とうとう物まで魚化したか
なんか投稿頻度は下がったのに、一話一話が長くなってんだが。
テスト後、久しぶりにUAOにログインした。
ちなみにテストはちゃんと赤点3つだったぜ。よっしゃ。
平均点はとれているけど、得意教科がはっきりしているタイプだから、得意教科は8割取れてるが、苦手教科は……そういうことだ。
このゲーム、イベントの後にはアップデートをする特徴があるらしく、第二回大型アップデートが行われていた。
今回の内容は:第三の町追加
鱗器、翔具の追加
クランシステムの一般化
……一つだけ分かることがある、面白そう。
ということで、《海馬組》メンバーに集合をかけた。
ウソじゃなかったら、うちは全員学生だから、大体の人が今日がアプデ以来初ログインだろう。
集まった面子は……俺、ガンツ、ファニー、ミワ、ラチックの5名。
来なかった、アンペル、シェンラ、ギコー、Rexは、4人でもう行ってしまったらしい。
流石に前の様なバカみたいな難易度にはしていないらしく、4人で余裕だったと。
「大学生は余裕あったから。ごめんね。お土産があるから許して下さい」
とシェンラさんからチャットがあったから、楽しみにしておこう。
でも、アンペルさんは思いっきり高校生ですよね?余裕宣言ですか?
「まあ、いくか」
「そうだねダーリン」
「……お前こっちでもそれなの?」
俺たちは、水面まで泳いでいく。第三の町は、天空に浮かんでいる様だ。
空に水の道ができている。
「どうだ、BTB溶液」
「そこそこ難しいが、このメンバーなら余裕だろう。だからBTB溶液はやめて」
「まだph試験紙までの道は遠い。じゃ、俺とミワ前衛、ファニーとラチック中衛、ガンツ後衛で」
「頑張ろう!」
「私とダーリンで道を切り開く」
5人で隊列を組んで、水の道を進む。
今回のモンスターは……
「……何あれ?」
「……名前見れるだろ。リンゴ魚だって」
なんか最近冷たい気がするラチックが戦慄していたが、あの姿はなぁ。
リンゴになんかの魚の頭とヒレをつけたみたいな容姿。
リンゴ部分だけなら結構美味そうに見えるんだが、魚の部分が邪魔だ。
「〈殺戮魚の声〉」
ラチックのバフを貰いつつ、とりあえず第一の加速。
リンゴを横から叩いてみたが、普通のリンゴみたいなやつがでてきた。
だが、フルの加速で殴ったのに、HPが全く減っていない。
「本体は頭だけだ!」
「〈シューティングスター〉」
俺の言葉を受けて、ガンツの矢がリンゴ魚の頭に刺さり、HPが3割くらい減った。
頭を集中攻撃されて、すぐにHPが減っていき、最後の抵抗で、
「JUUUUUUUUU」
叫び声を上げ、黄色っぽい液体を吐き出した。
「ッツ、ラチック!」
射線上にいたラチックに〈瞬転〉で近づき〈ノックバック〉を入れ、俺はモロに謎の液体を食らって……甘い。
リンゴジュースじゃねえか!
「ポーションポーション!それ毒!」
ファニーが声を上げている。
おい、リンゴジュースが毒なのは、リンゴ農家に怒られるぞ。
あ、そういえば、
「ポーションはいいや、試すことがある。【リーフィーシードラゴン】〈自然の薬〉」
もう一つのスキルを試してみることにした。
デュアルスキルで、【リーフィーシードラゴン】に切り替え、解毒魔法を使用した。
やっぱり、スキルが二つ使えるって便利だなー。
「……ねえ、治ってないんだけど」
「へ?本当だ、治ってねえ!」
まだ毒状態が残っていて、少しHPが減るスピードが遅いが、しっかりと視界の端には毒マーク。
ファニーが俺の口に状態異常回復ポーションを飲ませてくれて、なんとか事なきを得たが、何で魔法が効かなかったんだ?
ステータスを見ると……MPがスッカラカンになっていた。
「……イグノMP少な過ぎない?」
「今まで[熊魚の返り血]に注入することくらいにしか使っていなかったからなぁ。全く意識して振ってない」
……あれ、もしかしてこれ、使えない?
今度からちょっとだけMPに回してみようかな。さらに、色々と弄ってみたが、
「ごめん、あと9分間加速できないわ」
「バカじゃねぇの?」
「大丈夫だよ。私がダーリンの分まで頑張るから」
ほら、ガンツもミワみたいに広い心を持てよ。
まあ、加速がなくても壁役はできるし、さっさと進むことにした。
次に出てきたのは……スイカ魚、メロン魚、みかん魚の3体。
「一番前にいるスイカを集中攻撃で」
「……私、スイカ食べれなイ」
なんかアンペルの弱音が聞こえた気がしたが、無視して他の4人で総攻撃をして、ジュースを吐く前に倒した。
だが、メロンとみかんは止められない。
メロンの方はミワがデコイで毒の方向をずらしたけど、みかんのジュースはクリーンヒットした。
「オレンジジュース飲めないやついる?」
「何言ってるの?オレンジジュースは世界一美味しいジュースなんだから、嫌いな人なんていないよ」
「……そうなの?」
「バカ ラチック、黙ってろ」
「ドリンクコーナーで置かれているジュースランキングナンバーワンでしょ、オレンジジュース」
ファニーさんはかなりのみかん信者で、よく冬には肌が黄色くなっていた。
そんなことは置いといて、さっさと毒を治さないと。
「イグノ、手貸して」
「なんd……」
ファニーが手を絡めて、恋人繋ぎをしてきて……俺のMPが回復していく。ちなみにガンツは逆に死んでいった。
とにかく、ファニーがくれたMPを使って、〈自然の薬〉を全員にかけ、毒を回復した。
「〈MP共有〉で、イグノに私のMPを分けたの。この手は、必要なことだから……仕方ないね」
「そっか」
〈MP共有〉を持ってるMP型に分けてもらえば、結構使えるかもしれない。
けど、ファニーから貰ったらガンツが死ぬから、他の人から貰った方がよさそうだ。
「あと5分しか【リーフィーシードラゴン】でいられないから、急ごう」
俺たちは5分でなんとかボス部屋まで来れた。
自分にバフかけたラチック強すぎワロタ。
「準備はいいか?もう〈自然の薬〉は使えないから、ポーション使わないようにさっさと終わらせよう」
「オー-!」×4
水の通路から、水球の様な部屋にて、中心の魔法陣が光出し……巨大なレモン魚が出現した。
もう〈殺戮魚の声〉は掛けられているので、前衛である俺は、とりあえず加速で突っ込んでみる。
今回は、しっかりと魚の顔から殴ってみたが、それでも黄色い汁が噴き出した。
まだ加速中だったから毒は飲まずに逃げれたが、殴ったら毒るのはウザイ。
「遠距離主体で、ミワは攪乱よろしく」
「任せてダーリン♡」
デコイを使いつつ、自分も相手をかき乱していくミワの後ろから、ガンツが矢を射ていく。アンペルやファニーの魔法もあったが、皮にはじかれて、あんまり効いていない。
お、レモン魚が動き出した。
「JUIー---」
側面の皮が剥けて、大量のレモンが落ちてきた。そして……チカチカし始める。
「爆発するぞ!」
ブシャー
大量のレモンが爆発した。もちろん毒(レモン汁)が散乱して、周りの水がほとんど黄色くなる。
一番やばそうなガンツを加速でまだマシな上の方に逃がし、攻撃を継続してもらう。
このウザさは、絶対に運営の上層部に、唐揚げに勝手にレモンをかけるやつがいるって。
「風穴開けてやるよ」
「よく言うわね」
「じゃ、二人で世界の果てまでレッツゴーだ」
「え?キャッ!」
さっきめちゃくちゃ強いことが分かったラチックの腕を掴んで、加速でレモンに近づき、
「頼んだ」
「もう!〈ブラックランス〉」
ラチックの槍で、胴体のレモンに穴を開けた。大量のレモン汁が漏れてので、毒になってしまったが、
「〈エレクトロ・ディスチェンジ〉」
アンペルの電撃を穴から流し込んで、感電させた。
果物の果汁って、よく電気を通すんだよ。
レモン魚が倒れて……レモンをドロップした。いらんわ。
【リーフィーシードラゴン】
能力:自然魔法に補正
実はオセアニアあたりに生息している、現存生物。
正直能力は名前だけで決めた。
ギコー Rexは大学生。