表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
39/110

部屋紹介コーナー

 第三の町、天空都市(サン)テルに辿り着いた。

 みんな毒になっていて、ちょっとHPが不安だったが、町に入ると状態異常は治っていた。

 先に着いていたメンバーにチャットを送って合流する。


「おーい」

「お疲れー」

「遅いゾ」


 《海馬組》の九人が全員集まった。

 ちなみに、先に着いた4人は、Rexが油で毒を防いでくれたお陰で、割と楽にクリアできたらしい。


「そうだ。お土産があるんです」


 そういえばそんなものあったな。もし下らないモノだったらお仕置きしよ。

 シェンラさんがメニュー欄を弄って……一つの小さな旗を取り出した。


 [クラン拠点旗]というようだ。

 参テルには、クランの拠点になる建物が無数に存在する。それらに、この旗を掲げると、拠点にできる。


「このアイテムをゲットするために、先に着いていたんです」

「ナイス」

「さらに、良い感じの物件も見繕ってあるんだぜ」

「これは有能」


 ギコーに連れられて、その良い感じの拠点を見に行くと……


「……なあ、お前らは俺のことを何だと思っているんだ?」

「ファッションセンスが悪い」

「ガンツ、今お前は全国の黒スーツ男性を敵にしたからな」


 ギコーに見せられた拠点は……立派な木造の日本屋敷。

 築数十年経ってるデザインが、逆に味を(かも)し出している。


「いや、これはこれでいいんだけど、俺が入ったらマジでヤクザの本拠地になっちゃうじゃん」

「こんな物も用意してあるぞ」


 Rexが取り出したのは……海馬組と書かれた古い木の看板。


「……お前字綺麗だったんだな」

「ま、まあな」

「甘いわ」


 ラチックがRexから古看板を奪い取り、裏側に習字で海馬組と書いた。

 うわー、こいつも字上手だなぁ。

 Rexはパソコンみたいな字だったが、ラチックの字は習字らしい字で、余計にヤクザらしさが出てきたというか、なんというか。

 俺が絶句していると、他のみんなはワイワイしながら、その日本屋敷に入っていく。


「え、マジでここにすんの!?」

「昔からこういう住居に住むのが夢だったの」

「日本らしくて良いじゃないカ」

「実家みたいで安心するわ」


 ……とりあえず、中を見てから決めることにした。

 門を開けて、塀の内に入り込み、周りの外観から見ていく。

 何故か水中に池や鹿威(ししおど)し(水が溜まるとポンってなるやつ。ググろう)があったり、耐水障子があったり……なんか本格的だな。

 建物の中に入ると、畳の部屋が10個あり、建物の中心に一つだけ場違いな大きなテーブルと、イスが周りに置いてあった。

 さらに、奥の方に銭湯みたいなのもあり……


「よし、ここにするか」

「そうだな」

「銭湯最高!」


 普通にいい物件で草なんだ。


「じゃあ、どうぞリーダー」


 シェンラさんから[クラン拠点旗]を受け取ると、旗に《海馬組》という文字が浮かび上がった。

 そして、旗を刺す用の穴に、旗を掲げた。

 あと、門にラチックの習字看板を貼り付けた。


「一人一つ部屋ね」

「兄妹は同じでいいだろ」

「絶対ヤダ。死んどけ」

「私たちは一緒だよね?ダーリン♡」

「……あれだ。俺たちにはもう一緒に住んでる愛の城があるじゃないか」

「……(ジーン)。そうだね、ダーリン♡」

「へー」


 シェンラさんが細い目で見て、クスクス笑っていたが、その意味は分からなかった。

 




 旗を掲げてから、1日が経過しました。

 拠点のシステムがあるからか、参テルには家具を売っている店が多い。

 さらに、ネットから写真を持って来たり、自分の写真をアップロードできたり、まあ色々と自由自在なんだ。


「と、いうことで、突撃、隣のお部屋!」


 撮影許可はされてませんが、面白そうだからいいでしょう!


「じゃあ、最初はガンツの部屋でございます」


 鍵がかかっていたが、リーダー権限で鍵を開けた。


「突撃ー!」

「なんだイグノ!?鍵はどうした!?」


 ガンツの部屋は……一つテレビが付いていること以外は、アニメの女キャラの画像が部屋一面に飾られていた。

 ……幼いのが多い気がするけど、俺がしっている限りだと全員妹キャラなんだが、気のせいかな?


「な、良い感じの部屋だろ」


 いや、長い仲の俺なら分かるぞ、こいつは何かを隠している。

 額縁に入れられてるアニメキャラ画像を見て……額縁をひっくり返すと、ファニーの写真だった。

 さすがにリアルの統華写真はなかったが、これでも十分ファニーに怒られるだろう。


「うわ……(ドン引き)」

「待ってくれ、ファニーには言わないで!」

「じゃあ、他の部屋も見てくから、付いて来い」


 さて、次はファニーさんの部屋です。

 女子部屋の鍵を開けるのは躊躇っていたが、幸い鍵は掛けられていなかった。


 ファニーは不在だったが、普通の部屋っぽくて、幾つかの可愛い服と、動物(魚化)のぬいぐるみが置かれている。

 ……一撃必殺イタチ魚には少しトラウマがあるが、見てくれは少し愛嬌があるのか?

 ちょっとガンツの息が荒くなってる気がしたから、さっさと終わらせた。


「(写真立てにイグノの写真があったが、あとで壊しておこう)」

「どうしたガンツ?」

「何でもない。次は……アンペルか」


 アンペルの部屋には鍵が掛かっていたが……あいつならいいか。

 彼女の部屋は、いつかの生徒会選挙で見たように、金ピカに光り輝いていた。


「なんの用ダ?」

「今、皆の部屋を巡ろうっていう企画してんの」

「意外と楽しいぞ」


 こいつ本当に金好きなんだな。

 昨日『日本らしくて良いじゃないカ』とか言っていたのに、ここに日本らしさがどこにあるんだろうか?


 さて、次はシェンラさんなんだが……鍵がかかっていたし、絶対怒らせたら怖いタイプだからやめておこう。

 その次も……ミワなんだよ。

 興味もあるが、正直見たくない。


兄貴ギコーの部屋を見に……」

「おじゃましまーす」


 おいガンツ、パンドラの箱を開けるな。連れてきたことは間違いだったかもしれない。


「何ガン……ダーリン♡」


 必死にドアを閉めたが、あんまり攻撃力に振っていないため、すぐに押し負けてしまった。


「どうしたのダーリン、お腹すいた?何か伝言?それとも、ワ・タ・シ?」

「何でもないです、間違えて扉を開けちゃっただけです」

「部屋を見に来たんだ」

「黙ってろガンツ!」

「いいんだよ。ダーリンなら♡」


 ガンツを置いて、俺だけ部屋に連れ込まれた。

 彼女の部屋は……案外まともで、移動式コンロや、冷蔵庫などの料理道具が置かれていた。


「想像の1億倍まともだった」

「だって……ダーリンに美味しい料理を作ってあげたくて……」


 一瞬可愛いと思ってしまった。

 疑ってごめんな。今度こそ次の部屋に行こうとすると……壁の端が、少し剝がれてるのが分かった。

 壁紙を剥がすと……ガンツの部屋のファニーを俺に変えたみたいな感じになってしまっている。

 いつもファニーはこんな気持ちなのかな……。


 さ、さて、次はアニキの部屋だ。

 鍵も掛かっていなかったので、乱雑に扉を開け放った。


「なんだお前ら?」

「みんなの部屋に突撃してみようのコーナーです」


 アニキの部屋は、無骨で、あんまりものが置かれていない。

 茶色のソファやクッションしかない、リアルの部屋をそのまま再現したような感じになっていた。


「面白くない」

「分かってねえな。ほとんどリアルを再現したということは」


 ガンツが布団を持ち上げて……やっぱり、男らしい部屋だわ。


「さすがに定番過ぎません?布団のジッパーを開けて、その中に詰め込むんだよ」

「お前の部屋にはなかったけど」

「……お前、そんな所まで探したの?」


 部屋の中でギャーギャー言ってたら、ちょっと赤くなっていたギコーに追い出された。

 さて……次はラチックか。こいつも絶対怒ったら怖いから、鍵が閉まっていたら諦めよう。


「開いてる……」

「……行くぞ」


 意を決して、彼女の部屋の扉を開けた。

 日本刀、弓、槍などが飾られている、武器庫みたいな部屋の中央に、ラチックが正座していた。

 ……目を瞑って、何かに集中しているみたいなので、俺たちは無言でそっと扉を閉じた。


 あとは……Rexか。

 そろそろ面倒になってきたから、適当に扉を開けた。

 瞬間、熱水が流れてきて、後ろに控えていたガンツが死んだ。


「俺にはこれ以上進めない。後は頼んだ(バタッ)」

「ああ、俺に任せておけ」


 Rexの部屋は、もうサウナだった。ゲーム内でサウナって意味あるの?

 座る所に、タオル一枚のRexが座っていて……一瞬で扉を閉めた。


「おうブラザー、一緒に入るか?」

「いや、やめておく」



 みんな面白い部屋だったなぁー。

 自分の部屋に戻ろうとすると……クランメンバー全員が俺の部屋の前に立っていた。


「……なにやってるの?」

「部屋を見ていいのは、見られる覚悟があるやつだけだ」

「気になル」


 あ、鍵かけてなかった。

 俺の部屋の扉が開いて……一面のパソコンが迎え入れた。

 早くもガンツが呆れてる。


「……なんだこれ?」

「アニキなら分かるだろ?一面のパソコン画面って憧れない?」

「キーボードが10こくらいあるのだけれど」

「今は最高で6つまでしか使えないけど、ゆくゆくは10個平行で使いたい」


 6つ平行でテ〇リスしたら、みんな帰っていった。


悠馬君の唯一の特技、平行6つPC使用


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ