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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
45/110

野球回の続き

次は普通回なので許して。

 現在、2回裏1対2で、1点負けている。

 今回は3回までの短期試合だから、次の回でもう終わりだ。

 次のバッターは、6番のラチック。


「ぶっ飛ばせー!」

「ホームラン!ホームラン!」

「燃え上がれー!」

「黙っていなさい」

「「「すみませんでした」」」

「……イグノはいいのよ」


 熱烈な応援を受けて、ラチックがバッターボックスに立った。

 綺麗なフォームで、ひときわ濃いオーラを纏いながら、バットを振りかぶって……相手のピッチャーが投げた。

 投石スキルだけあって、やっぱりかなり速い。

 だが、こっちのラチックは技巧派。


カン


 3塁方向に流して、余裕で1塁までたどり着いた。

 次は、7番のRexなんだが……こいつはピッチングに〈身体強化〉のMPを使って欲しいので、軽く流してもら、


「灼熱バットォ!」


 こいつに手抜きなんて期待したのがバカでした。

 意味もなく燃え上がったバットが、ボールを穿つ。

 その時、


「〈クロック・ノック〉」


 相手の一塁の人が、何かのスキル宣言をして……〈殺戮魚の声〉の黒いオーラが消えた。

 明らかにラチックとRexのスピードが下がって、相手のボールが二塁から一塁へ回され、ツーアウト。


 戻って来たラチックに状況を聞いてみる。


「どうなってる?」

「スキルが使えなくなってる。多分、相手一塁のスキル」

「次はいつから使えそうだ?」

「分からない。でも、時間が経てば治るとは思う」


 ……できるだけ時間を伸ばして、ラチックのバフを取り戻さないと、勝ち目はかなり薄いぞ。

 8番バッターは、スピードもパワーもないシェンラさんなので……できるだけ時間を稼いで、最後の攻撃で巻き返すしかないか。



 3回表、相手の2番から。

 最初からギコーのいるレフトに、ミワのデコイを置いてもらう。

 1回の時は、ビックリ火の玉ストレートで打ち取ったが、今回はラチックのバフがない。


カン


 案の定打たれて、センターへボールがいった。

 センターなら、元から結構パワーもスピードもあるミワだから、どうにでもなるだろう。

 ミワが、グローブにボールを収めて……すり抜けた。


「は!?」

「ごめん、それデコイ!」


 ミワは、デコイだと思っていた、レフトにいた。

 必死にミワが泳いで投げて、俺が加速して後押したが、既に相手のバッターは三塁まで進んでいた。


「ごめんダーリン……」

「しょ、しょうがないから。ほら、さっさと戻れ」


 さて、ノーアウト3塁、相手のピッチャー3番。

 まだラチックのスキルは戻らず、キツイ時間が続く。


カン


 また、センターにボールが飛んでいき……また、ミワの体をすり抜けた。


「それもデコイ!」

「あああああああああ!」


 今度は一応カバーできるように動いていたお陰で、2塁までで済んだが……元から3塁にいた人は、ホームまで帰り、また点差が開いた。


「タイム!タイム! お前何やってんの!?」

「ごめんなさい(泣き)。今度は、今度こそレフトに飛ばされると思ってたの!」

「結果論だけど、全然だめじゃねーか!」

「……体で払います」

「いらない。あと、俺以外のメンバーにも謝れ」

「すみませんでした!」


 限界までデコイを出して、完全に同じ姿の人が5人土下座しているのは、総鑑だった。

 他のメンバーも、次々とミワを叱っていく。


 長かったのか、相手の一塁(スキル封印の人)が、


「あのー、そろそろ再開してもいいですか?」

「もうちょっとだけお願いします。おい、デコイで5段土下座してみろ」

「私を上げるから許して~」

「いらない!」


 数分後、相手と審判のNPCに謝って、試合を再開した。

 しっかりと、全員が前向きな顔をして。

 次は、さっきホームランを打たれた、相手の4番バッターだ。

 だが、


「〈殺戮魚の声〉」


 ラチックのスキルが戻っていた。

 打たれたら終わりだからか、Rexに集中してバフを掛けている。

 もちろん、さっきの罵倒大会は、時間を稼いで、ラチックのスキル封印を解除するためだ。

 そう、あれはワザとだったんだ。誰も本心で言ってないよ(真顔)。

 ミワのミスだって、ワザとだったんだ。


 けど、どっちにしろ、相手の4番にはさっきホームランを打たれている。

 もう、Rexに任せるしかない。

 彼女は、


「なあ、みんな。盛り上げてくれ」


 そう言って、笑った。


 ご注文通り、頭の上で手を叩く。

 チーム全員に連鎖して、相手のチームまで叩き始めた。


「ほら、画面の前のみんなも」


 中継先に呼びかけつつ、楽しそうに一定のリズムで、手を叩いた。

 【クジラ】とか【イルカ】とかの、音波を伝えるスキルがあるのか、沢山の声援と拍手が送られてきた。

         

(ノ・ω・(パン))ノ「オ~、オ~、オオオォォォ」×無数


 ちょっとうるさい気もするが、なんとなく楽しいからいいや。

 Rexが目を閉じて振りかぶり、


「いくぞォ!」

「来い!」


〈炎上の油道〉(ブレイジングロード)


 火の道がキャッチャーのシェンラさんまで延びて、そこを燃えるボールが駆け抜けていく。

 バッターのはさみが振られて……ボールに当たった。

 だが、


「いっけー!」


 Rexが叫ぶと、さらに火が強くなって、はさみの一部が溶けた。

 そんな状態で、まともに打てる訳がなく、キャッチャーゴロでアウト。


「やったあ」


 と言って、Rexはへたり込んでしまった。

 MPを完全に使い切ってしまったみたいだ。

 俺は、Rexを抱っこして、


「ありがとう。後は任せておけ」

「ああ」


 彼女とポジションを交代して、俺がピッチャー、Rexがショートになった。


「頼む」

「ええ、〈殺戮魚の純愛〉」


 ラチックからバフを貰って、加速しながら、全力のストレート。

 コントロールの精度が悪く、ちょっとストライクゾーンを外れていたが、相手が空振りしてくれて助かった。

 その後も、デッドボールとか、フォアボールとかあったが、なんとか残りの2アウトをもぎ取れた。


「シャア。あと3点取るぞ!」

「おー」×8



 3回裏1対3で、2点負けている状況。

 勝って宣伝するのと、負けて宣伝するのでは、効果が全然違う気がする。


 次は……9番のガンツからか。


「よし、ワンアウトゲットー!」

「あと二人! あと二人!」

「ちょっと、油断しない!」


 もう、ガンツがすぐ死ぬのは、周知の事実だったようだ。

 一球目にバットが掠ると……普通にガンツは死んだ。

 ファールになったから、セーフなんだが……完全に舐められている。

 けどさぁ。あまり奴を舐めるなよ。


 二球目、舐め腐ったボールが投げられて……ガンツが打った。

 元々、遠距離型で、耐久をほぼ無視してるあいつは、攻撃力もスピードも両方高い。

 死ななければ、ステータス上での攻撃力は、《海馬組》でもトップだ。

 そして、ここは町だから、ガンツのストックは20以下にはならない。

 ホームランギリギリまで飛んでいき、一気に三塁まで進んだ。


 そして、次はさっきホームランを打った俺。


「ッシャ来いやァ!」

「やっちまえー」

「ピッチャービビってるぞー」


 熱い声援を受けて、俺は、



「フォアボール」

「クソが!」


 ボール四回で流されました。

 いや、ちょっと遠いくらいだったら無理やり打つけど、下に叩きつけられたら無理だわ。

 しかも、


「〈クロック・ノック〉お疲れさまです」


 一塁の女に、スキルを封印された。

 加速がなかったら、ただの鈍足耐久型だから、余程いい球が行かない限りは、次でアウトになってしまう。

 そして、次のバッターは……ミワかぁ。


「ちょっと、なんでみんな微妙な顔してるの!?」

「だって……お前今日散々じゃん」

「大丈夫。本気出すから」


 ……本気なんだよな?

 彼女が今持っているのは、いつもの逆刃ナイフ。

 ルール的には問題ないのだが、さすがに短すぎてやりにくいだろ。


「次頑張れよ、ファニー」

「うん」

「んー。見ててよダーリン!」


 ミワの一球目、ナイフでは届かない所に投げられてワンアウト。

 やっぱりダメなんじゃ……。

 二球目。相手のピッチャーがボールを投げて……ミワが逆サイドのバッターボックスに立っていた。

 〈ステルス〉で透明になって、デコイで立ち位置を誤魔化していたのだ。

 短いバットを避ける様に固定されたコースのボールが、ストレートにミワの正面に飛んでいき……彼女は、鞘に収めたナイフに手をかけ、左足を前に出し、


「天翔竜閃」


 抜刀して、下から突き上げられたナイフが、ボールをコートの外まで飛ばした。

 初手の俺より飛んで行ったんだけど。

 とにかく、ホームランでガンツ、俺、ミワがホームベースを踏み、3点入れて勝利した。


「私、やったよ、ダーリン♡」

「ああ……よくやったよ。みんな、胴上げしようぜ」


 ミワを胴上げし、相手チームにお礼したて終わった。

 優勝商品も貰って拠点の日本屋敷に帰って来たのだが……なにかを忘れてる気がする。


「……あれ、宣伝したっケ?」

「……あ」×8


【クロノサウルス】


 能力:数分間相手のスキル封印


 あの神、クロノスの名前を元にされた凄い古代魚。

 スキル封印は射程距離が短く、使うには少し工夫がいる。


 天翔竜閃


 スキルではない。竜の字が違うけど、わざとです。

 意味が分からない人はる〇剣を読もう!


〈ステルス〉 一瞬透明になれる

 意外と、急所を隠してガン逃げしたらなんとかなる。


異能スポーツ面白かったって人はいいね

 

 

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