第二形態海氷龍
体中から氷を生やして、第二形態へと移行した海龍……いや、HPバーの上にある名前も海氷龍へと変化していた。
初手からまた口を開いて、
「絶対に避けるぞ」
「ええ」
俺、シェンラさん、ミワ(デコイ)の3人で固まって誘導し……第一形態のブレス範囲よりも、大幅に離れた所まで加速でシェンラさんを連れて逃げ……さっきのブレスよりも広い範囲が凍り付いた。
これマジで即死攻撃じゃん。
しかも、水温が低下したのが、全体デバフの様に働いていて全員の動きが悪い。
けど、
「〈ジャッグ・チフ〉」
ギコーが大きな一撃を叩き込んだ。
《海馬組》の中では、あいつが一番攻撃力が高いから、第二形態になってから本気でで追い込んでもらう。
海氷龍も危機感を抱いたのか、爪攻撃をギコーの方に回したが、一緒に行動してるミワができるだけ攪乱して、
「〈ぺネティットアロー〉」
ヘイトをガンツへ移した。あいつなら氷漬けにでもされなければ、あと15回は死ねる。
しかし、そこまでバカではないのか、
「gbbmzrcmbljsswrjkrs mnvbqtrtbvyrpffld
小さな氷の塊が数十個出現し、
mnvbqtrtbvyrpffld」
水がめちゃくちゃに流れて、氷塊が縦横無尽に駆けまわった。
全体攻撃は、俺たち耐久高い組には問題ないが、低耐久の人たちにとっては致命傷になりかねない。
〈身体強化〉で防御を上げたファニー、ラチックはそこまで問題なかったが、他のメンバーは思いっ切りHPが減って、アンペル、ミワ、ギコー、Rexが残り4割、ガンツのストックがのこり5つになった。
まあつまり、あと一回この攻撃されたら崩壊する。
『押し切ります』
それしかない。海氷龍の残りHPは3割。
その時、
「ckjb qypgjpger」
奴が何かを叫んで……
「RUUUUUUUUUUUU!」
完全に氷でできた、透き通った一匹のドラゴンが現れた。もう本当にお前死ね。
『氷龍は魔法組で対処してもらいます。あなたたちは海氷龍に集中して』
ラチックの伝令の後、ファニー、アンペル、Rexが氷龍の方へ向かった。
さて、指令通り、俺たち(上記以外の6人)は海氷龍をさっさと削り切らないと。
最早一番楽な攻撃の、凍結ブレスを加速で凌いで、俺も攻撃に参加する。
10秒に一回とはいえ、〈殺戮魚の声〉込みで5%削れるのは大きい。
残りHPも2割に差し掛かった頃……いきなり岩壁が凍って、
「……後は任せた」
岩壁の近くから攻撃していたガンツが死んだ。氷龍の最後の抵抗らしく、無理をしたらしいアンペルも居なくなっていて、ファニーは小三くらいまでに小さくなってた。
さらに、次の加速後にもう一度凍結ブレスがあり……
「みんな、あと頑張ってねー」
シェンラさんが凍りついた。残り、六人。
けど残り一割までいった。あとは脳筋ゴリ押しするだけだ。
今、一番やられてキツイのは、
「gbbmzrcmbljsswrjkrs mnvbqtrtbvyrpffld
忘れもしない咆哮が響いて、海氷龍の周りに数十個の氷が出現した。
また、縦横無尽に氷をばら撒く魔法のようだ。
当たり所が悪いと、普通にひっくり返されるぞ。ヤバい、と思った瞬間、
「〈ラウド・コンフラグレイション〉」
奴の周りが一気に燃え上がり、氷の塊が粒まで小さくなった。
Rexが、さっきから仕掛けていた油を燃え上がらせたらしい。
ちょっと味方側にも被害があったが、もろにあの弾幕を食らうよりは何倍もマシだ。
お陰でミワとギコーが残り1割で済んだ。
爪と尾の攻撃を俺とミワで避けて攪乱し、時間を稼ぎつつ、
「〈殺戮魚の純愛〉」
単体専用の強いバフをラチックがくれた。
ちょっと技名がヤバい気がするけど、そういうものなんだろ。
「うおおおおおおおおおおおお!」
「drzfgblsrbbvzlwxdvtlwklhgvbcchrbvwnvw!」
残り一割を加速ラッシュで削り切って、勝利した。
「シャア!」
「イエーイ」
「フー----」
「やっター」ext.
皆からの歓声があがった。死んだ、ガンツ、アンペル、シェンラさんが、運営の良心か、生き返っている。
なんかめちゃくちゃレアなアイテムを沢山ドロップして……その中に、[スキルノ珠]というのがあった。
「これ、どうやって分ける?」
「同価値になるように九つに分けて、じゃんけんで勝った人が選んでいったら?」
さすがラチック。良い案思いつくなぁ。
大量のアイテムを、大体同じくらいになるように分けて。
「じゃあ……デスゲームを始めようか」
もちろん、俺の狙いは[スキルノ珠]。
ガンツ、ラチック辺りは、自分のスキルに不満を持っていてもおかしくないため、できるだけ勝っておきたい。
俺が出すのはグー、海氷龍を最後に殴って勝ったから、グーの運がいいに違いない。二回目からは……適当だ。
「じゃんけんポン!」
グー×1(俺) パー×8(他全員)
俺って、何故かじゃんけん弱いんだよね。泣いた。
「……負け勝ちにしない?」
「リーダー忖度なんていらないからな」
何故かファニーの案にみんな便乗してくれてたが、それは断った。
あ、ああ余り物には福があるっていうよね。
それから、何回かあいこになった後に、順番が決まって、欲しいアイテムを選び出した。
一番最初のラチックは……違うものを選んだ。
四番目のガンツも、違うものを選んで。
他の人たちも、次々と珠以外を取っていく。正直、分けれないから一つになってるだけで、九つの中でも売った金額は頭一つ抜けてると思う。
最後に残った[スキルノ珠]を目の前にして、
「あの、忖度いらないですよ?」
「いいんだよ。お前が始めて、お前がこのメンバーを集めたんだ。この中の、一人でも欠けたら無理だった」
兄貴……正直一番接点が薄いと思ってたギコーが、そう思ってくれてるとは思わなかった。
マジで兄貴って呼ぼ。
「加速がもう見れなくなるのは残念ですけど、不便な能力だからねー」
「それより【海龍】の能力早くみせロ」
俺は、涙ぐみながら、[スキルノ珠]を手に取って、砕いた。
体が光り輝いて……メニューを開くと、スキルの欄が変化していた。
【マグロ】/【リーフィーシードラゴン】
あれ?
「……海龍どこいった?」
「あれって、リーフィーシードラゴンって名前だっけ?」
皆が騒ぎ出す中で、Rexの一言が、
「……確か、緑の小ドラゴンがそんな感じの名前だった」
俺を絶望させた。海龍がドロップした珠じゃなかったのかよ。
しかも、【マグロ】が消えていない。
……あとからGMコールをしたところ、デュアルスキルという状態らしく、1日に10分だけもう一つのスキルを使えるらしい。
要するに、基本は【マグロ】で、一日に10分だけ【リーフィーシードラゴン】になれるようだ。
……10分だけ止まれるよ。
〈殺戮魚の純愛〉一人にしか掛けられないバフだけど、声より遥かに強力。
バフ対象に、ある厳しい条件がある。
ちなみにこのゲーム隠しステータスがあり、【生き物】によっていろいろ変わる。
例えば、温かい海に住んでる珊瑚は寒さに弱い。
ガンツのストック数が合わないかもしれないが、寒いだけで死ぬこともある。
これで第二章は終わりです。
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最後に【リーフィーシードラゴン】もチートではありません。
そんな簡単にチートにするとでも思ったか?