表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第三章 クランのわちゃわちゃ
37/110

愛弾のユウマ

ちょい長め。

 昨日、エナドリの追加を買って戻ると、辰海君が消えていた。

 窓の一つが開いていたから、そこから逃げ出したのだと思う。

 次の日、問い詰めようとしたけれど、


「来てない?」


 いつも彼が登校してくる時間になっても、大体一緒に来ている水野君が来ても、彼の姿は見えなかった。

 ……もしかして、私のせいで体調を崩した?

 少し申し訳なくなってきたが、


「水野、辰海から欠席の連絡がないのだが、何か知らないか?」

「はい、私知ってます。彼は退学するらしいです」


 先生からの質問に、元引きこもりの川上さんが答えた。

 教室にざわめきが走る。


「え……あいつ、今何やってるんだ?」

「さあ。けど、きっと幸せに暮らしていますよ」


 先生は、後で電話するかと言って、面倒そうに話題を打ち切る。

 1時間目が始まる前に、何かを知っていそうな川上さんに、彼のことを聞いてみることにした。


「ねえ、あなた、辰海君について何か知ってる?」

「……ラチック?」

「……違うわ」

「普通は、『ラチックって何?』って答えない?」


 ミワに一瞬でバレた。

 ゲーム内でも声は変わらないし、ワザと面影があるような容姿にしたから、分かっても疑問はない。

 むしろ付き合いが長い(半年)のに、気づいてくれない彼がおかしい。


「UAOはさせてあげようかと思ってたけど、あなたがいるなら……うん」


 彼女は、何かを納得したように頷いて、


「じゃあね」

「ちょっと!」


 私を無視して移動教室へと行ってしまった。

 でも……これで確信した。絶対に辰海君の失踪には彼女が関わっている。


 その日の放課後。何故か軽いスキップで帰る川上さんを尾行して、探ってみる。

 徒歩のまま、数分後、あるマンションに入っていった。その一室に、


「ただいまー」

「おう、お帰りー」


 完全に順応している辰海君がいた。





 さて、これからどうしようか。まだ手錠は掛かっているが、ここから帰ること自体は造作もない。


「けど……」


 俺は、いたる所にカッターが置いてあり、血の跡がついている部屋を見渡した。

 これ以上彼女に傷ついて欲しくないから、慎重に行動しなければならない。

 色々考えたが、とりあえず冷静な状況で話し合わないといけなそうだ。と、いうことで、冷静になるためにまたガチャを引いて、死んできました。

 ……土地が悪いよ、土地が。以前、深夜に神社で賽銭を入れながら引いたら単発で目当てのが出たし。

 早く帰りたい。


「ただいまー」

「おう、お帰りー」


 帰って来た。

 まずはこいつの機嫌を伺って、


「やっぱりここに居たのね」


 会長登場。

 伊織の機嫌が一気に下がったのが目に見えて分かった。

 何やってるんですか。


「あーあ、ごめんねアナタ。ちょっと浮かれてたせいで、二人の愛の城に侵入者がきちゃった」


 やばい、目がイカレてる。あと愛の城はやめて。

 けど、会長の目もそこそこイカレてる。


「うちの優秀な副会長を解放しなさい。監禁罪で訴えることもできるのよ?」


 あなたも同じですけどね。

 近所に迷惑をかけるのもアレだから、一先ず伊織の部屋で話をすることにした。


伊織さんの主張


「私たちは愛し合っているの。悠馬はもう誰にも渡さない。私だけを見ていればいいの」


 メンヘラのヤバさを垣間見ました。いや、これはヤンデレか?

 俺、一回でも愛してるって言ったっけ。

 

会長の主張


「日本国憲法第××条、身体の自由と、思想の自由」


 理論武装でした。頼りになるのだが、

 会長の武装になにも言えず……カッターを持って会長に襲い掛かり、合気道?のような技であしらわれてた。つよ!


「グスッ……」


 伊織が、泣きそうになってしまった。そして、プロのリスカ用意。

 そんな彼女を放って、会長が俺の手を引っ張って、


「ほら、帰るわよ」

「待ってくれ。あいつをこのままにしておけない」


 彼女の手からカッターを取り上げて、へし折った。

 ちょっとミスって手から出ている俺の血を伊織が舐めてたから、やる気が無くなりかけたが、決めたことは曲げない主義だ。


「俺が居なくなってもリスカすんなよ」

「安心するんだよ?」

「……」

「あなたが居ないと生きていけない。やっと一緒になれたのに、もう離れられない」


 もうダメだこいつ。

 どうしようか考えていると、スマホが震えた。東間からの電話だった。


「なあ東間。今……(説明)なんだけど、どうしたらいいと思う?」

「……切り札があるんだが、使うか?」

「なんとかなるのか?」

「お前次第だ」


 持つべきものは親友だね。

 電話で東間から切り札を聞き……ちょっと不安だったが、実行することにした。


「会長、頼みがあるんだが」


 スマホにいつも仕込んでる一万円を抜いて、


「これでありったけのラブコメ漫画を買ってきてくれ。できれば純愛モノ」

「は?」

「頼む!俺が信じる親友を信じろ」


 何だかんだで、買ってきてくれた純愛ラブコメを読みつつ、伊織の頭を撫でていた。

 東間の言う切り札によると、これを深夜まで続ければいいらしい。

 

「会長は帰ってもいいですよ」

「……最後まで見届けるわ」


 クールに返してますけど、俺のラブコメ漫画読んでますよね?



 日付が変わった頃、一万円分の漫画を読み終わった。

 ……今なら何でもできる気がする。


「伊織。お前は、どうして俺を外に出したくないんだ?」

「それは……もしかしたら、他の人に目移りしちゃうかもしれないから」

「自分に自信がないのか?お前は十分可愛いだろ」

「え……?」



 後に、東間はこう語っている。


「あいつの深夜テンションは結構あったことに左右される。前に恋愛映画を3連続で見た時のテンションには、絶対統華とは会わせない。今のあいつは」


 深夜テンション、ロマンスモード!



「俺は世界で一番お前を愛している。目移りすることなんてない」

「悠馬ぁ~」

「見てよ、空を。月が綺麗だ。まあ……君の方が綺麗だけどね」

「今日新月なんだけど」

「会長、心の目で見るんだよ。儚く月が輝いているだろ?」

「うん♡」



 安心して寝てしまった伊織を置いて、俺たちは帰った。

 ちなみに漫画は読み終わってない会長にあげた。





「おはよう♡ 朝ごはんだよ」


 昨日と同じ声が聞こえてきて、俺は目を覚ました。

 ここは俺の家だし、深夜のことは覚えていない(自己防衛本能)が、なんとなく円満に帰れた気がするんだが……。


「ほら起きて、ダーリン。遅刻しちゃうぞー!」


 なんでうちに伊織がいるの?何、ダーリンって。


「実はね、大家さんに血の跡がバレちゃって、退去させられそうだったの。だから……同居よろしく♡」


 ……とりあえず家主である、父に連絡してみたら、


「ちょうどいいんじゃないか。お前どうせ一生カップラーメンだろ?」


 うっ……痛い所を。


「その同居人に変わってくれ」


 そう言われて、伊織と電話を代わった。彼女と父が数分間電話して、俺に戻って来たスマホからは、涙ぐんだ父の声が。


「グス、そいつを泊めてやってくれ」


 ねえ、なんか騙されてない?

 30代でオレオレ詐欺に騙されたの忘れたのか?まあ、あいつはヤンデレ化する悲しい過去持ちのはずだけど。


「ってことで、よろしくダーリン♡」


 もういいや。


 ちゃんとフル深夜テンション回もやるので、安心してください。


 たまに私のもう一つの小説に飛んでる人がいると思うけど、やめてください。

 あれは黒歴史です。自分の戒めのために残してます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ