楽しいお買い物
2日目。今日は、町の探索から始めよう。
昨日、毒の皮膚を持つモンスターがいたから、直接触らなくて済むように、手袋的な道具が欲しい。
というか、このダサい初期装備からオサラバしたい。
先に服かな。マップが示すとおり、服屋へ泳ぐ。
「ここが服屋か」
ちょっと厨二っぽい服が多い気もするが、ゲームなんてそんなもんだろう。
店に入って、良い感じの服を探す。
ステータスにおまけも付くみたいだけど、微々たるものなので、気にしなくてもいいだろう。
それより、似合っているイカした服が欲しい。
「お客様、よろしければ、お手伝いいたしましょうか?」
「ああ、おねがいします」
人魚の店員さん(NPC)が選んでくれるようだ。
ちなみに、プレイヤーでも、設定をいじれば、人魚フォルムになれるらしい。
よく『美的センスが狂ってる』とか言われるので、正直ありがたい。
「これとかどうでしょう?」
店員さんが持ってきたのは……黒のスーツ。
とりあえず、試着してみることにした。
設定をいじって、装備を変更っと。
「ただのヤ〇ザじゃねーか!?」
「いえいえ、とてもよくお似合いですよ。お客さん、『美的センスがズレてる』とか言われません?」
おい、どうして分かるんだよ!
余談だが、今現実では、ゴリラがスキーをしている場面がプリントされたTシャツを着ている。東間からめちゃくちゃ笑われた。
「安心してください!私は、お客様に似合う服を選ぶために生み出された、超最新型NPC。現代の科学を舐めてはいけません」
うわ、こいつ自分からNPCとか言ってるよ。
でも、そう言われてみると、これが正しいのではないかと思えてきた。
そういえば、このまえ、テレビで『選服のプロVS最新AI』っていう番組をやっていて、同点くらいになっていたな。
「それに、現実を見てください。みんな黒スーツを着ています。
つまり、誰が着てもある程度は似合うということ!」
「買います!」
確かに、これさえ買っておけば間違いないな。
おまけで黒サングラスまで付けてくれた。
さっきの装備を付けて、次は武器屋に向かう。
すれ違う通行人に二度見されるけど、たぶん似合っているからだろう(楽観視)。
割と近くにあったから、すぐに着いた。
壁に、剣や、弓、魔法の杖などが飾られている。
なかでも、槍が多い印象。普通、水中では銛を使うからその名残だろうか。
だが……手袋はない。
いや、オーダーメイドがある!
「店主さん、手袋のオーダーメイドお願いします!」
「忙しいから無理だ」
終わった。
一瞬お先が真っ暗になって、HPが4割消し飛んだ(動いてなかった)ところで……
「だが、紹介はしてやる」
「信じてました!」
「思いっ切り絶望してただろ。この店の裏に、俺の弟子がいるから、そいつに作って貰え」
「ありがとうございます」
早速店の裏に回って、弟子のような人を見つけた。
「手袋のオーダーメイドをお願いします」
「はい。では、詳しく希望を伺います」
おお、いいなそういう感じ。
毒肌に触れたくないとか、できればステータス補正が欲しいとかの話をした。
「ちなみに、この服って似合ってる?」
「これ以上ないチョイスだと思いますよ」
うん、完璧だな。
構想を練るから、少し待っていてくれと言われたので、アイテム欄を整理して待つ。
数分経って弟子さんが倉庫から出てきた。
「すみません、今切らしてる材料がありまして」
「自分でとりに行きます。なんていうやつですか?」
「クマ魚のエラです」
マップを指さして、出現場所を教えてくれた。
「すぐに行ってきます」
今の恰好 赤髪 黒スーツ 黒ネクタイ 黒サングラス 白ワイシャツ
ポケットにメリケンサック となっています。
(足の形的に靴はないけど、色は変えれるから黒にしてる)
ヤク〇としては完璧だけど、もちろん周りからの目は痛い。
これどちらかというとマフィ〇か。
NPCは面白コーデを自信満々に教えてくれます。
心の底では笑いそうなところを抑えて、友達との話題を提供してくれてる、善良な人たちです。