久しぶりのPvP
マドカが《海馬組》に入組した日。
軽く自己紹介したり、スマ〇ラなどで遊んでいたら、もう夜になっていた。
ちなみに、マドカはめちゃくちゃ強くて、ミワカズヤから1ストック打ち取っていた(3スト終点タイマン)。
いや、ミワカズヤマジで強いんだって。
俺だったら300%ハンデあっても、1ストックも打ち取れなかったし。
話を戻そう。もう夜だったが、マドカの戦闘力を試してみたいということで、明日暇な人たち(俺、アンペル、ギコー、Rex、マドカ)で、廃墟のダンジョンに行くことにした。
そのダンジョンは、グレ壱(第一の町)にあるのだが、今回のアップデートで、グレ壱とユ弐レイに、参テルと同レベルのダンジョンが追加されたのだ。
ってことで、グレ壱にワープして、外れの廃墟のダンジョンに着いた、
「どうでもいいけど、町に近いところに、第三の町レベルのやつ作っていいの?」
「このゲーム、たまに頭おかしいことがあるっすから」
廃墟のダンジョンは、ボロボロのビルみたいな作りで、最上階を目指すらしい。
「お化けとか無理な奴いる?」
「だ、大丈夫ダ」
「あ、お化けがいるぜ」
「キャアアアぁぁぁァァ!」
ギコーが鎌をかけると、アンペルが甲高い悲鳴を上げた。
鱗器である[電走駆 エレクトリックBIKE]に乗って、凄いスピードで消えていった。
「……お前、お化け無理なタイプか」
「熱い心があれば余裕だろ」
「アンペルさん、さすがっす……」
「うっさイ。いいから行くゾ」
まあ、統華はもっと酷いけどね。
本人が大丈夫っていうなら、大丈夫だろ。
廃墟ビルの入口から、そこそこ広い廊下を泳いで進んでいく。
アンペルが全力で辺りを照らしていたから、最早昼くらいの明るさになっているが……お前、MP尽きない?
「モンスターだ、モンスターがいるゾ」
「え、いる?」
アンペルが一人で騒ぎ出したのだが……角を曲がった先に、本当にモンスターがいた。
過敏になってるなぁ。
で、これが今回のモンスターか。
なんか、半透明の魚が5匹くらい泳いでいた。
あと、周りに火の玉が浮かんでいて……思いっきり魚の幽霊ですね。
「キャアアアァァァぁァ!」
アンペルがフルパワー電域を張って、7匹の幽霊魚が落ちた。
「……なあ、さっきいた幽霊魚って、5匹じゃなかった?」
「俺も5匹に見えたぜ」
「あたしも5ひき」
「じゃあ、この増えた二匹は……なんっすかね?」
「キャアアアァァァぁぁぁァ!」
ちょっと、反応が面白いのはいいけど、電域を張るのはやめろ。
耐久がないRexが死ぬぞ。
「落ち着けって。多分透明化とかの能力を使って、潜んでいたってだけのお話だろう?」
「zft uibu't usvf」
焦り過ぎて母国語でてますよ。
そのまま、アンペルが辺りを照らつつ、透明になっている幽霊魚を炙り出し、俺かギコーですり潰す。
たまに火の玉攻撃を食らうこともあるが、ポーションで回復できる程度だから問題ない。
このゲーム、ボスモンスター以外はあんまり強くないから。
階段を登って、ダンジョンの奥へと進もうとしたところ……一人の男が上から降りてきて、
「〈シャープナイフ〉」
「ッ、戦闘態勢」
男のナイフに[熊魚の返り血]を合わせ……指が半分くらい切れた。
いつも通り加速して、相手に殴りかかった。
数発は防がれるが、大体はヒットして、
「〈サケの里帰り〉」
急に相手の姿が消えた。何らかのスキルの効果だろう。
多分、あいつは相手の斥候役だな。
食らったダメージを、ポーションで回復しつつ、
「お前ら大丈夫か?」
「ああ」
「大丈夫っす」
俺の少しのダメージ以外は、被害はないようだ。
「さて、多分上には相手のPKパーティがいると思うんだが……ひよってる奴いる?いねーよなぁ!?」
「オー」×4
ちょっと人数が少ないのが不安だが……まあなんとかなるだろう。
さっきまでのゆるゆるペース(アンペル以外)から一転して、前衛イグノ、マドカ、中衛ギコー、後衛アンペル、Rexで角待ちなどを警戒しつつ、ゆっくりと進んでいく。
3階ほど上がった時に、さっきの男がいた。
他にも、6角形模様の盾を持ってる奴、狙撃銃を持っている奴、魔法の杖を持っている奴の4人が待ち構えている。
不安だった人数問題は、むしろこっちの方が多かった。
とりあえず安定の初手加速からの、
「オラァ!」
相手の盾持ちを殴りまくったが……全然効いていないな。
ギコーが、俺の背中を踏みつけて、ノコギリを振り降ろしたが……やはりこの硬さは異常だ。
なんらかのスキル……いや、盾の模様からして、【カメ】の盾補正とかかな?
とにかく、突破にはまだ時間がかかる。
ギコーが追撃をしようとしたところ、
「危ないっす!」
相手の狙撃銃が火を噴いて、ギコーの額に当たるところだったが、マドカが突き飛ばして、彼女の左腕が千切れた。
けど、マドカの残りHPは、残り9割以上ある。
【ヒュドラ】の能力は、HPを9倍にするらしく、見た目ほどダメージは食らっていないらしい。
ほとんどHP全振りにしているらしく、おそらくHP数値はトップレベルだろう。
腕が千切れたマドカに追撃しようとする、斥候の男のナイフをまた俺が弾いて、前衛同士の激しい攻防が続いた。
Rexが油を回すまで、時間稼ぎをしようと思っていたが、
「〈ジャック・チフ〉」
ギコーの《海馬組》一番の火力を、斥候の男に振った瞬間、その男は、後衛の位置にワープしていて、
「〈リキッドトキシック〉」
相手の魔法の杖が、猛毒攻撃をしてきて……仲良く三人とも(イグノ、ギコー、マドカ)毒りました。
けど、相手の盾持ちは、毒になっていない。なんかアイテムの力か?
とにかく、アンペルが後ろから投げてくれた[どくけし]を飲み……治らない。
強力な毒だなぁ!
「【リーフィーシードラゴン】〈自然の薬〉」
俺が回復魔法を使ったら、毒は治った。
【リーフィーシードラゴン】が無くなると、毒で死ぬから……残り10分で終わらせたい。
しかも、【マグロ】じゃないから、加速できず、俺はほとんど火力を出せない。
俺を狙った狙撃銃弾を、マドカがさらに腕を短くして防いでくれて、
「〈炎上の油道〉」
やっと油を回せたRexが、相手の狙撃銃と、魔法の杖を半分くらい削りつつ、スキを作って
「どけ、前衛どモ。〈レーザービーム〉」
Rexの魔法が、相手の後衛の目を誤魔化してる間に、こっちの前衛がビームの道を空けて、盾持ちにビームが刺さる。
やっぱり電気の通りがいいのか、あと5割くらいまで削れた、
「下がれ、一旦引くぞ」
相手の斥候がそう叫んで、相手が下がっていき……
「追うぞ、前!」
俺たちが、相手を追うように泳いで、少し進んだ時、
「え?」
Rexとアンペルの後衛組の前に、急に剣を持った女が出てきて、
「〈エンハンスブレード〉」
ギリギリバイクで避けたアンペルは良かったが、
「Rexゥゥゥ!」
Rexがポリゴンになって……死んだ。
【サケ】
能力:登録した場所にワープできる
元ネタは、サケが生まれた場所に戻って産卵するやつ。
ワープの距離には制限がある。
【キロネックス】
能力:猛毒
治りにくくて、強力な毒を使える。
元ネタもやばい毒を持っていて、クラゲにしては泳げる、海の蜂とも言われるやべーやつ。
1分で死ぬこともあるらしい……。
【ウミガメ】
能力:盾補正
毒無効
普通にカメ。
前述したキロネックスの毒を無効化して捕食する、クラゲのアンチ。
次他の解説もします。