流石に音速は超えられずに、盾では大して防げず、前衛が結構なダメージをおってしまった。

 俺も一回死んだし、けっこうヤバい盤面になってきた。

 スピーカー君のスキルを封印したいが、後衛に近づくのは難しいから、やっぱり狙い目は刀のカバー能力だ。


 二回目の爆音の用意をしたところで、


「耳を塞いでみてくれ」

「俺が信じるお前を信じる!」

「それただ信じてるだけですよ……」


 そう言いつつも、なんだかんだで耳を塞いだお陰で、ダメージは大幅に減らせたみたいだ。

 やっぱり、音を遮断すれば、ダメージを減らせるみたいだ。

 しかし


「[熱摩手(ネツマシュ) サーローブ]ぅ!」


 素手だったやつが、赤いグローブを装着して、イグノを殴った。

 さっきまでと同じ様に、ギリギリでユラリと避けたのだが……熱で火傷して、ちょっとダメージを食らっている。

 これは長くは持たないかもしれない。


やるか。


「いけ、イグノ!」

「あいよぉっと。ウィ【リーフィーシードラゴン】」


 事前に立てていた作戦通り、


「〈杉森(シェードフォレスト)〉ォ」


 辺り一面に森を作り出して、視界を塞ぐついでに、一応防音効果も期待してみる。


「フッ、お前が燃えるパンチをしたら……燃えるぜ?」

「クソッ」


 まあ、Rexの油が撒かれているなら燃えるのだが、なかったら普通に燃えない。

 イグノには、そのままパンチ君の相手をしてもらって、中衛だったジャロイーが、ミケを攻撃している刀君とハサミ君に近づき、


「やれー!」

「ッ、〈蟹の友情(クラブカバー)〉」


 わざと声を出して、刀のやつのカバーを誘発し、


「〈クロック・ノック〉」


 ジャロイーがスキルを封印した。


「〈マルチショット〉」


 すぐにガンツが追撃し、さらにジャロイーも攻撃したところで、ハサミ君がカバーをしようとしたが、


「〈タートルビット〉」


 盾を持っていたミケが、ハサミに噛みついて……離れない。

 刀の奴は、せめて一矢報いようと、ガンツの方に向かっていったが……近づけば近づくほど、相手の速度は遅くなる。

 ガンツの弓は、[付磁引(インジフ) NSボウ]。

 矢が当たった相手に、磁力を付与できる。相手の速度を下げる使い方もあるが、


「うお」

「バイバイ」


 磁力で逆に相手を引き寄せて、


ドッカーン


 逃げられない爆発で、刀の奴を倒した。

 慌てて爆音を流してきたスピーカー君だったが、草の耳栓で、多少ダメージを軽減し、実質3VS1でハサミ君も倒しきる。


 こうなったら、もう数の暴力に任せればオーケー。

 俺が弓でスピーカーを牽制しつつ、パンチ君のスキルを封印して、木で刺し殺し、


「……っし、テメェ等、もう一回こんなことやったら、どうなるか分かってるんだろうなぁ、ええ!?」


 ヤ〇ザセットフル装備のイグノが、スピーカー君を脅していた。

 肩には木刀が乗っていて、完全にヤバい人だ。


「も、もももしもぉ(↑)、初心者狩りなんてするってんなら……俺の組みがお前ら潰しに行くからな」

「は、はい」

「よーし。じゃ、ばいばい」


 木刀を脳天に振り降ろして、勝った。



「よし、お疲れ様っしたー。ドロップしたエビいります?おお、カニもいるじゃん」

「……いえ、手伝ってくれたのですから、アイテムは全て差し上げます」

「いやいや、初心者がいなくなって困るのは、俺っちも同じですから。じゃあ、今度カニパーティーやるんで、来てね。てか、来い」

「は、はい」

「ん。さて、そろそろ寝れるかな?」


 そう言って、イグノはログアウトしていった。

 多分、ジャロイーの顔が赤くなってるのに気づいていないな。


【シャコ】


能力:パンチに補正


 DQNの素手のやつ。

 元ネタも、すごいスピードのパンチを放ってくる。

 他にも色の認識力が人間の数倍あったりするが、いい能力にならなかった。

 パンチという広い範囲の定義なので、補正の幅は小さい。


【ズワイガニ】


能力:同性に対して威力上昇


 作中ではハサミ補正だと思われていたが、本当の能力はこっち。

 雌のために、激しく争うからこの能力。

 そのせいで、女のミケを突破できなかった。


【カルキノス】


能力:フレンドをカバーするとき、全ステータスアップ


 星座のかに座の元になったやつ。

 神話上の生き物で、ヒュドラの友達。

 ヘラクレスにやられそうだったヒュドラを助けようとしたけど、気づかれないうちに踏まれて死んだ。


【テッポウエビ】


能力:音魔法に補正


 ハサミを鳴らして、銃みたいな音を鳴らせるから、テッポウエビ。

 マジで打たれたと勘違いした人もいるらしい。


【アーケロン】


能力:盾の効果アップ

   噛む力が上がる


 ミケの能力で、元ネタは古代のカメ。

 かなり噛む力は強いらしい。



 結構簡単に勝ったのは、初心者いびりしているDQNにレベルで勝っていたから。

 あと、バカな相手が同性アタックをしなかったせい。

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