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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
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ヤンデレート

二連続バトル回書こうとしたら、拒否反応がでた。

 ある日の放課後。その日は先生たちがなんかの会議で、午前授業だった。


「ダーリン!」


 いつも通り、背後から伊織が抱きついてくる。

 もう数えるのが面倒になるくらい、学校でダーリンはやめろって言ったんだが……矯正する気はないらしい。

 この光景も見慣れたもので、最初の頃にあった羨望と軽蔑のまなざしは、もう感じられない。

 何故か会長が冷気を放出し、東間が笑いだすまでがワンセット。


「はいはい、ダーリンですよ。ほら、さっさと帰るぞ」

「今日、遊園地に行かない?行こう!」


 突然だな……。

 でも、イベントの時に、適当なことを言って帰らせた分、ちょっとだけ罪悪感が残っている。


「まあ、行くか」

「イエーイ!」


 伊織が前から抱きついたまま、悠馬の背後にいるシャロに舌を出し、冷気が強まったのだが……そのことを悠馬は知らない。





 寄り道NGの学校なので、一旦帰って着替えてから、近場の遊園地に行くことになった。


「遊園地に着ていく服といえば……これだろ」


 俺は、一枚のTシャツを握って、遊園地へと向かった。

 伊織の希望で、わざわざ帰宅時間をずらして、分かれて行ったのだが……。


「どう?ダーリン」


 後から来た伊織は、


「……ああ、似合ってる。可愛いよ」


 お世辞ではなく、水色と白のフリルがついたワンピースを着た伊織は、本当に可愛らしかった。


「えへへ、ありがとう。じゃあ、行こう」

「最初何乗る?」

「遊園地は初手ジェットコースターや!」

「いや、ちょっと待って」


 俺は……軽い高所恐怖症だ。

 高い所に行くと呼吸が激しくなってしまう。


「今俺が何着てるか知ってる?」


 その服は……前面に「絶対にジェットコースターには乗らないぞ!!」って書いている、クソダサTシャツ。

 なんとしてもジェットコースターには乗らないという、ダイヤモンドよりも硬く、黄金のように輝く意思が現れております。


「……ダーリンなら、どんな服を着ても、ダーリンオーラが打ち消しちゃうけど、服によっては相乗効果も狙えるんだから、普通に良い服着た方がいいよ」

「ダーリンオーラって、女装とかでも打ち消せない?」

「着ぐるみでも打ち消せないよ。先に服屋さんに行こうか」


 そんなこんなで、伊織が俺にセレクトした服は……シンプルな無地のズボンに、スポーツメーカーのロゴだけ入った、普通の服。

 それだけでふらふらし始めた伊織を支えて、今度こそ遊園地に入場した。


 一人の尾行者を引き連れて。



「じゃあ、ジェットコースター乗ろっか」

「やだあああァァぁぁぁ!」


 なんでこいつそんなジェットコースター押しなの!?

 とにかく、俺は絶対に乗らない!花境院の魂を賭ける!


ガチャン(安全バーが降りる音)


 さよなら花境院。

 いや、久しぶりに遊園地に行ったら、「意外と行けるかな~?」って思わない?

 けど……3秒で後悔しました。

 ジェットコースターが、ガチャガチャ鳴らしながらレールを登っていく。

 地方の、そこまで大きくない遊園地のハズなんだが……上からみたら想像の10倍くらい怖いわ。


「……どこかにタイムマシンない?」

「ダイジョーブ。私と一緒に未来へいこう!」


 ジェットコースターって、先端部分が下りの所に入った時が、一番怖いよな。

 

「ギャアアアぁぁァァ!」

「キャ―――(ニッコリ)」


 叫びながらも、伊織がもの凄い笑顔で抱きついてくるが……そんな事を気にしている暇はない。


 ねえ、これもし壊れたらどうするの!?

 このレール低くない!?当たるんじゃないの!?



 もうやだ!

 なんとか命は無事だったが、こんなライフの危機なんて味わいたくない。

 ……そう言いながらも、次に遊園地に行く時は、なんだかんだでジェットコースターに乗るんだろうな。


「大丈夫?ダーリン♡」

「ああ……ウェ」


 伊織に肩を支えられつつ……べたべたイチャイチャされつつ、ジェットコースターの乗り場を降りた。

 なんか気温が低いな、冷や汗か?


「つ、次は俺がアトラクションを決める」

「分かった。それにする?」

「あれだ」


 俺が指さしたのは……トロッコみたいなやつに乗って、おもちゃの銃で的を撃つ、シューティングゲーム。

 別に得意って訳でもないけど、楽しいかr


「私とダーリンのコンビなら、満点必至だよね!」

「……え?」

「だよね!」

「お、おう」


 トロッコみたいなやつに乗り、モンスターに向かって銃を撃つ。

 一生懸命、一心不乱で撃ち続けたが、


「お前、本当にゲーム得意だよな」


 結果は、まさかのトリプルスコア(負け)。

 

「おかしい。ダーリンと一緒にやったのに、最高スコアを取れていない……」


 いや、お前単体なら月間記録は取れてるよ。

 ペアスコアなら惨敗なんですけどね。


「あのー、うん、あれだ。隣の伊織に見とれてちゃって、集中できなかったんだよ」


 この前の重複デートでレベルが上がっていたお陰で、すぐに言い訳がでてきた。

 すぐに伊織がはっとした表情になり、


「もう一回やろう」

「……ああ、別にいいけど」


 二回目では、彼女は俺にピッタリ張り付いて、


「……わー、同じスコアだぁ」

「これは運命に違いないよ!」


 絶対お前調整しただろ。

 怖えよ!最高スコアよりも難しいだろ。


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